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  • “主役”ディープインパクト産駒を倒す馬は?
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    桜花賞に最も強い種牡馬はディープインパクト。これまでに5勝、2着4回という成績を残しています。過去10年間の種牡馬別連対数を調べると、ディープインパクトの9回は頭抜けたトップで、キングカメハメハ、ダイワメジャー(それぞれ2回連対)を大きく引き離しています。

    クイーンCを勝ったミヤマザクラ、シンザン記念を勝ったサンクテュエール、アルテミスSを勝ったリアアメリアは、いずれもディープインパクトの娘たち。これらを甘く見るのは禁物です。

    2歳女王レシステンシアは、過去2回連対馬を出しているダイワメジャーの娘。断然人気に推されたチューリップ賞で決め手勝負に屈しましたが、ダイワメジャー産駒らしくスピードの持続力に強みがあるので、ペースが上がるであろう本番では見限れません。

    クラヴァシュドールの父ハーツクライは、桜花賞では勝ち星こそないものの2着、3着があります。もちろん争覇圏内でしょう。

    JRA賞再優勝 レステシア

    ◆JRA賞最優秀2歳牝馬 レシステンシア

    マルターズディオサ、デアリングタクトは、それぞれ新種牡馬のキズナ、エピファネイアを父に持ちます。これらがあっさり勝つようなら種牡馬界の世代交代が加速しそうです。

    桜花賞ほどではないにしろ、皐月賞でもディープインパクト産駒の強さは目立ちます。過去10年間に2勝、2着3回。連対数5回はステイゴールド、キングカメハメハ、フジキセキの2回を上回ります。中山コースは小回りコースなので、ディープインパクト産駒向きの舞台とはいえませんが、基礎能力が高く、なおかつ3歳春に上昇してくるので、好成績を残せるのでしょう。

    Jチューリップ賞優勝 マルターズディオサ

    ◆チューリップ賞優勝 マルターズディオサ

    昨年のJRA賞最優秀2歳牡馬に輝いたコントレイルと、弥生賞ディープインパクト記念を勝ったサトノフラッグはディープインパクト産駒。なおかつ、いずれも中山芝2000mで重賞を勝っています。大きく崩れることはなさそうです。

    JRA賞最優秀2歳牡馬 コントレイル

    ◆JRA賞最優秀2歳牡馬 コントレイル

    弥生賞ディープインパクト記念優勝 サトノフラッグ

    ◆弥生賞ディープインパクト記念優勝 サトノフラッグ

    朝日杯フューチュリティSを勝ったサリオスは、ハーツクライ産駒なので距離延長はプラスに思えますが、デインヒルを抱えた同産駒は意外にマイラータイプが多く、馬のタイプを見てもマイルがベストでしょう。距離延長は歓迎材料とはいえません。

    共同通信杯を勝ったダーリントンホール、ホープフルS2着のヴェルトライゼンデ、京成杯を勝ったクリスタルブラックは展開の助けがほしいところですが、いずれも道悪は上手なので、雨が降れば一発があります。

  • 強力な既存勢力に対抗できるのは新興勢力
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    桜花賞を展望する上で最も重要になるのは阪神JFとチューリップ賞で3着以内に入った3頭。力関係が拮抗しているからこそ、3ヶ月経っても同じ3頭が上位争いしているのだと思います。ゆえにこの3頭とすでに対戦した馬の巻き返しよりも初顔合わせという馬に魅力を感じます。

    その筆頭に考えているのが、クイーンCを勝ったミヤマザクラ。1000m通過が57秒7というハイペースを2番手で追走しながら、東京の長い直線を押し切った持続力は相当なもの。これに加えて、強調したいのは調教内容。桜花賞という舞台に好成績を残す調教場所が「栗東坂路」ですが、前走時の2週前追い切り(1月30日)では栗東坂路で2F24.2秒という脚力を見せており、阪神の急坂をスイスイ駆け上がってくるイメージが沸きます。

    クイーンC優勝 ミヤマザクラ

    ◆クイーンC優勝 ミヤマザクラ

    阪神JFとチューリップ賞の上位3頭の中ではレシステンシアがトライアルを使って一番変わり身がありそう。追い切り本数があと1本足りないという状態でしたし、阪神JFで見せたスピードをフルに発揮する走りを見せてくれれば、後続はそう簡単に追いつけません。

    そして、阪神JFで単勝1.8倍の支持を受けながら6着に終わったリアアメリア。前走の負けも踏まえて、桜花賞には直行するローテーション。あれが本当の力ではないはずなので、この馬が一番強かったというシーンがあっても不思議ではありません。

    桜花賞に直行するリアアメリア

    ◆桜花賞に直行するリアアメリア

    皐月賞の主役は朝日杯FSを勝ったサリオス、ホープフルSを勝ったコントレイルの2頭で間違いないでしょう。どちらも今年の初戦がGⅠになりますが、休み明けということに関しては問題ないと思いますし、この2頭に割って入るのは至難の業かも知れません。

    ただ、アドマイヤビルゴの伸びしろには注目すべきだと思います。POG本の取材で友道康夫調教師にお話しを聞いた時は「小柄な馬で成長を待ちたい」というコメントでしたが、年明けデビューが大正解。その後も若葉Sに照準を合わせて調整しましたが、その間に見違えるほどの成長を見せました。その結果が若葉Sの勝ち時計、1分58秒6だと思います。

    中山芝2000mで行われる皐月賞は南W(美浦トレーニング・センター)やCW(栗東トレーニング・センター)といったトラック馬場での追い切りと坂路での追い切りを併用する調教内容が最適。アドマイヤビルゴはこの併用調教でここ2戦を勝ち上がっていますから、GⅠも同じ調整なら当然楽しみです。

    若葉Sを完勝したアドマイヤビルゴ

    ◆若葉Sを完勝したアドマイヤビルゴ

    ◆本番での巻き返しが期待されるマイラプソディ

    ◆本番での巻き返しが期待されるマイラプソディ

    もう1頭、友道厩舎からマイラプソディ。皐月賞と同じ、コーナー4つの芝2000mは京都2歳Sでの勝利があります。前走の敗因はスローペースだと思いますから、ハイペースになるであろうこの舞台は合うでしょう。こちらも友道厩舎ですから、併用調教で仕上げてくるはずです。

  • クラシック血統ディープインパクト産駒が鍵を握る皐月賞、毎年の様に好走馬を複数輩出するチューリップ賞組が鍵を握る桜花賞
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    今年の皐月賞は、種牡馬リーディングで2トップを張るディープインパクトとハーツクライの産駒が有力勢の多数派を占めて、いわば2大勢力を形成する様相です。

    ただし、現代の芝王道路線では欠かすことのできない両種牡馬の産駒ですが、活躍するカテゴリーについては被る傾向があるものの、活躍する時期については多少異なる傾向があります。例えばこの皐月賞でも、芝2000m条件と見れば両種牡馬の産駒が共に活躍していて良さそうな所ですが、実際にはディープインパクト産駒の好走(3着以内)は9例あるのに対して、ハーツクライ産駒の好走は0例となっています。

    皐月賞に直行するコントレイル

    ◆皐月賞に直行するコントレイル

    それは、クラシック血統ともいえるディープインパクトの牡馬産駒は、この3歳春シーズンにパフォーマンスを急伸させる馬が多いのに対して、晩成血統ともいえるハーツクライの牡馬産駒の相対的な成長期はもっと遅れてやって来るのが通例という“成長曲線”の違いが最たる背景と見られます。実際に、ハーツクライの牡馬産駒で2歳重賞を好走した馬の3歳初戦成績は[1-2-1-9]と平凡なデータとなっている通りで、完成度の高さから2歳時から走れた馬でも、3歳春シーズン前半は伸び悩む馬が非常に目立ちます。

    今年のメンバーで言えば、ハーツクライ産駒であり2歳時に残した実績を根拠に人気を集めるサリオス・マイラプソディ・ワーケアよりも、同じレベルの実績馬でもディープインパクト産駒としてこの時期の成長力が見込めるコントレイル・サトノフラッグの方が、より信頼に足る買うべき馬だと見られます。

    弥生賞ディープインパクト記念を完勝したサトノフラッグ

    ◆弥生賞ディープインパクト記念を完勝したサトノフラッグ

    対して桜花賞についてですが、まず牡馬よりも全体的に早熟傾向にある牝馬同士の戦いとなる分、牡馬戦線では出足が遅れがちなハーツクライ産駒でも十分間に合わせられて、実際に過去に複数の好走馬を輩出しています。また近4年の12頭の好走馬の内、10頭が異なる父の産駒となっているなど血統的な偏りは薄い傾向だけに、皐月賞と同じアプローチは有効ではありません。

    本番での巻き返しが期待されるレシステンシア

    ◆本番での巻き返しが期待されるレシステンシア

    それよりも、前走出走レース別の傾向で、近7年の好走馬21頭中15頭の大多数をチューリップ賞組が占めているデータこそ、最も重要視して見るべきです。その上で同組の中での取捨ですが、ここで注目したいのは同レースを馬体重増で好走した馬の桜花賞成績は近10年[2-2-2-5]というデータです。本年で言えば、権利獲りも懸かっていた中で馬体減の仕上げで力を尽くして好走したクラヴァシュドールよりも、本番を見据えた馬体増の仕上げで余力を残すレース振りでも好走したレシステンシアこそ、本番での魅力が大きい買うべき一頭だと見られます。

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