今週の注目レース

アルゼンチン共和国杯(GⅡ)

東京競馬場 2500メートル(芝)ハンデ 3歳以上オープン

出走馬情報

キラーアビリティ

牡3歳

調教師:斉藤崇史(栗東)

  • 父:ディープインパクト
  • 母:キラーグレイシス
  • 母の父:Congaree
ここに注目!

母がアメリカのオールウェザーG1を勝ったキラーグレイシスという良血馬。本馬も昨年のホープフルSを制して早くからその才能を示した。春クラシック二冠の敗戦から反撃の秋初戦だ。

前走の日本ダービー(6着)は後方から直線勝負にかけたが、ドウデュース(1着)、イクイノックス(2着)のような伸び脚を見せることはできなかった。皐月賞(13着)に続く敗戦となったが、騎乗した横山武史騎手は「課題であるゲートと折り合いの2点を重点に乗りました。うまく出てくれましたし、向正面でポケットに入って折り合うシーンもありました。今後につながるレースができました」と収穫を口にした。折り合い面に成長が見られるなら、ダービーからさらに距離が100メートル延びるここでも力を発揮できそうだ。今回のメンバーで唯一のGⅠ馬。先に見据える大舞台に向けて、結果と内容を求めたい秋始動戦になる。馬名の由来は「素晴らしい能力、才能。母名、一族名より連想」。

テーオーロイヤル

牡4歳

調教師:岡田稲男(栗東)

  • 父:リオンディーズ
  • 母:メイショウオウヒ
  • 母の父:マンハッタンカフェ
ここに注目!

半兄は6月の帝王賞(JpnⅠ)を制したメイショウハリオ(父パイロ)。本馬は芝の長丁場で本領を発揮し、2月には芝3400メートルのダイヤモンドSを優勝した。ここでも消耗戦は歓迎のタイプだろう。

前走のオールカマーは好位を追走。レースの前半1000メートル通過タイムが1分01秒1というスローペースで折り合っていたように見えたが、直線は思ったほど弾けず、差し馬勢に屈して5着に敗れた。騎乗した菱田裕二騎手は「返し馬からいつものような迫力を感じられませんでした。道中の手応えも劣っていました。休み明けの分なのかな」と肩を落とした。それでも前々走の天皇賞(春)は好内容。勝ったタイトルホルダーは強かったが、2着ディープボンドとは0秒1差の3着に頑張った。2400メートル戦では3勝を挙げており、今回の距離も守備範囲。休み明けを1度使った状態面の上積みを加味すれば、ダイヤモンドSに続く重賞2勝目も可能だ。馬名の由来は「冠名+王にふさわしい」。

ヒートオンビート

牡5歳

調教師:友道康夫(栗東)

  • 父:キングカメハメハ
  • 母:マルセリーナ
  • 母の父:ディープインパクト
ここに注目!

母が2011年桜花賞、2013年マーメイドSを優勝したマルセリーナという筋の通った母系の出身。重賞での2着、3着が実に5回と歯がゆい競馬が続くが、いつ初タイトルを手にしてもおかしくない能力を備えている。

前走の新潟記念(5着)は、後方から脚を伸ばした前々走の七夕賞(2着)から一転して、好位を追走。1番人気馬として正攻法の競馬で勝利を目指したが、カラテの決め手に敗れた。騎乗した池添謙一騎手は「いつもより返し馬からテンションが高かったです。(馬場の)内も乾いていたのでコース取りは良かったと思いますが、近くにいた勝ち馬には一気に行かれました」と説明した。初めての新潟競馬場に戸惑った面があったかもしれない。今回は2021年の目黒記念で2着に好走した実績のある舞台で、前残りの展開を鋭く追い上げる好内容だった。近8戦の重賞で掲示板(5着以内)を外したのは1戦のみと抜群の安定感を誇るだけに、ここでも警戒が必要だ。馬名の由来は「リズムに乗って」。

ユーキャンスマイル

牡7歳

調教師:友道康夫(栗東)

  • 父:キングカメハメハ
  • 母:ムードインディゴ
  • 母の父:ダンスインザダーク
ここに注目!

母は2008年秋華賞で2着に好走し、2009年府中牝馬Sを制したムードインディゴ。2020年阪神大賞典などで重賞3勝を挙げる本馬の実績は、今回のメンバーでも上位だろう。2年前の本レースで小差の4着があり、舞台も問題ない。

前走の新潟記念は9番人気ながら2着に好走。後方でためた脚を直線で一気に爆発させ、メンバー中最速の上がり3ハロン33秒0(推定)をマークした。騎乗した石橋脩騎手は「返し馬の動きが良くて、直線は思い切って外に出しました。最後は1頭だけ前にいましたが、このハンデ(57キログラム)でも頑張っています。まだまだやれると思います」とベテランの健闘を称えた。昨秋はGⅠ路線に休まず出走。キャリアを通しても強敵相手に挑み続けてきた。当舞台も一昨年のアルゼンチン共和国杯(4着)で経験済み。経験豊富な7歳馬が4つ目の重賞タイトルを目指す。馬名の由来は「笑ってごらん」。

ハーツイストワール

牡6歳

調教師:国枝栄(美浦)

  • 父:ハーツクライ
  • 母:レツィーナ
  • 母の父:キャプテンスティーヴ
ここに注目!

JRAでデビューを果たしたきょうだい全7頭が勝ち上がっている堅実な母系の出身。前々走の天皇賞(春)は16着と崩れたが、前走の札幌日経オープン(リステッド・札幌・芝2600メートル)ですぐに勝利。GⅡなら警戒が必要だろう。

前走の札幌日経オープン(リステッド)は好位3番手を追走。リズム良く道中をクリアすると、直線でじわじわと脚を伸ばした。ラストはゴールドギアをクビ差かわして5勝目をマーク。騎乗した武豊騎手は「非常に素直で乗りやすいけど、自分から走っていくタイプではないですね。最後もじわじわだったけど力がありそうです」と評価した。東京芝2400メートルは5戦3勝、2着1回と好成績を残しており、舞台設定に不安はない。前走が重賞以外からの勝利ならば、2015年ゴールドアクター(次走の有馬記念も優勝)以来。本馬も勢いのままに重賞初Vへ挑む。馬名の由来は「父名の一部+歴史(仏)」。

アフリカンゴールド

せん7歳

調教師:西園正都(栗東)

  • 父:ステイゴールド
  • 母:ブリクセン
  • 母の父:Gone West
ここに注目!

半兄に2014年ドバイワールドC(G1・UAE)を勝ったアフリカンストーリー(父Pivotal)がいる良血馬。本馬は2月の京都記念で重賞初勝利。2019年の本レースで3着の実績があるのも頼もしい。

今年2月の京都記念で、12番人気ながら重賞初制覇を達成。初の逃げの手に出て、ジェラルディーナ(4着、その後オールカマーを勝利)、ユーバーレーベン(5着、2021年オークス優勝)などを退けた。デビュー27戦目、重賞10回目の挑戦での勝利。騎乗した国分恭介騎手は「他の馬にペースを握られるより自分で逃げた方がいいと(西園正都調教師と)話していて、その通りになりました」と喜んだ。半兄アフリカンストーリーもドバイワールドCでG1初制覇したが、ともに7歳での達成と晩成の血が覚醒した。本馬はその後敗戦が続くが、大阪杯(7着)と宝塚記念(16着)はGⅠ、前走の京都大賞典(12着)は休み明けだった。春の激走再現は十分にあり得る。馬名の由来は「アフリカの黄金」。

ボスジラ

牡6歳

調教師:国枝栄(美浦)

  • 父:ディープインパクト
  • 母:ミスパスカリ
  • 母の父:Mr. Greeley
ここに注目!

2016年スプリングSを勝った全兄マウントロブソン、2017年菊花賞3着の全兄ポポカテペトルなど、スタミナ豊富な兄がいる。本馬は昨年の本レースで15着に敗れたが、近走で充実している今年は期待十分だ。

前走のオープン特別・丹頂S(札幌・芝2600メートル)は好位4番手から進出。直線入り口で先頭に立つと、そのまま力強く押し切った。3年連続で出走した丹頂Sは、1着、2着、1着と抜群の相性。コンビでは3戦3勝となったC.ルメール騎手は「スパッと切れないけどジリジリとは伸びました。冷静に走れたし、スタミナが豊富ですね」と高く評価した。母系から受け継いだスタミナは重賞級。キャリアで初めて逃げた昨年の本レース(15着)は直線で苦しくなっただけに、陣営は近走で結果を残している末脚勝負を示唆している。直線のタフな坂を2回上り、消耗戦となりやすいレース特性は、本馬にマッチしているだろう。馬名の由来は「石灰で出来た白亜の大地(カザフスタン)」。

(高木 翔平)

ご注意 「今週の注目レース」ページの情報は、特別レース登録馬や過去のレース結果に基づいて制作しております。JRAが特定の競走馬を応援、推奨するものではありません。出走取りやめ、出走取消などにより、掲載した競走馬がレースに出走しないことがあります。

ページトップへ戻る
表示モード: