牡4歳
調教師:藤岡健一(栗東)
今年の金鯱賞でコースレコードV&5連勝を達成。好メンバーが集った前走の札幌記念も制しており、その実力は間違いなくGⅠ級だ。春の大阪杯は5着に敗れたが、得意舞台のGⅠでビッグタイトル初奪取は目前だ。
GⅠ馬5頭の豪華競演となった前走・札幌記念(1着)はかなりの消耗戦に。快速パンサラッサ(2着)が逃げ、洋芝でハイラップを刻んだ。近5戦で逃げていた本馬は好位を追走。力むことなく折り合い、逃げ粘るライバルをクビ差だけ差し切った。騎乗した藤岡佑介騎手は「すごくタフなレースで、本当に馬が頑張ってくれました」と相棒を称えた。デビューから11戦全てで2000メートルに出走し、ついに大目標の天皇賞(秋)まで駒を進めてきた。ライバルは強力も、前回の競馬が自信となるのは確かだろう。ビッグタイトル獲得まであと一歩だ。馬名の由来は「人名より+黄金(仏)」。
牡3歳
調教師:木村哲也(美浦)
母は現役時代に6勝を挙げたアロマティコ。本馬の前走・日本ダービーは7着だったが、力強く差し切った皐月賞と同じ2000メートル戦なら期待は十分だ。中間に軽度の骨折はあったが、秋初戦への態勢も整いつつある。
前走の日本ダービー(7着)は中団後方を追走。外めの枠(7枠15番)だった影響もあり、前に馬を置いて脚を温存するのが難しい形に。直線は皐月賞(1着)のような瞬発力を見せられず、後方から脚を伸ばした上位勢に食らいつけなかった。騎乗した福永祐一騎手は「完璧に乗ることができませんでした。体力温存できた馬と、そうでなかった自分の差がラスト200メートルで出てしまいました」と悔しさをにじませた。今回の距離は好内容だった皐月賞と同じ2000メートル。皐月賞馬による同年天皇賞(秋)制覇は、昨年のエフフォーリアが成し遂げているのも心強い。骨折明けながら、調教では機敏な動きを披露。秋初戦を迎えるにあたり、体調面の問題はなさそうだ。馬名の由来は「地上絵」。
牡3歳
調教師:木村哲也(美浦)
母は2015年マーメイドSを勝ったシャトーブランシュで、半兄は2021年ラジオNIKKEI賞を制したヴァイスメテオール(父キングカメハメハ)という良血馬。少しの差に泣いた春二冠の悔しさをここで晴らす。
前走・日本ダービーは大外枠から後方で脚を温存。抜群の手応えで直線を迎えると、ラストはドウデュースとの一騎打ちに。上がり3ハロン33秒6(推定)はメンバー中最速、レースタイムの2分21秒9はダービーレコードだったが、栄冠までクビ差届かず、皐月賞に続く悔しい2着だった。騎乗したC.ルメール騎手は「前半はペースが忙しかったのでリズム重視で運びました。(ドウデュースを)マークして外に出した時はいけると思ったけど…。相手がまたすごく伸びました」と振り返った。キャリアはまだ4戦。体質の弱さから春は慎重なローテ選択となったが、ポテンシャルは間違いなく本物だ。夏を越えてたくましくなった姿をターフで見せつける。馬名の由来は「昼と夜の長さがほぼ等しくなる時」。
牡4歳
調教師:藤原英昭(栗東)
全兄が2017年皐月賞と2019年大阪杯を制したアルアインという良血馬。昨年の日本ダービーを優勝し、今年初戦のドバイシーマクラシック(G1・UAE・芝2410メートル)も制覇。今回も、得意の東京で武器の末脚がさく裂する。
前走・プリンスオブウェールズS(G1・イギリス・芝1990メートル)は5頭立ての4着と、初のイギリス遠征、少頭数の競馬に戸惑った面があったかもしれない。それでも世界の強豪に日本の精鋭5頭が挑んだ前々走・ドバイシーマクラシック(G1・UAE)は優勝。好位から鋭く抜け出して、2021年日本ダービーに続くGⅠ2勝目を達成した。海外転戦で力をつけ、国内で迎える秋初戦。ダービー制覇に加え、コントレイルと対戦した昨年のジャパンカップ(3着)でも好走した東京コースは大歓迎だろう。勝てば2018年レイデオロに続くダービー馬の天皇賞(秋)制覇となる。現役馬では残り少なくなったディープインパクト産駒が、大舞台で鮮やかな輝きを放つ。馬名の由来は「偉大な王(ペルシャ語)」。
牡3歳
調教師:堀宣行(美浦)
春の皐月賞、日本ダービーはどちらも4着に敗れたが、その二冠で2番人気、1番人気に推された逸材。メイクデビュー東京(芝2000メートル)、共同通信杯を差し切った強烈な末脚を、秋初戦でも繰り出せるのか、注目だ。
前走・日本ダービー(4着)は中団後方を進出。直線は弾けそうな雰囲気だったが、上位2頭からは離される結果となった。ただ、先週の菊花賞を制したアスクビクターモア(3着)とはわずか0秒1差。世代トップクラスの能力を備えるのは間違いない。騎乗した川田将雅騎手は「リズム良く競馬ができました。直線もスペースができてあとは伸びて勝つだけだったのですが。今日できる精いっぱいの走りはしてくれました」と相棒をねぎらった。イクイノックスと同様に、グレード制を導入した1984年以降で最少となるキャリア5戦目でのJRA古馬GⅠ制覇を目指す。馬名の由来は「冠名+クジラ目の哺乳類」。
牡5歳
調教師:矢作芳人(栗東)
現役屈指の快速ランナー。世界の強豪を相手にしたドバイターフ(G1・UAE・芝1800メートル)を同着ながら逃げ切り、前走の札幌記念(2着)も実にしぶとかった。成績を見ても2000メートルまでは守備範囲だろう。
前走・札幌記念は本馬の真骨頂が発揮された一戦。タフな洋芝で締まったペースを演出し、後続の脚をこれでもかとそぎ落とした。レースの前半1000メートルが59秒5、後半1000メートルが1分01秒7の消耗戦に持ち込むと、勝ち馬からタイム差なしの2着に好走した。騎乗した吉田豊騎手は「この前(宝塚記念8着)もそうでしたが、ゲートがひと息。3、4コーナーでもう少し後続を引き離したかったです。あそこでセーフティーリードを取れていたら違っていたかなと思います」と悔しがった。天皇賞(秋)で逃げ切りVを飾ったのは1987年ニッポーテイオーまでさかのぼるが、海外G1を逃げ切った自信を胸に堂々と戦う。馬名の由来は「かつての地球に存在した唯一の海。父名(海の神)より連想」。
牡5歳
調教師:友道康夫(栗東)
半姉は2016年毎日王冠など重賞4勝を挙げ、2015年オークスでは2着に入ったルージュバック(父マンハッタンカフェ)という良血馬だ。本馬は今春の大阪杯(1着)を8番人気で優勝。好メンバーのここでも期待は十分だ。
前走・毎日王冠(6着)は好位を進出。サリオスがマークした勝ち時計1分44秒1がコースレコードというなか、早めに手応えが苦しくなった。それでも勝ち馬との差は0秒5。騎乗した吉田隼人騎手は「夏に立て直してまだ良くなる段階。58キログラムを背負っていたし、着順ほど負けていません。ただ4コーナーの手応えが一番悪かったのは物足りなかったです」と振り返った。春のハイライトは今回と同じ2000メートル戦の大阪杯V。レイパパレ、ジャックドール、エフフォーリアといった強敵をまとめて撃破した。秋2戦目の上積みも見込めるGⅠ馬に注目だ。馬名の由来は「家庭菜園(仏)」。
牡6歳
調教師:辻野泰之(栗東)
2000メートルで行われた前走・新潟記念をトップハンデの57.5キログラムで快勝。長らくマイルで結果を残していたが、距離延長に対応したのは収穫だった。今回もはまった時の末脚には警戒が必要だろう。
前走・新潟記念(1着)は中団前め追走から直線入り口で鞍上のゴーサインが出ると、日本一長い658.7メートルの新潟外回りの直線をフルに使って鋭く伸びた。強気の騎乗で勝利に導いた菅原明良騎手は「長くいい脚を使ってくれるのがこの馬の良さ。自分は1600メートルと1800メートルしか乗っていなかったので、昔のVTRを見ました。今のカラテなら距離は持つと信じて乗りました」と喜んだ。2020年4月以来15戦ぶりの2000メートルだったが、折り合い面は全く問題なし。今回は1998年オフサイドトラップ以来となる新潟記念からの天皇賞(秋)制覇を目指す。6歳馬の勝利となれば、本レースが2000メートルとなった1984年以降で初の快挙でもある。馬名の由来は「空手」。
(高木 翔平)
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