紫菊賞快勝のアドマイヤジャスタは豪G1勝ち馬アドマイヤラクティの弟、重賞2連勝中のニシノデイジーはニシノフラワーの子孫、ラジオNIKKEI杯京都2歳Sでクラージュゲリエに食い下がったブレイキングドーンはアグネスフローラを祖先に持つ。

素質の高さを感じさせる若駒たちが揃ったホープフルS（GⅠ）で、単勝オッズ1.8倍の断然人気に推されたのがサートゥルナーリアだ。

サートゥルナーリアの父は三冠牝馬アーモンドアイらを出したロードカナロア、母は日米オークス制覇のシーザリオ、兄にはエピファネイア、リオンディーズというGⅠ馬2頭がいる。その豪華な血統に加え、一瞬の脚で好位から抜け出した新馬戦、最後まで追うことなくゴールした萩Sと、余裕たっぷりの2連勝によってさらに注目度を高めていた。

この日は絶好のスタートを決めたサートゥルナーリア。だが鞍上のミルコ・デムーロ騎手は「コーナーが4つのレースは初めて。ハナには行きたくない」と手綱を絞り、コスモカレンドゥラの直後2番手に収まる。そのままゆったり流れたレースは、3コーナー過ぎからペースアップ。各馬が外から押し上げてきたため、サートゥルナーリアは馬群の内に閉じ込められる形となった。

直線でも、サートゥルナーリアの前は壁。が、競り合うアドマイヤジャスタとブレイキングドーンの間に馬体を滑り込ませ、グッと割って出てくる。その力強さと鋭さは、鮮やかのひとこと。瞬く間に突き抜けたサートゥルナーリアは、やはり最後は流す余裕を見せながら、2着アドマイヤジャスタに1馬身半差をつけて先頭ゴールを飾る。

「今年いちばん強い2歳馬だからね」というデムーロ騎手の言葉に、疑いをさしはさむ余地のない、素晴らしいGⅠ制覇だった。

（谷川　善久）