2021年の阪神ジュベナイルフィリーズは単勝オッズ5.6倍(3番人気)のサークルオブライフが1着、同51.2倍(8番人気)のラブリイユアアイズが2着、同6.6倍(4番人気)のウォーターナビレラが3着となり、3連単11万4300円の決着となった。3連単の配当が10万円を超えたのは2012年以来である。3連単が発売されるようになった2004年以降の計18回中、5万円を超える配当となったのは7回しかなく、10万円を超えたのは3回だけ。比較的順当な決着が目立つ2歳牝馬の頂上決戦を展望すべく、今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみよう。
過去10年の3着以内馬30頭中27頭は、通算出走数が2戦か3戦だった。一方、1戦だった馬は3着内率7.1%、4戦以上だった馬は同3.7%と、それぞれ苦戦している。新馬を勝ち上がったばかりの馬や、4戦以上のキャリアを持つ馬は評価を下げた方がよさそうだ。〔表1〕
通算出走数 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1戦 | 0-0-1-13 | 0% | 0% | 7.1% |
2、3戦 | 10-8-9-83 | 9.1% | 16.4% | 24.5% |
4戦以上 | 0-2-0-52 | 0% | 3.7% | 3.7% |
過去10年の3着以内馬30頭中27頭は、JRAのレースにおいて4着以下に敗れた経験がない馬だった。一方、この経験があった馬は3着内率3.2%と苦戦している。デビュー以来全てのレースで3着以内に好走している馬を重視したい。〔表2〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 0-2-1-90 | 0% | 2.2% | 3.2% |
なし | 10-8-9-58 | 11.8% | 21.2% | 31.8% |
過去10年の3着以内馬30頭中25頭は、JRAの1600メートル以上のレースにおいて優勝経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率5.7%と苦戦している。今回と同じか、今回より長い距離のレースで勝ち鞍がない馬は、過信禁物とみるべきだろう。〔表3〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 9-8-8-66 | 9.9% | 18.7% | 27.5% |
なし | 1-2-2-82 | 1.1% | 3.4% | 5.7% |
なお、JRAの1600メートル以上のレースにおいて優勝経験がなかったにもかかわらず3着以内に入った5頭のうち3頭は、“JRAの牝馬限定を除く出走頭数が14頭以上の重賞”において3着以内に入った経験のある馬だった。1600メートル以上のレースを勝ったことがなく、牡馬相手の重賞で3着以内に入ったこともない馬は、割り引きが必要だ。〔表4〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 0-1-2-9 | 0% | 8.3% | 25.0% |
なし | 1-1-0-73 | 1.3% | 2.7% | 2.7% |
過去10年の3着以内馬30頭中18頭は、“東京・中山競馬場で行われた1勝クラス以上のレース”において2着以内に入った経験のある馬だった。この経験があった馬は3着内率が43.9%と優秀な水準に達している。今年もまずは関東圏のレースで実績を残している馬に注目したい。〔表5〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 6-5-7-23 | 14.6% | 26.8% | 43.9% |
なし | 4-5-3-125 | 2.9% | 6.6% | 8.8% |
なお、“東京・中山競馬場で行われた1勝クラス以上のレース”において2着以内に入った経験がなかったにもかかわらず3着以内に好走した12頭のうち9頭は、“JRAの重賞で着順が3着以内、かつ上がり3ハロンタイム(推定)順位が4位以内”となった経験のある馬だった。関東圏のレースに実績がない馬同士を比較する際は、過去に出走した重賞における着順や末脚を重視するべきだろう。〔表6〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 4-3-2-22 | 12.9% | 22.6% | 29.0% |
なし | 0-2-1-103 | 0% | 1.9% | 2.8% |
過去5年の3着以内馬15頭は、いずれも馬番が4番から13番だった。近年の傾向を重視するならば、内外極端な馬番となった馬は扱いに注意したいところだ。〔表7〕
馬番 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1〜3番 | 0-0-0-15 | 0% | 0% | 0% |
4〜13番 | 5-5-5-35 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
14〜18番 | 0-0-0-23 | 0% | 0% | 0% |
過去5年の優勝馬5頭は、いずれも前走がアルテミスSもしくはファンタジーS、かつ前走の着順が1着だった。主要な前哨戦であるこの2レースを勝った馬は真っ先にチェックすべきだろう。また、この5頭は通算出走数が2戦か3戦だった点、JRAのレースで4着以下に敗れた経験がなかった点、馬番が4番から13番だった点も共通している。〔表1〕、〔表2〕、〔表7〕などで挙げた傾向も考慮すべきだろう。〔表8〕
(伊吹 雅也)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年次 | 優勝馬 | 前走 | 前走の着順 | 通算出走数 | JRAのレースにおける最低着順 | 馬番 |
---|---|---|---|---|---|---|
2017年 | ラッキーライラック | アルテミスS | 1着 | 2戦 | 1着(2戦2勝) | 11番 |
2018年 | ダノンファンタジー | ファンタジーS | 1着 | 3戦 | 2着 | 13番 |
2019年 | レシステンシア | ファンタジーS | 1着 | 2戦 | 1着(2戦2勝) | 4番 |
2020年 | ソダシ | アルテミスS | 1着 | 3戦 | 1着(3戦3勝) | 6番 |
2021年 | サークルオブライフ | アルテミスS | 1着 | 3戦 | 3着 | 10番 |
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