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アラブ首長国連邦(UAE)競馬の概要

アラブ首長国連邦(UAE)競馬の概要

世界の競走馬が集う祭典の地

7つの首長国からなる連邦国家であるアラブ首長国連邦(UAE)では現在、ドバイ、アブダビ、そしてシャルジャと3つの首長国で競馬が行われている。
その内、レースレベルという点で群を抜いているのがドバイ。UAEでは現在、サラブレッドの重賞が29レース行われているが、そのうち実に28レースまでがドバイでの開催(メイダン競馬場で27レース、ジェベルアリ競馬場で1レース)となっているほどである〔残るひとつはアブダビのアブダビチャンピオンシップ(G3)〕。

UAE競馬の中心地であるドバイに初めて競馬場が作られたのは1969年のこと。当時、ドバイはまだイギリスの保護領(UAEの独立は1971年)だったが、イギリスに留学して競馬に魅了されたマクトゥーム殿下(9代目ドバイ首長)とモハメド殿下(現在の10代目ドバイ首長)を中心とするマクトゥーム家(ドバイの首長家)の主導で現在ではドバイ国際空港の敷地となっているあたりに競馬場が建設された。ただ、ここでの競馬はあくまで非公式な物で、空港の拡張に伴って1982年に閉鎖された。

ドバイ、さらにいえばUAEで初めて正式な規則の下で競馬が行われたのは1981年のこと。ラクダによるレースが行われていたダートコースを借用してのものだった。この頃はマクトゥーム家の人々が馬主として次々にイギリスやアイルランドで勝利を挙げ、生産にも乗り出した時期であり、ドバイ、そしてUAEの競馬はマクトゥーム家の競馬熱の高まりとともにスタートしたといえる。
1984年には現在のメイダン競馬場がオープンするまでドバイを代表する競馬場として機能していたナドアルシバ競馬場が前述のラクダ競走用のコースの近くにオープンした。当初は、レースではなく、調教のためだけに用いられていたが、1988年に800人収容のグランドスタンドが設えられるなど徐々に競馬場としての体裁が整えられ、UAEの競馬統括機関であるエミレーツ競馬協会(Emirates Racing Association、現在はエミレーツレーシングオーソリティーEmirates Racing Authority。略称はどちらもERA)が発足した1991−1992年シーズンからはここで競馬がスタート。1993〜1995年にかけてはドバイ国際騎手チャレンジという騎手招待イベントが行われ、日本からも岡部幸雄騎手、武豊騎手、南井克巳騎手が参加した。
UAEの競馬にとって大きなターニングポイントとなったのは1996年にドバイワールドカップ(ダート2000m)が創設されたことだ。いきなり世界最高賞金レース(総賞金400万アメリカドル)としてスタートしたこのレースは、今では賞金世界一の座こそ、アメリカのペガサスワールドカップ(1200万ドル=約14億400万円、ドバイワールドカップは1000万ドル=約11億7000万円。1アメリカドル=117円で換算)に譲ったが、ドバイの競馬におけるシンボルとして、世界の競馬地図においても重要な位置を占め続けている。なお、第1回ドバイワールドカップの舞台となったナドアルシバ競馬場は2009年3月をもって閉場となり、2010年1月28日にはそれに替わる競馬場として、その隣接地にメイダン競馬場が開場。ドバイワールドカップをはじめとする、UAEにおける主要レースのほとんどが行われる、UAE競馬における総本山となっている。

UAEの競馬は、真夏の酷暑を避ける形で行われており、10月末から翌年3月末までが1シーズン。したがって、2016−2017年シーズンというような形でシーズンが表される。障害や速歩競馬は行われておらず、平地競馬のみの開催だが、サラブレッドだけでなく、アラブによる競馬も盛んだ。また、馬齢更新日は南半球産馬は7月1日、北半球産馬は1月1日に設定されている。
シーズンのハイライトとなるのは3月末(シーズン最終日)に行われる「ドバイワールドカップデー」。前記のドバイワールドカップを頂点にして、ドバイシーマクラシック、(芝2410m)ドバイターフ(芝1800m)などサラブレッドによる競走だけでも5つのG1を含む8つの重賞が行われる一大イベントとなっている。
また、ドバイにおける競馬の大きな特徴として、地元馬だけでなく、ヨーロッパ、南アフリカをはじめ世界中から出走馬を集めて競馬を行っていることが挙げられる。特に、1月〜3月上旬までメイダン競馬場で開催され、ドバイワールドカップデーへと繋がる「ドバイワールドカップカーニバル」(賞金は現地の通貨であるディルハムではなく、アメリカドルで支払われる)は海外からの出走馬も多く、ハイレベルの争いとなっている。
なお、UAEではかつてジェイドロバリー、ティンバーカントリー、ホーリングといったトップホースが種牡馬として繋養されていたが、現在ではサラブレッドの生産はほとんど行われておらず、2015年のサラブレッド生産頭数はわずかに2頭だけである。また、宗教上の理由から賭博が禁止されており、馬券も発売されていないが、賞金や賞品が出る参加費無料の「コンペティション」と呼ばれる予想ゲーム(指定6レースの1着馬を全て当てる、2レース続けて3連単を当てるなど)があり、ファンに親しまれている。

文:秋山響(TPC)
(2017年3月現在)

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