エプソムCは5週連続GⅠ開催の余韻が残る東京競馬場で行われる。過去10年の優勝馬には、重賞勝ちのほかGⅠ3着以内の実績もあったクラレントとルージュバックが名を連ねる一方で、その年の暮れの香港CでGⅠ初制覇を遂げることになるエイシンヒカリなど8頭は、当レースで重賞初制覇を果たした馬だった。実績馬がその実力を誇示するのか、それとも新たにGⅠ戦線に名乗りを上げる馬が現れるのか。過去10年の結果を参考に、好走馬に共通するポイントを探っていく。
過去10年の単勝人気別成績を調べると、3着以内馬延べ30頭中21頭は5番人気以内だった。2020年は18番人気のトーラスジェミニが3着に入ったが、2桁人気馬が馬券に絡んだのはこの年だけ。あとの9回は5番人気以内の馬が少なくとも2頭は3着以内に入っているので、上位人気馬を中心に6番人気から9番人気あたりの馬を絡めた馬券が面白そうだ。〔表1〕
単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1〜5番人気 | 9-7-5-29 | 18.0% | 32.0% | 42.0% |
6〜9番人気 | 1-3-4-32 | 2.5% | 10.0% | 20.0% |
10番人気以下 | 0-0-1-66 | 0% | 0% | 1.5% |
昨年はノースブリッジが3勝クラスからの連勝を決めたが、過去10年の前走別成績を見ると中心は前走もオープンクラスのレースだった馬で、その中でも前走がJRA重賞だった馬が3着以内馬延べ30頭中17頭を占めている。〔表2〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
JRA重賞 | 5-5-7-55 | 6.9% | 13.9% | 23.6% |
オープン特別 | 4-4-1-63 | 5.6% | 11.1% | 12.5% |
3勝クラス | 1-0-2-8 | 9.1% | 9.1% | 27.3% |
地方 | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
海外 | 0-1-0-0 | 0% | 100% | 100% |
ただし、JRA重賞組は前走で3着以内に入っていた馬の優勝例がない点に注意が必要だろう。単勝1番人気に支持されたアルジャンナ(2021年、前走読売マイラーズC2着)が10着に敗れるなど、上位人気の期待に応えられなかったケースも多く、該当馬は過信禁物といえそうだ。〔表3〕
前走の着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3着以内 | 0-1-3-10 | 0% | 7.1% | 28.6% |
4着以下 | 5-4-4-45 | 8.6% | 15.5% | 22.4% |
一方、オープン特別組は3着以内に入った延べ9頭中7頭が前走でも3着以内に入っていた。これに該当する馬が単勝2番人気以内に支持されていた場合、〔3・2・1・4〕(3着内率60.0%)と好成績で、こちらは上位人気の支持に高確率で応えている。〔表4〕
前走の着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3着以内 | 3-3-1-27 | 8.8% | 17.6% | 20.6% |
4着以下 | 1-1-0-36 | 2.6% | 5.3% | 5.3% |
過去10年の3着以内馬は半数が4歳で、3着内率も41.7%と他の年齢を大きく上回っている。3連単400万円超の大波乱を演出したトーラスジェミニをはじめ、単勝6番人気以下の馬が3着以内に5頭と、伏兵馬の好走が少なくないのも4歳馬の特徴となっている。対照的に、7歳以上の馬は2014年にダークシャドウが3着に入ったのみと振るわない。7歳以上の馬は評価を下げるべきだろう。〔表5〕
年齢 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
4歳 | 6-5-4-21 | 16.7% | 30.6% | 41.7% |
5歳 | 3-2-2-35 | 7.1% | 11.9% | 16.7% |
6歳 | 1-3-3-30 | 2.7% | 10.8% | 18.9% |
7歳以上 | 0-0-1-41 | 0% | 0% | 2.4% |
〔表5〕のとおり7歳以上の馬は苦戦が予想されるので、まずは6歳以下の馬に絞り込みたい。また、冒頭で述べたように過去10年の優勝馬10頭中8頭は当レースが重賞初勝利で、ここ5年は重賞での最高着順が2着か3着だった馬が優勝している。さらに、この5頭は新馬戦、1勝クラスとデビュー直後に連勝を飾っていた点も同じ。早くから頭角を現し、重賞で上位に入った経験のある馬が、当レースで待望の重賞タイトルを獲得するのが近年のトレンドとなっている。〔表6〕
(高那実 マヤ)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年度 | 優勝馬 | 年齢 | JRA重賞での最高着順 |
---|---|---|---|
2018年 | サトノアーサー | 4歳 | 2着(毎日杯ほか) |
2019年 | レイエンダ | 4歳 | 2着(セントライト記念) |
2020年 | ダイワキャグニー | 6歳 | 3着(金鯱賞ほか) |
2021年 | ザダル | 5歳 | 3着(セントライト記念) |
2022年 | ノースブリッジ | 4歳 | 3着(ラジオNIKKEI賞) |
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