今週の注目レース

日経賞(GⅡ)

中山競馬場 2500メートル(芝)別定 4歳以上オープン

出走馬情報

タイトルホルダー

牡5歳

調教師:栗田徹(美浦)

  • 父:ドゥラメンテ
  • 母:メーヴェ
  • 母の父:Motivator
ここに注目!

一昨年の菊花賞馬。昨年は日経賞、天皇賞(春)、宝塚記念と3連勝して、歴史的ステイヤーへと成長を遂げた。秋は凱旋門賞(G1・フランス・芝2400メートル)11着、有馬記念9着と、らしさがうかがえなかったが、ここから再上昇といきたいところだ。

菊花賞を5馬身差で圧勝し、続く有馬記念は1度先頭に立っての5着。さらなる飛躍を期待されて迎えたのが昨年の日経賞だった。大一番を控えての前哨戦ということで万全の態勢ではなかったようだが、貫禄の逃げ切り。クビ差までボッケリーニに迫られたとはいえ、着差の印象以上に強い内容だった。その後は天皇賞(春)、宝塚記念まで3連勝。歴史的名馬まで上り詰めた。凱旋門賞(G1・フランス)は11着。その影響もあったのか前走の有馬記念(9着)も不本意な結果になったが、あれが実力でないことは衆目の一致するところだろう。昨年連勝の始まった本レースで、再び上昇気流に乗りたい。

アスクビクターモア

牡4歳

調教師:田村康仁(美浦)

  • 父:ディープインパクト
  • 母:カルティカ
  • 母の父:Rainbow Quest
ここに注目!

昨年のクラシック三冠で皐月賞5着、日本ダービー3着、菊花賞1着。ハナ差とはいえ菊花賞はコースレコード勝ちだった。現4歳世代を代表する長距離巧者と言っていいだろう。初めて他の世代と対戦するが、今後を占う意味でも大事な一戦になる。

菊花賞が驚きの強さ。ハイペースで流れたなかを2番手で追走。残り600メートル付近で逃げ馬をかわすと、大きなリードを作って直線へ向いた。ラストは勝負あったかというところからボルドグフーシュ(2着)、ジャスティンパレス(3着)が猛追してきたが、ハナ差だけリードを守り切ったところがゴール。クラシック三冠最終戦をコースレコード勝ちでつかみ取った。前記ボルドグフーシュが有馬記念で2着、そのボルドグフーシュも出走した先週の阪神大賞典で勝ったのがジャスティンパレス。これらを抑えた菊花賞の比較から、初の他世代相手のレースでも互角以上に戦える算段が立つ。今季の好発進を期待してよさそうだ。

ヒートオンビート

牡6歳

調教師:友道康夫(栗東)

  • 父:キングカメハメハ
  • 母:マルセリーナ
  • 母の父:ディープインパクト
ここに注目!

重賞勝ちこそないが、昨年の天皇賞(春)で4着に入るなど地力は確か。昨年の本レースは3着も、勝ったタイトルホルダーとは0秒1差。レース運びのうまさも光った。その昨年は久々での好走。今年も初戦から上位争いに加わってきそうだ。

一昨年のチャレンジCから、重賞では7戦連続して掲示板(5着以内)を外していない堅実派。その反面勝ち切れないイメージだが、距離も競馬場も馬場コンディションも問わずに走れていることが能力の証明でもある。いまだ重賞未勝利なのが不思議なほどだが、タイトルに一番近づいたと言えるのが昨年の日経賞だった。好位外めのポジションから2周目3コーナー過ぎで一気に進出。直線半ばには逃げていたタイトルホルダー(1着)らを飲み込むかという勢いもあったが、最後は内2頭のしぶとさに屈して3着に敗れた。詰めが課題とはいえ、安定感はメンバー随一。昨年同様、好勝負になりそうだ。

キングオブドラゴン

牡6歳

調教師:矢作芳人(栗東)

  • 父:ハーツクライ
  • 母:ベガスナイト
  • 母の父:Coronado's Quest
ここに注目!

年明けから素質馬がそろったGⅡで連続好走。昨年はオープンクラスで壁を感じる競馬が続いていたが、その壁は完全に打破した様子で、ハーツクライ産駒らしい成長力を見せている。順調度も強調材料。中山で2勝とコース実績も十分だ。

昨年3月の3勝クラス・湾岸S(中山・芝2200メートル)を勝ってオープンクラス入り。その後は苦戦が続き、目立つ成績は鳴尾記念の5着くらいだったが、今年に入って内容が一変した。今年初戦となった日経新春杯では、2番手からゴール寸前まで先頭を守る競馬で2着に好走。続く京都記念は勝ち馬のドウデュースが早めに動いてくる厳しい展開を直線踏ん張り通しての4着と、明確に地力強化がうかがえる。自身の成長を強調できる一方、既に年明け2戦している点は、ここが今年初戦となる有力馬に対してのアドバンテージとなりそうだ。突如として急成長を遂げるのがハーツクライ産駒の特長。本馬もその先例に続きたい。

ディアスティマ

牡6歳

調教師:高野友和(栗東)

  • 父:ディープインパクト
  • 母:スウィートリーズン
  • 母の父:Street Sense
ここに注目!

長期休養明けから2戦して5着、9着と、まだ完全復調には至っていないようだが、一昨年の天皇賞(春)では逃げて見せ場十分の6着。持久力とスピードはここでも通用するはずだ。前走後、再度立て直した効果に注目。展開面でも見逃せない。

長距離馬として開眼したことを印象づけたのが2020年の2勝クラス・グッドラックH(中山・芝2500メートル)と、一昨年の3勝クラス・松籟S(阪神・芝3200メートル)の連勝。特に松籟Sは開催時期、使用コースが違うとはいえ、同年の天皇賞(春)の優勝タイムと0秒2しか違わない時計で走破。ステイヤーとしての高い資質を見せつけてのオープンクラス入りとなった。その後、札幌日経オープン(リステッド・札幌・芝2600メートル)を勝ったのち、故障で長期離脱へ。復帰後の京都大賞典(5着)とステイヤーズS(9着)を見るとまだ復調半ばのようだが、中間はしっかりと追われており、ここ2戦以上に攻められている印象。復活が今回という可能性は十分にありそうだ。

ライラック

牝4歳

調教師:相沢郁(美浦)

  • 父:オルフェーヴル
  • 母:ヴィーヴァブーケ
  • 母の父:キングカメハメハ
ここに注目!

昨年のフェアリーSで重賞初制覇。その後の牝馬三冠では振るわなかったが、前走のエリザベス女王杯では目を見張る伸びを見せて2着(同着)に入った。オルフェーヴル産駒なら、この舞台でさらに良さが出る可能性あり。軽視はできない。

驚かされたのが前走のエリザベス女王杯。牝馬三冠で桜花賞16着、オークス11着、秋華賞10着と苦戦していたのがうそのような直線一気の脚を見せ、2着まで追い上げた。馬場状態(重)と展開が向いた面はあっただろうが、勝ったジェラルディーナが次走の有馬記念で3着。2着同着のウインマリリンは次走の香港ヴァーズ(G1・香港)を勝っており、本馬も前記2頭と同等の活躍を見込んでいいはずだ。2400メートルを超える距離は今回が初めてだが、父オルフェーヴルは日経賞と同じ中山・芝2500メートルの有馬記念を2勝。また、本馬の初重賞勝ちは中山だった。この条件で、これまで以上の走りを見せるシーンがあるかもしれない。

ボッケリーニ

牡7歳

調教師:池江泰寿(栗東)

  • 父:キングカメハメハ
  • 母:ポップコーンジャズ
  • 母の父:ダンスインザダーク
ここに注目!

昨年末はGⅠに2度挑戦して苦杯を舐めたが、GⅡでは3着、2着、1着、2着と崩れていない。しかも、昨年2着の本レースでは、勝ったタイトルホルダーにクビ差の接戦まで持ち込んだ。当時だけ走れれば十分に圏内の一頭だろう。

2020年の中日新聞杯で重賞初勝利。2022年の目黒記念が重賞2勝目となった。その目黒記念の前が昨年の日経賞。タイトルホルダーの直後で脚をため、最後の直線はそのタイトルホルダーの内を突いてクビ差まで迫ったところがゴール。レース巧者であるとともに、あらためて一線級の能力があることを示す結果だった。前々走のジャパンカップ(17着)は不向きな瞬発力勝負が敗因の一つ。前走の有馬記念(11着)も外枠スタートで流れに乗り切れず、身上のセンスの良さを生かせなかった。いずれにせよGⅡなら力上位は明らか。ここまで十分過ぎるほどの調教を積んでいることも強調できる。

マカオンドール

牡5歳

調教師:今野貞一(栗東)

  • 父:ゴールドシップ
  • 母:ミリオンウィッシーズ
  • 母の父:Darshaan
ここに注目!

昨年はオープン特別・万葉S(中京・芝3000メートル)を勝って、阪神大賞典でも4着と健闘。この父らしく長距離で才能が花開いた。今回は昨年の目黒記念(14着)以来となるが、2月から十分な調教を積んでの復帰戦。中間は好時計も出していて、即好走可能な態勢が整っている。

昨年の阪神大賞典は相手がそろったなか、長くいい脚を使って4着。この時ハナ差の3着馬が、同年12月のステイヤーズSと今年2月のレッドシーターフH(G3・サウジアラビア)を連勝したシルヴァーソニック。同馬と互角に戦えたことが、本馬のステイヤーとしての資質の高さを示している。少し長い休養明けになる点は気になるところだが、2月中旬から間断なく乗られており、3月15日の1週前追い切りでは栗東坂路の自己ベストタイムを1秒も短縮する4ハロン49秒6をマーク。むしろ、これまで以上にパワーアップを遂げている可能性もある。少なくとも状態面に心配はなさそうだ。

(山下 健)

ご注意 「今週の注目レース」ページの情報は、特別レース登録馬や過去のレース結果に基づいて制作しております。JRAが特定の競走馬を応援、推奨するものではありません。出走取りやめ、出走取消などにより、掲載した競走馬がレースに出走しないことがあります。

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