牡4歳
調教師:宮本博(栗東)
今回と同じ舞台の菊花賞(2着)で好走している馬。ここは願ってもない条件と言えるだろう。帰厩後の動きが素晴らしいだけでなく、過去は休み明けでも結果を残している。馬体重増があったとしても、それはパワーアップの証明と受け取りたい。
コースレコード決着だった前々走の菊花賞が、勝ったアスクビクターモアとハナ差の2着。昨年末の有馬記念でも勝ち馬イクイノックスから0秒4差の2着に入るなど、ハイレベルなGⅠの舞台でも好走を続けているが、重賞のタイトルは獲得できていない。今年の初戦に選んだこの一戦で、自身の能力に見合った箔を付けておきたいところだろう。スタミナが豊富で、折り合い面の不安もないスクリーンヒーロー産駒の本馬は、長距離レースの最高峰になる天皇賞(春)を今シーズンの最大目標に設定。前哨戦を勝ち、勢いをつけて本番に挑みたいとの思いもあるはずだ。
牡6歳
調教師:大久保龍志(栗東)
阪神大賞典を連覇し、阪神競馬場で代替開催をした過去2年の天皇賞(春)では2年連続で2着。タフなコース設定で知られる本舞台への適性の高さは誰もが認めるところだ。この馬の力を発揮できれば、大崩れする可能性は低いだろう。
2度目の挑戦となった前々走の凱旋門賞(G1・フランス・芝2400メートル)は18着、帰国初戦の有馬記念では8着と結果を出せなかった昨秋だが、凱旋門賞は日本馬に厳しい馬場コンディション(重)がこたえたものであり、前走の有馬記念はコース形態的に難しいとされる16頭立ての大外枠。ポジションを取る競馬がしたいタイプの本馬にとっては、あまりに厳しい状況だった。加えて、降雪の影響により、中山競馬場までの輸送時間も大幅に増加。これもパフォーマンスを上げ切れなかった理由と言えるのかもしれない。これまでの実績からも、巻き返しは必至のはずだ。
牡4歳
調教師:杉山晴紀(栗東)
ゲートに課題を残す馬だったが、昨秋の3戦では上手にスタートを切っていた。今回のレースでもクリアできるようなら本物だろう。牡馬にしては小さめの450キログラム台の馬体重が増えてくるかにも注目したい。
昨年秋初戦の神戸新聞杯を3馬身1/2差で快勝し、前々走の菊花賞ではコースレコード決着のなか勝ち馬アスクビクターモアから0秒1差の3着に好走。前走の有馬記念では直線で伸び切れずに7着と掲示板(5着以内)を外したが、3コーナー手前からペースが上がった展開がこたえた側面もあるだろう。タイトルホルダー(9着)、ディープボンド(8着)などの実績馬には先着を果たしており、悲観する結果ではなかったと言える。デビュー当初から晩成タイプと見られていた馬で、昨秋の段階でも伸びしろをたっぷりと残していた。今年の初戦から注目したいレースとなりそうだ。
牡5歳
調教師:吉岡辰弥(栗東)
今回が美浦から栗東への転厩初戦。3000メートルの距離はもちろん、阪神コースを走るのも初めてになる。タフな競馬になりやすい本レースへの適性があるかどうかが一番の焦点だろう。中間の調整は順調で、仕上がり面に不足はなさそうだ。
昨秋に3勝クラス・六社S(東京・芝2400メートル)を勝つと、前々走のアルゼンチン共和国杯で初の重賞タイトルを獲得。好位の3番手からあっさりと抜け出してきた内容も素晴らしかった。ワンパンチが足りない条件クラス時代のパフォーマンスを思えば、その成長度合いの大きさには注目が必要だろう。前走の有馬記念では16着と大敗を喫したが、一気に相手が強化したことに加え、先行タイプには難しい8枠15番からのスタートもこたえた印象がある。栗東トレーニング・センターへ移動した後の調整も順調な様子で、スムーズな競馬ができればここでも引けを取らないはずだ。
牡6歳
調教師:上村洋行(栗東)
成長をしているとはいえ、デビュー当初から気難しい性格で知られた馬。スムーズな競馬ができるかが最大のポイントになる。パドック、返し馬でのテンションは高いだろうが、これも毎度のこと。気にしなくていいはずだ。
今年初戦となった前走の東海Sでは、初めてのダートに挑戦。父がオルフェーヴルの血統背景、パワフルなフットワークなどから、興味深いチャレンジと思われたのだが、結果は勝ったプロミストウォリアから2秒1も離された10着と大敗を喫した。この1戦は度外視していいだろう。前々走のステイヤーズSでは勝ち馬から0秒5差の4着に入るなど、芝の長距離戦でのパフォーマンスには見るべきものがあり、昨年の阪神大賞典では勝ったディープボンドから0秒1差の2着と、今回の条件への適性の高さもすでに示している。芝に戻すここで、一変した走りを見せてもまったく驚けない。
牡8歳
調教師:友道康夫(栗東)
過去3年連続で出走している阪神大賞典の成績は〔1・1・0・1〕と悪くない。適性が問われる舞台なら、近走の成績を度外視してみる手もありそうだ。追い切りの動きは地味になってきたが、乗り込み量は十分。仕上がり面の不安はないだろう。
2019年のダイヤモンドSと新潟記念、2020年の阪神大賞典と重賞3勝をマークしている実績馬も、今年で8歳となった。さすがに全盛期の勢いはなくなってきた印象だが、昨年の新潟記念では勝ったカラテから0秒3差の2着に好走。条件がそろえば、重賞でも上位を争えるだけの能力を持っている。7着だった前々走のアルゼンチン共和国杯は、直線でゴチャつくロスがこたえたもので、8着だった前走のステイヤーズSはスタートでつまずき、流れに乗ることができなかった。最近は安定していないスタートを決める必要はあるが、スムーズな競馬ができれば、巻き返しても不思議はない。
牡8歳
調教師:高橋義忠(栗東)
キャリア30戦を消化している8歳のベテランだが、3000メートルの距離を走るのは今回が初めて。勝負どころではズブいくらいの馬なので、折り合い面の不安は少ないが、スタミナ面の課題はあるかもしれない。
後方でしっかりと脚をため、直線勝負の形で挑んだ前走の日経新春杯だったが、伸び切れずに10着と大敗。得意の左回りコースであったことを思えば、物足りない敗戦と言えるが、速い時計が出やすい馬場コンディションのほうが得意な馬。当日の馬場状態(稍重)がこたえたのかもしれない。一昨年の新潟大賞典を勝っている重賞ウイナーで、同年の天皇賞(秋)、ジャパンカップでともに4着と、GⅠでも上位を争った実績がある。前々走のチャレンジCで4着に入っているように、年齢的な衰えもそこまでないはずだ。今年2戦目での巻き返しを期待したい。
牡8歳
調教師:堀宣行(美浦)
父のディープインパクトにも似た小柄な馬体。前走時の馬体重はキャリア最小の数字だったが、マラソンレースを走るにあたってはこれぐらいのほうがいいのかもしれない。長距離輸送をクリアした前走の経験は大きいはずだ。
前走の3勝クラス・松籟S(阪神・芝3000メートル)を勝ち、8歳にしてオープン馬の仲間入りを果たした。この時は12番人気での勝利だったが、長距離適性の高さを感じさせた。父のディープインパクトは2006年の阪神大賞典勝ち馬で、菊花賞と天皇賞(春)も制覇するなど長距離実績は十分。母の父モンズーンも数多くのステイヤーを輩出したドイツのリーディングサイヤー。初めて挑んだ3000メートルの距離がプラスとなった印象だ。キャリア2戦での挑戦だった2018年秋のセントライト記念(10着)以来となる重賞参戦だが、今回は自身の適性を証明して挑む一戦。相手強化でも楽しみのほうが大きい。
(松浪 大樹)
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