グランプリ!有馬記念
  • 引退レースで振り返る

    有終の美を飾った名馬たち

    オグリキャップ

    「芦毛の怪物」による
    感動のラストラン

    公営・笠松競馬から移籍し、数々の激闘を演じてきたオグリキャップもこの年、すでに5歳。天皇賞(秋)6着、ジャパンカップ11着と凡走が続き、迎えた引退レースの有馬記念はファン投票は1位ながら、単勝は4番人気止まりとなっていた。しかし芦毛の怪物は、最後に劇的な走りを見せる。直線、競り合いから懸命に抜け出すと、最後までしのぎきって先頭でゴール。ドラマチックな結末に、レース後は17万7779人の「オグリ」コールが鳴り響いた。

    シンボリクリスエス

    有馬記念史上最大着差
    伝説の「9馬身返し」

    現役最後のシーズンとして臨んだ4歳秋、シンボリクリスエスは天皇賞(秋)で史上初の連覇を果たすも、重馬場のジャパンカップは3着。レースはタップダンスシチーがJRA・平地GⅠ史上最大の9馬身差で逃げ切る衝撃的な結果となった。しかし迎えた最後の有馬記念、シンボリクリスエスは直線でジャパンカップの鬱憤を晴らすように後続を突き放した。2着リンカーンとの着差は有馬記念史上最大の9馬身。史上4頭目の連覇達成とともに有終の美を飾った。

    ディープインパクト

    万感の想いとともに
    最強馬が最後の飛翔

    武豊騎手が「飛んでいるよう」と評した走りで無敗の三冠馬に輝いたディープインパクト。日本競馬の悲願達成が期待された凱旋門賞は、まさかの3位入線から失格処分に。失意の中、帰国初戦のジャパンカップを完勝して迎えたのが引退レースの有馬記念だった。いつも通りの後方待機から勝負どころで進出すると、直線は圧巻の末脚。万感の想いを乗せた飛翔で国内唯一の敗戦となった1年前の雪辱を果たし、ターフを去った。

    オルフェーヴル

    最後まで底知れぬ強さ
    破天荒な怪物が圧勝

    史上7頭目の三冠制覇。二度の凱旋門賞2着。時にはゴール後に騎手を振り落とし、時にはレース中に大きく逸走した。そんな破天荒な怪物のラストランとなった有馬記念。後方から抑えきれない勢いで上昇したオルフェーヴルは、4コーナーで早くも先頭に並びかける。直線では後続を一方的に引き離し、最後は8馬身差。2着は日本ダービーでも菊花賞でも2着だった同期のウインバリアシオンという結果で、波乱万丈の競走生活を締めくくった。

    ジェンティルドンナ

    連敗中の三冠牝馬が
    最後に力強く復活

    牝馬三冠馬で、史上初のジャパンカップ連覇を達成。この春にはドバイシーマクラシックを制したジェンティルドンナだが、以降は宝塚記念、天皇賞(秋)と連敗。3連覇をかけたジャパンCも4着に敗れ、ラストランの有馬記念を迎えていた。三冠すべて2着だった同期の好敵手ヴィルシーナが引っ張る流れを3番手で追走したジェンティルドンナは、直線で抜け出すと後続の追撃を完封。力強い復活勝利で、その華やかな競走生活の掉尾を飾った。

    キタサンブラック

    国民的人気馬が
    集大成の逃げ切り勝ち

    日本を代表する歌手の北島三郎さん(名義は株式会社大野商事)が所有し、国民的人気を誇ったキタサンブラック。ラストランは、自身の走りの集大成のような堂々たる逃げ切り勝ちだった。独走態勢で直線に入ると、クイーンズリング、シュヴァルグラン、スワーヴリチャードの追撃を寄せ付けず、2着争いを1馬身半後方に見ながらゴール。史上最多タイのJRA・GⅠ7勝、JRA通算獲得賞金歴代1位の記録達成(当時)とともに、現役生活の最後を飾った。

    リスグラシュー

    驚異的な走りの連続
    最後は5馬身差の圧勝

    リスグラシューのラストイヤー後半は、まさに驚きの走りの連続だった。宝塚記念を3馬身差で制すると、秋はオーストラリアのコックスプレートで海外G1制覇。引退レースの有馬記念は1歳下のアーモンドアイの参戦が話題を集める中、大外から豪快に差して後続を突き放し、5馬身差の圧勝を飾った。同一年の宝塚記念&有馬記念制覇は史上10頭目、牝馬では初の快挙。あまりの強さに引退を惜しむ声も上がる中での繁殖入りとなった。