過去10年のNHKマイルCでは単勝1番人気と2番人気がそれぞれ3勝を挙げている一方で、2013年優勝のマイネルホウオウは10番人気、2020年優勝のラウダシオンは9番人気と伏兵馬が勝った年も散見する。果たして、今年はどのような結果になるのだろうか。過去10年の傾向から好走馬に共通するポイントを探ってみよう。
過去10年の前走の距離別成績を調べると、芝1600メートル組は出走馬全体の5割強(180頭中98頭)を占めながら、3着以内馬の数は30頭中14頭で5割弱にとどまっている。一方、前走が芝2000メートルだった馬は出走頭数が少ない(19頭)にもかかわらず3勝を挙げているほか、好走率の数値も高くなっている。また、芝1800メートル組は優勝こそないものの2着が4回と、まずまずの成績となっている。前走から距離を短縮してきた馬は高く評価した方がいいだろう。〔表1〕
前走の距離 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
芝1400m以下 | 1-2-1-34 | 2.6% | 7.9% | 10.5% |
芝1600m | 6-3-5-84 | 6.1% | 9.2% | 14.3% |
芝1800m | 0-4-1-19 | 0% | 16.7% | 20.8% |
芝2000m | 3-1-3-12 | 15.8% | 21.1% | 36.8% |
ダート戦 | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の出走馬について、オープンクラスの芝1600メートル戦における優勝経験の有無を調べてみると、経験の有無で3着以内馬の数は大きく変わらないものの、好走率は経験ありの馬の方が高くなっている。世代のマイル王を決める一戦だけに、やはり芝1600メートルでの実績に注目したい。〔表2〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 6-4-4-37 | 11.8% | 19.6% | 27.5% |
なし | 4-6-6-113 | 3.1% | 7.8% | 12.4% |
また、オープンクラスの芝1600メートル戦で優勝経験があった馬の成績を単勝人気別に分けてみると、3番人気以内であれば3着内率は58.8%と非常に高くなっている。また、4番人気から9番人気は3着以内に入った馬がいないのに対し、10番人気以下だった馬が3着以内に4頭と、特徴的な分布になっている点は覚えておきたい。〔表3〕
単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3番人気以内 | 5-3-2-7 | 29.4% | 47.1% | 58.8% |
4番人気〜9番人気 | 0-0-0-18 | 0% | 0% | 0% |
10番人気以下 | 1-1-2-12 | 6.3% | 12.5% | 25.0% |
過去10年の3着以内馬30頭中20頭は、JRAのレースで4着以下に敗れたことが1回以下で、ここ2年は該当馬が3着以内を独占している。JRAのレースで2回以上4着以下に敗れていた馬は好走率の数字が低調で、2016年以降に限れば〔0・1・3・53〕(3着内率7.0%)と勝ち切れていない。過去のレースでの安定感も重視すべき要素であるといえそうだ。〔表4〕
4着以下の回数 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1回以下 | 8-8-4-54 | 10.8% | 21.6% | 27.0% |
2回以上 | 2-2-6-96 | 1.9% | 3.8% | 9.4% |
種牡馬別の成績に注目すると、安田記念の優勝馬であるダイワメジャーの産駒が〔3・1・2・10〕(3着内率37.5%)と好成績を残すなど、東京・芝1600メートルのGⅠを制した馬の産駒が6勝と活躍している。また、2021年はKingman産駒のシュネルマイスターが優勝、3着にFrankel産駒のグレナディアガーズが入っており、海外で繋養されている種牡馬の産駒も同等の3着内率を記録。これらに該当する馬の出走があればマークが必要だろう。〔表5〕
種牡馬 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
東京芝1600mのGⅠ優勝馬 | 6-3-4-34 | 12.8% | 19.1% | 27.7% |
海外で繋養されている種牡馬 | 1-2-1-11 | 6.7% | 20.0% | 26.7% |
上記以外 | 3-5-5-105 | 2.5% | 6.8% | 11.0% |
過去10年の優勝馬の前走を見ると、桜花賞または皐月賞で5着以内に入っていた馬が4頭おり、この実績を持っていた馬は〔4・1・0・3〕という成績で、勝率50.0%をマークしている。世代のトップクラスが集うクラシックレースで掲示板に載っていた馬は信頼できそうだ。なお、残る6頭のうち5頭は前走がGⅡもしくはGⅢ、かつ2番人気以内で2着以内だった。前走がクラシックレース以外だった馬を比較する場合は、上位人気に支持されたうえで連対していた馬に注目するといいだろう。〔表6〕
(高那実 マヤ)
年度 | 優勝馬 | 前走 | 前走の単勝人気 | 前走の着順 |
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2012年 | カレンブラックヒル | ニュージーランドT(GⅡ) | 1番人気 | 1着 |
2013年 | マイネルホウオウ | ニュージーランドT(GⅡ) | 4番人気 | 7着 |
2014年 | ミッキーアイル | アーリントンC(GⅢ) | 1番人気 | 1着 |
2015年 | クラリティスカイ | 皐月賞(GⅠ) | 10番人気 | 5着 |
2016年 | メジャーエンブレム | 桜花賞(GⅠ) | 1番人気 | 4着 |
2017年 | アエロリット | 桜花賞(GⅠ) | 6番人気 | 5着 |
2018年 | ケイアイノーテック | ニュージーランドT(GⅡ) | 1番人気 | 2着 |
2019年 | アドマイヤマーズ | 皐月賞(GⅠ) | 2番人気 | 4着 |
2020年 | ラウダシオン | ファルコンS(GⅢ) | 1番人気 | 2着 |
2021年 | シュネルマイスター | 弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ) | 2番人気 | 2着 |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。