2020年 重賞レース一覧天皇賞(春)
天皇賞(春)(GⅠ)は、ファンの影がないスタンドに見守られての開催。だが、その寂しさを吹き飛ばすスリリングな差し切りを演じたのは、フィエールマンだ。
1周目の直線、ゴール板に差し掛かるあたりで、それまで控えていた3番人気のキセキがハナを奪い、復活を懸けて淡々としたペースを刻んでいく。好位には日経新春杯勝ち馬モズベッロら、これを見るポジションに阪神大賞典快勝の2番人気ユーキャンスマイル、日経賞を制したミッキースワローは中団のやや後ろからの競馬だ。
有馬記念以来の実戦となるフィエールマンも中団の外につけた。鞍上のクリストフ・ルメール騎手いわく「休み明けなので、たぶんトップコンディションではない。でもリラックスして走れば必ずいい脚を使う馬」と、折り合いに専念しての追走だ。「外枠だったので他の馬のプレッシャーもなく、スムーズだった」と、すんなり流れに乗る。
2周目3コーナー過ぎから各馬の手綱が動き始める中で、フィエールマンは楽々と最終コーナーを回り切る。最後の直線では「反応も良く、フルパワーを使うことができた。楽勝だと思った」とルメール騎手も自信を抱きながらのスパートだ。
好位にいたスティッフェリオが抜け出し、直後からはミッキースワロー、内ラチ沿いにユーキャンスマイル、そして外からひときわ目立つ脚色でフィエールマンが伸びる。スティッフェリオの渾身の粘りに手こずって「ゴールまでファイトしなければならなかった」フィエールマンだが、その甲斐あって、きっちりと捉えることに成功したのだった。
フィエールマンは昨年、平成最後の天皇賞(春)をクビ差で制したのに続き、令和最初の今年はハナ差1着で、史上5頭目となる同レース連覇を達成。ルメール騎手は天皇賞(秋)も2018年レイデオロ、2019年アーモンドアイで勝利しており、こちらは史上初となる天皇賞4連覇だ。現代を代表する“盾男”たちが見せた、鮮やかな差し切り勝ちであった。
(谷川 善久)
着順 | 枠 | 馬番 | 馬名 | 性齢 | 負担重量 | 騎手 | タイム | 着差 | コーナー通過順位 | 推定上り | 馬体重(増減) | 調教師 | 単勝人気 |
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1 | 14 | フィエールマン | 牡5 | 58.0 | C.ルメール | 3:16.5 |
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34.6 | 490(+8) | 手塚 貴久 | 1 | ||
2 | 6 | スティッフェリオ | 牡6 | 58.0 | 北村 友一 | 3:16.5 | ハナ |
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35.1 | 446(-2) | 音無 秀孝 | 11 | |
3 | 5 | ミッキースワロー | 牡6 | 58.0 | 横山 典弘 | 3:16.9 | 2 1/2 |
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35.3 | 478(0) | 菊沢 隆徳 | 4 | |
4 | 7 | ユーキャンスマイル | 牡5 | 58.0 | 浜中 俊 | 3:16.9 | クビ |
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35.1 | 500(0) | 友道 康夫 | 2 | |
5 | 3 | トーセンカンビーナ | 牡4 | 58.0 | 藤岡 康太 | 3:17.2 | 1 3/4 |
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35.3 | 458(+4) | 角居 勝彦 | 7 | |
6 | 8 | キセキ | 牡6 | 58.0 | 武 豊 | 3:17.3 | 1/2 |
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36.8 | 512(+6) | 角居 勝彦 | 3 | |
7 | 1 | モズベッロ | 牡4 | 58.0 | 池添 謙一 | 3:17.4 | クビ |
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35.8 | 478(+6) | 森田 直行 | 5 | |
8 | 11 | メイショウテンゲン | 牡4 | 58.0 | 幸 英明 | 3:17.5 | 1/2 |
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35.8 | 470(+8) | 池添 兼雄 | 10 | |
9 | 4 | ダンビュライト | せん6 | 58.0 | 松若 風馬 | 3:17.6 | 3/4 |
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36.7 | 490(+2) | 音無 秀孝 | 8 | |
10 | 2 |
エタリオウ
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牡5 | 58.0 | 川田 将雅 | 3:17.9 | 2 |
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35.5 | 474(+8) | 友道 康夫 | 6 | |
11 | 10 | メロディーレーン | 牝4 | 56.0 | 岩田 望来 | 3:18.2 | 1 3/4 |
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35.5 | 340(-2) | 森田 直行 | 13 | |
12 | 9 | ミライヘノツバサ | 牡7 | 58.0 | 木幡 巧也 | 3:18.7 | 3 |
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36.3 | 502(+4) | 伊藤 大士 | 12 | |
13 | 13 | ハッピーグリン | 牡5 | 58.0 | 和田 竜二 | 3:24.7 | 大差 |
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42.2 | 460(-6) | 森 秀行 | 14 | |
14 | 12 | シルヴァンシャー | 牡5 | 58.0 | M.デムーロ | 3:24.9 | 1 1/4 |
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42.2 | 482(+2) | 池江 泰寿 | 9 |
ハロンタイム | 13.2 - 12.4 - 12.4 - 12.5 - 12.5 - 12.0 - 11.6 - 12.5 - 12.1 - 12.2 - 12.7 - 12.5 - 11.9 - 11.9 - 11.9 - 12.2 |
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上り | 4F 47.9 - 3F 36.0 |
1コーナー | 8-4-6,1,13(7,12)14(2,5)9,11,10-3 |
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2コーナー | 8-4-6,1,13,7,12,14,2,5,9,11,10,3 |
3コーナー(2周目) | 8-4-6-1(5,11)(7,13,14,3)2(12,9)10 |
4コーナー(2周目) | 8-4-6(1,5)7,14(11,3)-2,9,10,12,13 |
勝馬 | フィエールマン [牡5・鹿毛] 父:ディープインパクト 母:リュヌドール |
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馬主 | 有限会社 サンデーレーシング |
生産地 | 北海道勇払郡安平町 |
生産牧場 | ノーザンファーム |
戦績 | 10戦5勝 (内中央) 9戦5勝 (内海外) 1戦0勝 |
獲得賞金 | 573,059,000円 (内中央) 573,059,000円 (内海外) 0円 |
主な勝鞍 | 重賞3勝目 2018年 菊花賞(GⅠ) 2019年 天皇賞(春)(GⅠ) |
騎手 | C.ルメール:4勝目 2018年(秋) レイデオロ 2019年(春) フィエールマン 2019年(秋) アーモンドアイ |
調教師 | 手塚 貴久:2勝目 2019年(春) フィエールマン |