アメリカジョッキークラブCをその年の始動戦とする実績馬も珍しくなく、2020年は2018年の有馬記念優勝馬ブラストワンピースが、翌2021年は前年の菊花賞2着から臨んだアリストテレスが、共に1番人気の支持に応えて勝利を収めた。一方で、2017年のタンタアレグリアと2019年のシャケトラは7番人気の低評価を覆しての勝利だった。今年は上位人気の実績馬が勝つのか、それとも伏兵馬の台頭があるのか、過去10年の結果から好走馬の特徴を探っていく。
過去10年の3着以内馬延べ30頭中27頭は、芝2000メートル以上のJRA重賞で3着以内に入った経験がある馬だった。この経験がなかった馬は優勝例がなく、3着内率も7.7%にとどまっている。GⅠで上位争いに加わった経験のある馬の参戦も少なくないだけに、中長距離の重賞で好走経験がない馬は苦戦する可能性が高いようだ。〔表1〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 10-9-8-77 | 9.6% | 18.3% | 26.0% |
なし | 0-1-2-36 | 0% | 2.6% | 7.7% |
過去10年の前走との間隔別成績を調べると、3着以内馬延べ30頭中26頭はレース間隔が中4週以上だった。冒頭で触れたタンタアレグリアは前年の天皇賞(春)以来、シャケトラに至っては1年以上の休養明けで勝利しているので、レース間隔が空いていても問題にならないとみていいだろう。一方、中3週以下で優勝した馬は2018年のダンビュライトしかおらず、該当馬は3着内率も10%に届いていない。特に、有馬記念組は今年と同じく中3週だった年に限ると〔0・0・0・7〕と好走例がない。〔表2〕
前走との間隔 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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中3週以下 | 1-1-2-38 | 2.4% | 4.8% | 9.5% |
中4週以上 | 9-9-8-75 | 8.9% | 17.8% | 25.7% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中23頭は、現役時代に中山・芝2000メートル以上のGⅠで3着以内に入った経験のある種牡馬の産駒だった。これには、単勝7番人気で勝利したタンタアレグリアとシャケトラも含まれている。さらには、昨年11番人気で2着に入ったマイネルファンロンや、2014年に同じく11番人気で2着に健闘したサクラアルディートなど、下位人気馬の好走例もある。皐月賞や有馬記念といった中山のGⅠで好走していた馬の産駒には、注目しておいて損はないだろう。〔表3〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
種牡馬 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
現役時代に中山・芝2000m以上のGⅠで3着以内に入っていた種牡馬 | 8-8-7-68 | 8.8% | 17.6% | 25.3% |
その他の種牡馬 | 2-2-3-45 | 3.8% | 7.7% | 13.5% |
ここ5年は7歳以上のベテラン勢がいまひとつで、優勝馬5頭はいずれも6歳以下だった。また、芝2000メートル以上のGⅠで3着以内、もしくはGⅡ優勝の実績があった点も共通している。近年の傾向を重視するのであれば、1着候補は高いレベルの中長距離実績を持つ6歳以下の馬から選ぶのがよさそうだ。〔表4〕
(高那実 マヤ)
年度 | 優勝馬 | 年齢 | GⅠ・GⅡでの主な実績 |
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2018年 | ダンビュライト | 4歳 | 皐月賞3着 |
2019年 | シャケトラ | 6歳 | 日経賞1着 |
2020年 | ブラストワンピース | 5歳 | 有馬記念1着 |
2021年 | アリストテレス | 4歳 | 菊花賞2着 |
2022年 | キングオブコージ | 6歳 | 目黒記念1着 |
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