牡5歳
調教師:大久保龍志(栗東)
前走の阪神大賞典は、単勝オッズ1.2倍の断然人気に応えて昨年に続く連覇を達成。1年前の天皇賞(春)は惜しくも0秒1差の2着に敗れたが、さらに力をつけた今なら念願のGⅠタイトルに手が届くはずだ。
3歳時には日本ダービー5着、菊花賞4着とクラシックで上位争いを演じたが、古馬になって本格化した。1番人気だった昨年の天皇賞(春)はスタミナを発揮してしぶとく粘り、惜しくも2着。秋にはフランスへ遠征し、フォワ賞(G2・フランス・芝2400メートル)で海外初勝利を挙げた。続く凱旋門賞(G1・フランス・芝2400メートル)はタフな馬場コンディションに苦しみ14着に敗れたが、帰国初戦の有馬記念で2着に入ってトップクラスの能力をあらためて証明した。今年初戦の阪神大賞典で連覇を飾り、ここで念願のGⅠタイトルをつかみ取るか、楽しみだ。
牡4歳
調教師:栗田徹(美浦)
昨年の菊花賞は逃げて5馬身差の快勝。前哨戦の日経賞も逃げ切っており、ここまで3コーナーを先頭で通過したレースは〔4・1・0・0〕と全て連対している。今回も、自分の形なら粘り込み可能だろう。
昨年の弥生賞ディープインパクト記念を鮮やかに逃げ切り、重賞初制覇。続く皐月賞も積極的な立ち回りでエフフォーリアの2着に粘った。クラシック三冠最終戦の菊花賞は、内枠(2枠3番)から先手を奪うと5馬身差の圧勝。長丁場でもスピードを持続して後続を寄せつけなかった。他世代との初対戦だった前々走の有馬記念は、2番手に控える形から粘るも5着。今年初戦の日経賞はクビ差の接戦を制したが、他の上位馬より重い57キログラムの斤量を背負っており、着差以上の強さだった。菊花賞の結果からも距離延長は歓迎。再び阪神でマイペースに持ち込めれば、後続完封も可能だろう。
牡4歳
調教師:岡田稲男(栗東)
昨年秋からの4連勝で今年のダイヤモンドSを制覇。豊富なスタミナで長距離適性を示した。半兄メイショウハリオ(父パイロ)は先日のマーチSを制し、ダート重賞2勝目をマーク。勢いのある血統がGⅠ制覇を狙う。
デビュー当初はマイルを使っていたが、距離を延ばして素質が開花した。昨年秋の1勝クラス(中京・芝2200メートル)から4連勝で今年のダイヤモンドSを制覇。そのダイヤモンドSは一気に1000メートルの距離延長だったが、好位追走から危なげなく抜け出し、2馬身1/2差の快勝で重賞初制覇を飾った。未勝利時代からコンビを組む菱田裕二騎手とは7戦5勝の好相性。同騎手は「馬体がしっかりしてきてゲートも出るようになりました。ちょっとずつ良くなっています」とパートナーの成長を感じ取る。阪神は3勝している得意コース。勢いに乗ってGⅠの大舞台に挑む。
牡5歳
調教師:上村洋行(栗東)
近2走は3000メートル以上の長距離GⅡで連続2着に好走。豊富なスタミナを生かせる長丁場が合っている。今回は初めてのGⅠ挑戦になるが、前々からしぶとさを発揮できればチャンスはありそうだ。
2017年セレクトセールで1億円を超える高額で取引された良血馬。半弟ジャスティンパレス(父ディープインパクト)は昨年のホープフルSで2着に好走し、今年の皐月賞(9着)にも出走した。本馬は条件戦を使いながら力をつけ、昨年5月にオープンクラス入り。京都大賞典12着、アルゼンチン共和国杯6着と重賞では苦戦が続いたが、距離を延ばしてレースぶりが一変した。前々走のステイヤーズSは積極的に逃げて0秒1差の2着に好走。今年初戦の阪神大賞典も先行策からしぶとく粘り、ディープボンド相手に0秒1差の2着と接戦を演じた。GⅠでも好勝負可能だろう。
牡6歳
調教師:寺島良(栗東)
前々走のステイヤーズSで重賞初制覇。2019年菊花賞でも4着に健闘しており、GⅠのメンバーに入っても長距離適性は引けを取らない。昨年の本レースは15着に敗れたが、末脚が生きる展開になれば反撃可能だろう。
芝2400メートル以上の距離で全4勝を挙げるステイヤー。格上挑戦だった2019年菊花賞では、昨年の本レースも制したワールドプレミアと0秒3差の4着に好走した。後方待機から追い込むタイプで展開に左右されやすいが、はまればGⅠでも通用することは証明済み。昨年12月のステイヤーズSも格上挑戦だったが、メンバー中最速の上がり3ハロン34秒6(推定)の末脚で差し切り、重賞初制覇を飾った。今年初戦の日経賞(11着)は前残りの展開に泣いて末脚不発。豊富なスタミナから距離延長は望むところで、前が止まる展開になれば浮上するシーンがありそうだ。
牡4歳
調教師:今野貞一(栗東)
2歳時から重賞好走の実績を残しているが、4歳になって本格化ムードが漂う。年明けのオープン特別・万葉S(中京・芝3000メートル)は、内から鮮やかに差し切って勝利。持ち味の末脚はここでも通用するはずだ。
デビュー3戦目で初勝利を挙げ、京都2歳Sでは3着に好走。その後も京都新聞杯3着など強敵相手でも堅実に走ってきたが、1勝クラスは3戦目、2勝クラスは4戦目と勝ち上がるまでに時間を要した。それが、格上挑戦だった前々走のオープン特別・万葉Sでは、直線で最内を突いて鮮やかな差し切りV。騎乗した松山弘平騎手は「いいモノを持っています。これからが楽しみです」と期待を膨らませた。前走の阪神大賞典は、勝ち馬に次ぐ上がり3ハロン34秒9(推定)の末脚で4着まで浮上。充実してきた今ならGⅠでもチャンスがありそうだ。騎乗成績〔4・1・0・0〕の松山騎手とのコンビ復活で一発を狙う。
牡5歳
調教師:友道康夫(栗東)
昨年1月のオープンクラス昇級後は6戦中5戦で3着以内を確保している。競馬場や距離を問わず大崩れのないタイプだ。距離経験は芝2600メートル(2着)までだが、さらに延びても対応可能だろう。
母マルセリーナは2011年の桜花賞馬。半兄ラストドラフト(父ノヴェリスト)はデビュー2戦目の京成杯で重賞初制覇を飾った。早い時期から活躍する血統だが、本馬は条件戦を使いながら力をつけ、4歳になってオープンクラスに昇級。近5走の重賞でも〔0・2・2・1〕と安定感のある走りを見せている。前走の日経賞は勝ち馬から0秒1差の3着に敗れたが、GⅠに向けて状態は上向き。栗東CWコースでの1週前追い切りに騎乗した池添謙一騎手は「前走より動きはいいですし、使って良くなっています」と感触を口にした。堅実さはGⅠの大舞台でも侮れない。
牡6歳
調教師:池江泰寿(栗東)
3000メートル以上の距離は4戦して全て3着。長距離路線を歩んだ近3走はラストの決め手勝負で一歩及ばなかったが、それでも上位争いには加わった。本馬向きの我慢比べになれば逆転も可能だ。
半姉アルティマトゥーレ(父フジキセキ)は芝1200メートルの重賞を2勝、半兄キャプテントゥーレ(父アグネスタキオン)は2008年皐月賞を制覇。きょうだいは様々な路線で活躍しており、本馬は長い距離で素質が開花した。近3走は3000メートル以上の距離で連続3着に好走。前々走のオープン特別・万葉S(中京・芝3000メートル)では外に張る面を見せたため、前走の阪神大賞典からハミをトライアビットに替えた。馬具の効果もあり、前々走の勝ち馬マカオンドール(4着)には先着。長丁場を使ってきた経験を生かして、初めてのGⅠに挑戦する。
(寺下 厚司)
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