牡4歳
調教師:辻野泰之(栗東)
3連勝中。前走のオープン特別・万葉S(中京・芝3000メートル)は格上挑戦での勝利だった。53キログラムのハンデが奏功した面はあったかもしれないが、コースレコードでの快勝。充実ぶりと地力強化は本物とみていい。長距離界の新星誕生となるか、注目だ。
前走のオープン特別・万葉Sは、3勝クラスの身でありながら1番人気の支持。レースもその支持に応える堂々たるレースぶりだった。先団から離れた中位で流れに乗り、インコースでしっかりと脚をためる競馬。一気の相手強化だったが、オープンクラスのペースに戸惑うことなく、勝負どころで手応えよく進出すると、最後は楽に抜け出した。ハンデ差があったにしても完勝と言える内容で、今回の重賞挑戦に弾みをつけた格好だ。スムーズに折り合える点は何よりの強み。今回は重賞に加えて距離も延びるが、問題はないとみてよさそうだ。ここを勝ってさらなる高みを目指す。
牡7歳
調教師:西村真幸(栗東)
結果は2着だったとはいえ、前走のオープン特別・万葉S(中京・芝3000メートル)は、コースレコードが出るペースで逃げて粘り込んだ。気分良く先行できた際のしぶとさはかなりのもの。3勝クラスからの格上挑戦だが、再度後続に脚を使わせる逃げが打てれば面白い。
自己条件でやや苦戦が続いていたが、前走のオープン特別・万葉Sは格上挑戦で2着と、復調を感じさせた。戦績を振り返ると、万葉Sは3年連続で挑戦して2着、9着、2着。また、阪神・3200メートルで行われた3勝クラス・松籟Sも一昨年が2着、昨年も4着に好走するなど、3000メートル級のレースは現役でも指折りの適性の高さを示している。前走より相手は強くなるが、ハンデは前走に引き続き53キログラム。距離が延びる分、無理なく自分の形に持ち込めそうな点も推せる。マイペースで行ければ逃げ切りも十分にありそうだ。
牡5歳
調教師:稲垣幸雄(美浦)
ここ4戦は2200メートル以上の距離で1着、2着、1着、1着。高い長距離適性を見せている。特に前走は豪快な差し切り勝ちで、本格化を印象づけた。オープンクラス昇級初戦での重賞初挑戦だが、あっさり克服できるだけの勢いを感じる。
東京2400メートルと中山2500メートルで連勝中。距離を延ばして頭角を現してきたあたり、長距離適性の高さは疑いようがない。加えて、異なる資質を求められる舞台での連勝は、そのまま能力の証明と言えるだろう。とりわけ驚かされたのが、前走の3勝クラス・グレイトフルS。多少のズブさこそ見せたが、加速がついてからは2着馬を目標に一気の伸び。着差の印象以上に強さを感じる差し切り勝ちだった。半兄のメールドグラース(父ルーラーシップ)は、オーストラリア芝2400メートルのG1・コーフィールドCの勝ち馬。本馬にとって、初重賞のここが偉大な兄へ追いつく一歩になるか注目だ。
牡6歳
調教師:池添学(栗東)
前年の本レースは1番人気で9着と苦杯をなめたが、昨年のオープン特別・万葉Sが2着、今年のオープン特別・万葉S(ともに中京・芝3000メートル)でも4着に入っており、長距離適性は確か。休み明けを1度使って臨む今回は、雪辱を期す一戦となる。
昨年のオープン特別・万葉Sは勝ち馬とアタマ差の2着。その前のアルゼンチン共和国杯4着の実績も評価され、昨年の本レースは1番人気の支持を集めた。人気には応えられなかったが(9着)、2周目の向正面からポジションを上げる積極的な競馬をしての結果。その後、脚部不安で休養し、復帰戦は適性外のダートでもあり13着の大敗を喫したが、前走のオープン特別・万葉Sで一変の4着。長丁場の適性を示すとともに、立て直しに成功したとみてよさそうだ。12日の1週前追い切りでは栗東CWコースで7ハロン追い。状態面の上積みも見込めそうで、あらためて注目したい。
牡4歳
調教師:藤原英昭(栗東)
昨年5月の京都新聞杯をJRAレコード(当時)勝ち。その後は苦戦が続いているが、見どころがあったのが前々走の菊花賞(9着)。着差は大きかったが、バテることなく伸びてきたあたり、高い持久力が窺えた。同じ長距離で躍進がありそうだ。
札幌2歳S2着、きさらぎ賞4着と早くから素材の良さを示していたが、それが存分に発揮されたのが昨年の京都新聞杯だった。道中は中団のインを進み、直線までロスのない立ち回り。直線は外に持ち出すところで他馬と接触するシーンもあったが、ゴールまで力強く伸びて差し切り勝ち。脚力はもちろん、2着馬に並んでからの勝負根性でも非凡さを感じさせた。その後は結果が出ていないが、前々走の菊花賞(9着)は少しこの馬らしさがみられた敗戦で、スタミナを要求される方が今の本馬には合っているのかもしれない。それだけに今回の距離はプラスに働きそうだ。
牝6歳
調教師:宗像義忠(美浦)
2021年に目黒記念を制覇。その後は勝ち星こそないが、昨年の目黒記念で3着、秋のオールカマーでも3着など存在感を示しており、重賞実績は今回のメンバーの中でも上位の印象がある。距離不足だった前走より条件もよさそうだ。
牝馬による目黒記念制覇(2021年)は33年ぶりのこと。この実績だけでも強豪牝馬として名をはせるには十分だが、それ以後も中長距離戦線で活躍し、2021年の有馬記念にも出走した(11着)。ここ2戦の大敗は気になるところだが、前々走のエリザベス女王杯は関西への輸送で難しさが出て、レース前から集中力が切れていたようだ。当初、引退レースとされた前走の中山金杯は明確に距離不足。ともにはっきりとした敗因があるだけに、見限るのは早計だろう。3400メートルの距離は未知ながら、前走より追走は楽になるはず。最高の形でラストランを飾れるか、期待したい。
牡5歳
調教師:奥村豊(栗東)
前走のアメリカジョッキークラブCは昇級初戦でのGⅡ挑戦。勝ち馬から0秒5差の6着に入ったあたりが力をつけた証ではないか。一気の距離延長となるが、重賞2度目ならもっとやれていいはずだ。
好位を取っての抜け出しか粘り込みが本馬の勝ちパターンだったが、前々走の3勝クラス・オリオンS(阪神・芝2200メートル)は中団追走から直線で一気の差し切り。上がり3ハロンは35秒1(推定)と水準レベルではあったが、数字以上のインパクトを感じさせる勝ちっぷりだった。前走のアメリカジョッキークラブCは、4コーナーまで手応えよく追走。直線半ばでやや窮屈になる場面があり6着だったが、広い外を走れていれば上位馬に迫っていた可能性もあったのでは。いずれにせよ、強力メンバー相手の健闘は評価できるだけに、GⅢ のハンデ戦なら侮れない。
牡7歳
調教師:加藤征弘(美浦)
昨年の本レース3着馬。その前にはステイヤーズSでも4着があり、明確に長距離巧者として力を発揮している。今回は昨年の天皇賞・春(10着)以来の実戦になるが、ここまでの調教量は十分過ぎるほど。軽視はできない。
長距離レースを狙って使われてきたなかで、最も強調できるのが2020年。阪神大賞典でユーキャンスマイルの2着に入ると、続く天皇賞(春)も5着に好走するなど、一線級のステイヤーとして地位を確立した。ただ、その後は脚部不安による長期離脱などもあり軌道に乗れず、ようやく本馬らしい走りを見せたのは、昨年の本レース(3着)だった。その昨年も阪神大賞典(7着)、天皇賞(春)(10着)のあと休養へ。今回が復帰戦となるが、1月上旬から丹念に乗り込まれており、攻め量は十分で動きには軽快さもある。実績を残す舞台なら、いきなりの好走があっても驚けない。
(山下 健)
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