昨年は三冠馬コントレイル、短距離女王グランアレグリア、3歳の皐月賞馬エフフォーリアが熱戦を繰り広げた天皇賞(秋)。東京・芝2000メートルを舞台に、さまざまな路線から集った強豪が覇を競う一戦の傾向を、過去10年の結果から探っていく。
過去10年の3着以内馬は前走がJRAのGⅠまたはGⅡだった馬に限られ、頭数の上では両者15頭で同数と拮抗している。ただし、好走率はGⅠ組が大きく上回り、ここ3年は〔3・3・2・8〕と馬券圏内をほぼ独占。今年も上半期のJRA・GⅠから直行してくる馬は要注目の存在だろう。〔表1〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
JRAのGⅠ | 4-7-4-24 | 10.3% | 28.2% | 38.5% |
JRAのGⅡ | 6-3-6-90 | 5.7% | 8.6% | 14.3% |
その他 | 0-0-0-16 | 0% | 0% | 0% |
ここ3年は牝馬の活躍が顕著で、2019年は2頭の出走でアーモンドアイが優勝、アエロリットが3着。翌2020年はアーモンドアイが連覇を成し遂げ、3着にクロノジェネシスが入った。さかのぼればジェンティルドンナが2013年、2014年に2年連続2着となった例もあり、過去10年の牝馬の3着内率は50.0%と牡・せん馬を圧倒している。〔表2〕
性 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
牡・せん | 8-8-7-123 | 5.5% | 11.0% | 15.8% |
牝 | 2-2-3-7 | 14.3% | 28.6% | 50.0% |
過去10年の年齢別成績を調べると、4歳馬と5歳馬が3着以内に13頭ずつ入っている。3歳馬は出走数こそ多くないものの好走率はまずまずで、昨年はエフフォーリアが19年ぶりに3歳馬による天皇賞(秋)制覇を成し遂げている。なお、6歳以上の馬は3着以内に入ったのが2013年3着のエイシンフラッシュのみとなっているだけに、大幅に評価を下げる必要がありそうだ。〔表3〕
年齢 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3歳 | 1-1-1-9 | 8.3% | 16.7% | 25.0% |
4歳 | 3-6-4-27 | 7.5% | 22.5% | 32.5% |
5歳 | 6-3-4-39 | 11.5% | 17.3% | 25.0% |
6歳 | 0-0-1-29 | 0% | 0% | 3.3% |
7歳以上 | 0-0-0-26 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中27頭は、東京・芝コースで行われた重賞で3着以内に入ったことがある馬だった。この経験がなかった馬は3着内率5.6%と苦戦傾向にある。東京・芝コースの重賞で好走歴がない馬は過信禁物だろう。〔表4〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 10-8-9-79 | 9.4% | 17.0% | 25.5% |
なし | 0-2-1-51 | 0% | 3.7% | 5.6% |
過去10年の種牡馬別成績では、キングカメハメハ産駒が2015年ラブリーデイ、2018年レイデオロと2勝をマーク。2019年、2020年はキングカメハメハ産駒のロードカナロアを父に持つアーモンドアイが連覇を果たした。父系にキングカメハメハの血を持つ馬は勝ち切るケースが多く、2着や3着が少なくなっている。一方、ディープインパクト産駒は2014年スピルバーグの1勝のみだが、2着が8回、3着が2回と3着以内に入った回数は最も多く、同産駒が出走した年は9回中8回で連対を果たしている。〔表5〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
種牡馬 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
キングカメハメハ | 2-0-1-16 | 10.5% | 10.5% | 15.8% |
ロードカナロア | 2-0-0-2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
ディープインパクト | 1-8-2-41 | 1.9% | 17.3% | 21.2% |
King's Best | 1-0-1-0 | 50.0% | 50.0% | 100% |
ハーツクライ | 1-0-0-8 | 11.1% | 11.1% | 11.1% |
エピファネイア | 1-0-0-0 | 100% | 100% | 100% |
スクリーンヒーロー | 1-0-0-0 | 100% | 100% | 100% |
ブラックタイド | 1-0-0-0 | 100% | 100% | 100% |
近年は上位人気馬が強く、過去7年の優勝馬はいずれも単勝3番人気以内、かつ単勝オッズが4倍未満だった。また、この延べ7頭の優勝馬はいずれもGⅠウイナーだったこと、同年に国内外のGⅠまたはGⅡを勝っていた点で共通している。〔表6〕
(高那実 マヤ)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年度 | 優勝馬 | 単勝人気 | 単勝オッズ | GⅠ勝利数 | 同年の重賞勝ち鞍 |
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2015年 | ラブリーデイ | 1番人気 | 3.4 | 1勝 | 宝塚記念(GⅠ)など5勝 |
2016年 | モーリス | 1番人気 | 3.6 | 4勝 | チャンピオンズマイル(G1、香港) |
2017年 | キタサンブラック | 1番人気 | 3.1 | 5勝 | 大阪杯(GⅠ)、天皇賞(春)(GⅠ) |
2018年 | レイデオロ | 2番人気 | 3.1 | 1勝 | オールカマー(GⅡ) |
2019年 | アーモンドアイ | 1番人気 | 1.6 | 5勝 | ドバイターフ(G1、UAE) |
2020年 | アーモンドアイ | 1番人気 | 1.4 | 7勝 | ヴィクトリアマイル(GⅠ) |
2021年 | エフフォーリア | 3番人気 | 3.4 | 1勝 | 皐月賞(GⅠ)ほか1勝 |
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