2022年の中山記念で自身2度目の重賞制覇を果たしたパンサラッサは、次走のドバイターフでGⅠ初制覇を果たしたうえ、同年の天皇賞(秋)でも勝ったイクイノックスから1馬身差の2着に好走した。また、2021年の中山記念を勝ったヒシイグアスは、同年末の香港Cと2022年の宝塚記念で2着に入っている。さらに、2020年の優勝馬ダノンキングリーは2021年の安田記念を、2018年と2019年に連覇を果たしたウインブライトは2019年のクイーンエリザベスⅡ世Cと香港Cを、2017年の優勝馬ネオリアリズムは同年のクイーンエリザベスⅡ世Cを制した。当レースは国内だけでなく海外を含めたマイルから中距離の大舞台へとつながっていく見逃せない一戦だ。今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬延べ30頭中24頭は、通算出走数が19戦以内だった。一方、20戦以上だった馬は3着内率10.0%とやや苦戦している。キャリアが20戦以上の馬は過信禁物とみるべきだろう。〔表1〕
通算出走数 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
19戦以内 | 10-8-6-39 | 15.9% | 28.6% | 38.1% |
20戦以上 | 0-2-4-54 | 0% | 3.3% | 10.0% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭は、いずれも前走の出走頭数が14頭以上だった。前走の出走頭数が13頭以下だった馬は、割り引きが必要だ。〔表2〕
出走頭数 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
13頭以下 | 0-0-0-27 | 0% | 0% | 0% |
14頭以上 | 10-10-10-66 | 10.4% | 20.8% | 31.3% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中25頭は、前年のJRA・GⅠに出走した経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率8.5%と苦戦している。前年のGⅠを一度でも使われている馬は高く評価したい。〔表3〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 9-7-9-39 | 14.1% | 25.0% | 39.1% |
なし | 1-3-1-54 | 1.7% | 6.8% | 8.5% |
なお、前年のJRA・GⅠに出走した経験がなかったにもかかわらず3着以内に入った5頭は、いずれも前走の着順が3着以内だった。前年にGⅠを一度も使われておらず、なおかつ直近のレースで上位に入っていなかった馬は、評価を下げるべきだろう。〔表4〕
前走の着順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3着以内 | 1-3-1-14 | 5.3% | 21.1% | 26.3% |
4着以下 | 0-0-0-40 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中27頭は、前年以降に出走頭数が16頭以上だったJRA重賞において2着以内に入った経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率4.3%と苦戦している。前年以降に多頭数の重賞で連対を果たしている馬が中心と言えそうだ。〔表5〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 10-9-8-26 | 18.9% | 35.8% | 50.9% |
なし | 0-1-2-67 | 0% | 1.4% | 4.3% |
なお、前年以降に出走頭数が16頭以上だったJRA重賞において2着以内に入った経験がなかったにもかかわらず3着以内となった3頭のうち2頭は、同年の1回東京開催で行われた白富士Sにおいて2着以内に入っていた。今年でいうと1月28日に行われた白富士Sで2着以内に入っていた馬も、前年以降に多頭数の重賞で連対している馬と同等に評価するべきかもしれない。〔表6〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 0-1-1-3 | 0% | 20.0% | 40.0% |
なし | 0-0-1-64 | 0% | 0% | 1.5% |
過去10年の優勝馬延べ10頭は、いずれも通算出走数が19戦以下だった。また、この10頭は前走の出走頭数が14頭以上だった点、前年以降の出走頭数が16頭以上だったJRA重賞において2着以内に入った経験があった点も共通している。〔表1〕、〔表2〕、〔表5〕などで挙げた条件を多くクリアしている馬が有力とみてよいだろう。〔表7〕
(伊吹 雅也)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年次 | 優勝馬 | 通算出走数 | 前走の出走頭数 | 前年以降の出走頭数が16頭以上だったJRA重賞における最高着順 |
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2013年 | ナカヤマナイト | 19戦 | 16頭 | 1着・2012年オールカマー |
2014年 | ジャスタウェイ | 16戦 | 17頭 | 1着・2013年天皇賞(秋) |
2015年 | ヌーヴォレコルト | 9戦 | 18頭 | 1着・2014年オークスほか |
2016年 | ドゥラメンテ | 6戦 | 18頭 | 1着・2015年日本ダービー |
2017年 | ネオリアリズム | 16戦 | 14頭 | 1着・2016年札幌記念 |
2018年 | ウインブライト | 11戦 | 17頭 | 1着・2017年福島記念 |
2019年 | ウインブライト | 16戦 | 16頭 | 1着・2019年中山金杯 |
2020年 | ダノンキングリー | 7戦 | 17頭 | 2着・2019年日本ダービー |
2021年 | ヒシイグアス | 10戦 | 17頭 | 1着・2021年中山金杯 |
2022年 | パンサラッサ | 18戦 | 16頭 | 1着・2021年福島記念 |
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