2014年以降の天皇賞(春)における優勝馬延べ8頭中、2018年のレインボーラインを除く7頭は、既にJRAのGⅠを制した実績がある馬だった。GⅠウイナーが2頭しか出走していなかった2021年も、2019年菊花賞の勝ち馬であるワールドプレミアが優勝を果たした。頂点を極めたことのある馬たちが覇を争う、真のチャンピオン決定戦と言えるだろう。今年も昨年に続いて阪神競馬場での開催となるが、過去10年のレース結果から好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬延べ30頭中23頭は、前年以降の2200メートルから3200メートルのGⅠ・GⅡにおいて1着となった経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率6.7%と苦戦している。まずは前年以降の実績をチェックした方がよさそうだ。〔表1〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 8-9-6-39 | 12.9% | 27.4% | 37.1% |
なし | 2-1-4-98 | 1.9% | 2.9% | 6.7% |
なお、前年以降のJRAの2200メートルから3200メートルのGⅠ・GⅡにおいて1着となった経験がなかった馬のうち、2200メートルから2500メートルのJRAのGⅠにおいて3着以内となった経験もなかった馬は、3着内率が3.3%にとどまっており、2015年以降の過去7年に限ると〔0・0・0・62〕(3着内率0%)である。〔表1〕で挙げた経験がないうえ、2400メートル前後のGⅠで3着以内に入ったこともない馬は、上位に食い込む可能性が低いとみるべきだろう。〔表2〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 1-1-2-11 | 6.7% | 13.3% | 26.7% |
なし | 1-0-2-87 | 1.1% | 1.1% | 3.3% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中26頭は、前走の着順が4着以内だった。一方、5着以下もしくは競走中止だった馬は3着内率6.0%と苦戦しており、2017年以降の過去5年に限ると〔0・1・0・34〕(3着内率2.9%)である。直近のレースで5着以下に敗れていた馬は過信禁物とみておきたい。〔表3〕
前走の着順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
4着以内 | 8-8-10-74 | 8.0% | 16.0% | 26.0% |
5着以下、競走中止 | 2-2-0-63 | 3.0% | 6.0% | 6.0% |
過去6年の3着以内馬延べ18頭中17頭は、前走の4コーナー通過順が6番手以内だった。一方、7番手以下だった馬は3着内率2.9%と苦戦している。近年の傾向を重視するならば、前走の4コーナーを中団から後方で通過した馬の扱いには注意したいところだ。〔表4〕
前走の4コーナー通過順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
6番手以内 | 6-5-6-45 | 9.7% | 17.7% | 27.4% |
7番手以下 | 0-1-0-33 | 0% | 2.9% | 2.9% |
過去5年の3着以内馬延べ15頭中12頭は、通算出走数が19戦以内だった。一方、20戦以上の馬は3着内率7.7%と苦戦している。キャリアが比較的浅い馬を高く評価すべきだろう。〔表5〕
通算出走数 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
19戦以内 | 4-3-5-27 | 10.3% | 17.9% | 30.8% |
20戦以上 | 1-2-0-36 | 2.6% | 7.7% | 7.7% |
過去5年の3着以内馬延べ15頭中13頭は、前走の単勝人気が4番人気以内だった。一方、5番人気以下だった馬は3着内率5.3%と苦戦している。臨戦過程を比較する際は、前走の単勝人気もチェックしておきたい。〔表6〕
前走の単勝人気 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
4番人気以内 | 4-4-5-27 | 10.0% | 20.0% | 32.5% |
5番人気以下 | 1-1-0-36 | 2.6% | 5.3% | 5.3% |
過去7年の優勝馬延べ7頭は、いずれも菊花賞での着順が2着以内だった。今年も該当する馬がエントリーしてきたら有力とみてよさそうだ。なお、この7頭は前走の着順が4着以内だった点、前走の4コーナー通過順が6番手以内だった点も共通している。〔表3〕、〔表4〕で挙げた傾向も重視すべきだろう。〔表7〕
(伊吹 雅也)
年次 | 優勝馬 | 菊花賞における着順 | 前走の着順 | 前走の4コーナー通過順 |
---|---|---|---|---|
2015年 | ゴールドシップ | 1着 | 1着 | 2番手 |
2016年 | キタサンブラック | 1着 | 2着 | 先頭 |
2017年 | キタサンブラック | 1着 | 1着 | 2番手 |
2018年 | レインボーライン | 2着 | 1着 | 4番手 |
2019年 | フィエールマン | 1着 | 2着 | 6番手 |
2020年 | フィエールマン | 1着 | 4着 | 4番手 |
2021年 | ワールドプレミア | 1着 | 3着 | 4番手 |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。