桜花賞でレコードタイムの圧勝劇を演じたグランアレグリアか？　これを朝日杯フューチュリティSで降している昨年の2歳王者アドマイヤマーズか？　NHKマイルカップ（GⅠ）は実績馬2頭の対決に注目が集まった。

好スタートのニュージーランドT勝ち馬ワイドファラオを、アーリントンCを逃げ切ったイベリス、朝日杯2着のクリノガウディー、報知杯フィリーズレビュー1着のプールヴィルが内から交わしていく。

グランアレグリアはこれらを前に見る4から5番手。いっぽう、「2走前が1800メートル、前走が2000メートル。ゆっくりしたスタートだったから、今日も遅くて少し後ろになってしまった」と鞍上のミルコ・デムーロ騎手が振り返ったアドマイヤマーズは、馬群の外から少しずつポジションを上げていく。

そのまま緩みのないペースは続き、勝負は直線へ。各馬が密集してスパートする大激戦の中から、グランアレグリアは外へと持ち出され、きさらぎ賞勝ち馬ダノンチェイサーと馬体を接しての追い比べを始める。

その外から伸びたのがアドマイヤマーズだ。「いつも勝とうとする気持ちの強い馬」とデムーロ騎手も讃える闘争本能で力強く抜け出していく。大外から新潟2歳Sの覇者ケイデンスコールが強烈な末脚を見せたものの、アドマイヤマーズも「外から来られたら、耳を絞ってまた伸びてくれた」という驚異的な集中力を披露し、これを半馬身差完封、堂々の先頭ゴールを決めたのである。

デムーロ騎手が「1600メートルでは負けたことがないからね」と語る通り、ここまで芝マイルでは、新馬、中京2歳S、デイリー杯2歳S、朝日杯と4戦4勝だったアドマイヤマーズ。そのスペシャリストぶりを遺憾なく発揮し、想定より後方からになった位置取りも見事にリカバーして、アドマイヤマーズは3歳マイル王に輝いたのだった。

（谷川　善久）