牝3歳
調教師:J.ハリントン夫人(アイルランド)
キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(G1・イギリス)をコースレコードタイムで制したノヴェリスト(父Monsun)の半妹。自身3つの重賞勝ちは全て良馬場におけるもの。先行力の高さに加え、追われてからのしぶとさも強調材料だ。
アイルランドを代表する女性調教師であるJ.ハリントン夫人調教師の管理馬。昨年8月に未勝利馬の身で臨んだデビュー2戦目のフレームオブタラS(G3・アイルランド・芝1600メートル)で重賞初制覇を果たした。そこからは同年10月のフィリーズマイル(G1・イギリス・芝1600メートル)が渋った馬場の影響もあったか7着。今年4月のサルサビルS(リステッド・アイルランド・芝2000メートル)も2着だったが、続く6月のリブルスデールS(G2・イギリス・芝2390メートル)と7月の愛オークス(G1・芝2400メートル)をともに先行策から直線で息の長い脚を使って連勝。クラシックのタイトルを手にした。その後、8月18日のヨークシャーオークス(G1・イギリス・芝2370メートル)で古馬と初対戦。スローペースでレースを先導したが、のちの凱旋門賞馬アルピニスタから5馬身半差の5着に終わっている。ここはそれ以来のレースになる。
牝5歳
調教師:杉山晴紀(栗東)
2020年に史上初となる無敗で牝馬三冠制覇を達成。長期休養からの復帰2戦目だった6月の宝塚記念では3着に好走した。当日輸送で臨める関西圏の競馬場では〔4・1・1・0〕と堅実。久々のGⅠ勝利を狙う。
牝馬三冠達成後に挑んだ2020年のジャパンカップは、三冠馬3頭の対決で盛り上がるなか、惜しくも3着。古馬になっての活躍も期待されたが、香港に遠征した2021年クイーンエリザベスⅡ世C(G1・芝2000メートル)で3着に敗れた後、脚部不安で1年以上の休養を余儀なくされた。復帰2戦目の宝塚記念で3着に食い込み、あらためて能力の高さを証明。1番人気に支持された秋初戦のオールカマー(6着)は結果的に内を通った馬が上位を占めたなか、直線で外に持ち出すも伸び切れなかった。休み明けを1度使って上昇ムード。秋華賞以来の勝利を狙う。
牝3歳
調教師:高野友和(栗東)
秋華賞では好位から抜け出しGⅠ初制覇。今年に入って4勝、2着1回と充実ぶりが目立つ。その年の秋華賞馬は、過去10年のエリザベス女王杯で〔1・0・0・4〕と苦戦傾向。古馬の壁を越えられるか注目だ。
昨年の2歳重賞では勝ち切れなかったが、今年に入って本格化。フラワーCで重賞初制覇を飾り、GⅠ初挑戦だったオークスでも2着に好走した。秋初戦の紫苑Sも勝ち、前走の秋華賞で待望のGⅠ初制覇。手綱を取った坂井瑠星騎手は「前回と比べても反応が全然違いましたし、これで負けたら仕方ないかなというぐらいでした」と振り返った。これでコンビを組んで3戦3勝。「徐々に力をつけていますし、3歳牝馬なので伸びしろもあると思います」と、さらなる飛躍に期待を寄せる。好位で立ち回れるレースセンスを武器に、初めて他世代に立ち向かう。
牝4歳
調教師:斉藤崇史(栗東)
母に三冠牝馬を持つ良血馬。近3走は重賞で3着以内を確保し、前走のオールカマーでは牡馬相手に待望の重賞初制覇を飾った。これまで背負った斤量は54キログラムまで。今回は初の56キログラムがポイントだ。
3歳夏から3連勝を飾ってオープンクラス入りした後は重賞であと一歩のレースが続いたが、前走のオールカマーで待望の重賞初制覇。普段より前めの位置につけ、直線も内を通って力強く差し切った。初コンビで勝利に導いた横山武史騎手は、「理想的なポジションで運んで、狭いところをよくこじ開けてくれました。まだ若い牝馬ですし、成長できる部分もたくさんあると思います」と将来性を評価した。母ジェンティルドンナは牝馬三冠達成から4歳、5歳でも進化を続け、3年連続でGⅠを制覇。その成長力は本馬にもしっかりと受け継がれている。素質が開花した良血馬。一気に牝馬の頂点も狙えるはずだ。
牝5歳
調教師:石坂公一(栗東)
前走の府中牝馬Sでは、1番人気のソダシを差し切って重賞初制覇。連勝の勢いに乗って1年ぶりのGⅠに挑む。昨年の本レースは5着。これまでの勝利は全て1800メートル以下で挙げており、距離克服が課題になる。
3歳時の2020年チューリップ賞4着、忘れな草賞(リステッド・阪神・芝2000メートル)2着と素質の片りんを見せながらも、クラシックの舞台には立てなかった。条件戦を使いながら力をつけ、昨年の本レースは格上挑戦ながら5着に健闘。今年6月の3勝クラス・垂水S(阪神・芝1800メートル)を勝ってオープンクラス入りを果たすと、前走の府中牝馬Sでは断然人気のソダシ(2着)を差し切り、重賞初制覇を飾った。前走ではメンバー中最速の上がり3ハロン33秒3(推定)をマークしたように、末脚はGⅠでも通用するはず。勢いに乗って1年ぶりの大舞台に挑む。
牝5歳
調教師:手塚貴久(美浦)
2020年のオークス2着馬で、GⅡ3勝の実績は光る。前走の札幌記念も、強敵牡馬相手に3着に粘り込み復調ムード。ただ、関西圏のレースは〔0・0・0・6〕と苦戦しており、長距離輸送が鍵になる。
2020年のフローラSを勝ち、続くオークスでも2着に好走した。昨年は日経賞、オールカマーのGⅡ2勝。今年は未勝利ながら、前走の札幌記念では3着に粘った。上位2頭のジャックドール、パンサラッサは天皇賞(秋)でも4着、2着に好走しており、ハイレベルな相手に善戦した内容は評価できる。騎乗した松岡正海騎手は「苦しくなりながらも踏ん張るこの馬の競馬ができました。秋に向けていいレースだったと思います」と振り返った。本レースは3年連続の出走。過去2回は2020年4着、2021年16着と敗れており、今年こそ念願のGⅠ勝利なるか、注目だ。
牝3歳
調教師:高野友和(栗東)
GⅠでは4着、10着、3着、2着で、3歳世代でも能力はトップクラス。これまで連対した4戦(3勝)はデビュー戦、もしくは休み明けだった。間隔が空いたほうがいいタイプ。秋2戦目で馬体の維持がポイントになる。
今年初戦のチューリップ賞を勝ち、桜花賞(10着)では1番人気に支持された。続くオークスは3着、秋初戦の秋華賞でも2着に好走し、世代トップクラスの能力を証明。横山武史騎手は秋華賞について「左へ逃げたようにアンバランスな面があり、勝負どころで遠心力もプラスして左にもたれてしまいました」と振り返った。馬体重はオークスから20キログラム増。「大きくなって春より良くなっていました。成長を感じられたのはよかったです」と評価。今回と同じ斤量54キログラムでは4戦3勝。小柄なタイプだけに、前走から1キログラムの重量減は好材料だろう。
牝5歳
調教師:中竹和也(栗東)
昨年の本レースは10番人気で制した。1年前と同じく府中牝馬Sを使ってここへ参戦。その前走・府中牝馬Sは10着に敗れたが、もともと1度使ったほうがいいタイプ。休み明け2戦目で昨年の再現Vも夢ではない。
条件戦を使いつつ力をつけ、昨年の本レースがGⅠ初挑戦だった。10番人気の低評価ながら勝負どころで前を射程圏に入れ、直線は力強く伸びて2馬身差の快勝。今年初戦は好メンバーがそろった金鯱賞で3着に食い込み、あらためて能力を示した。秋初戦の府中牝馬Sは後方のまま10着に敗れたが、騎乗した幸英明騎手は「手応え良く直線を向きましたが、休み明けの分だと思います。昨年もここから良くなったので、次に期待したいです」とコメントしている。全5勝中4勝は中4週以内の出走間隔で挙げており、昨年と同じ臨戦過程で連覇を狙う。
(文:日本馬=寺下 厚司、外国馬=秋山 響(TPC))
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