2021年のオークスを制したユーバーレーベンは、このフローラSで3着に敗れてオークスの優先出走権の獲得はならなかったものの、収得賞金順で出走が叶った“本番”で同世代のライバルたちを一蹴して樫の女王の称号を手に入れた。また、2020年のオークスでは、同年のフローラSの勝ち馬ウインマリリンが2着に入っている。素質馬が集まるトライアル競走を制し、4週後の晴れ舞台に駒を進めるのはどの馬だろうか。今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬30頭中28頭は、通算出走数が3戦以上だった。一方、2戦以下だった馬は3着内率5.0%と苦戦しており、割り引きが必要だ。〔表1〕
通算出走数 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
2戦以内 | 1-0-1-38 | 2.5% | 2.5% | 5.0% |
3戦以上 | 9-10-9-107 | 6.7% | 14.1% | 20.7% |
過去10年の出走馬のうち、前走が1勝クラス以下だった馬に限定した前走の競馬場別成績を見ると、京都・阪神だった馬が3着内率35.5%と優秀な成績を収めている。一方、京都・阪神以外だった馬は3着内率が9.0%にとどまっている。前走が新馬・未勝利・1勝クラスのレースだった馬を比較する際は、そのレースが関西圏のレースだった馬を高く評価すべきだろう。〔表2〕
前走の競馬場 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
京都・阪神 | 5-2-4-20 | 16.1% | 22.6% | 35.5% |
その他 | 3-3-1-71 | 3.8% | 7.7% | 9.0% |
対照的に、前走がオープンクラスだった馬に限定した前走の競馬場別成績を見ると、東京・中山以外だった馬は全て4着以下に敗れている。関東圏以外の重賞やオープン特別を経由してきた馬は、過信禁物とみておきたい。〔表3〕
前走の競馬場 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
東京・中山 | 2-5-5-32 | 4.5% | 15.9% | 27.3% |
その他 | 0-0-0-22 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の3着以内馬30頭中28頭は、前走との間隔が中2週から中9週だった。一方、中1週だった馬は3着以内に入った例がなく、中10週以上だった馬も3着内率が7.7%にとどまっている。前走との間隔が極端に詰まっている馬や、休養明けの馬は割り引きが必要だ。〔表4〕
前走との間隔 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
中1週 | 0-0-0-12 | 0% | 0% | 0% |
中2〜9週 | 9-10-9-109 | 6.6% | 13.9% | 20.4% |
中10週以上 | 1-0-1-24 | 3.8% | 3.8% | 7.7% |
なお、過去3年の3着以内馬9頭中8頭は、前走との間隔が中4週から中9週だった。近年の傾向を重視するならば、前走との間隔が中2週から中3週の馬も扱いに注意すべきだろう。〔表5〕
前走との間隔 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
中3週以内 | 1-0-0-11 | 8.3% | 8.3% | 8.3% |
中4〜9週 | 2-3-3-18 | 7.7% | 19.2% | 30.8% |
中10週以上 | 0-0-0-14 | 0% | 0% | 0% |
過去5年の3着以内馬15頭中8頭は、JRAの1勝クラス以上のレースにおいて1着となった経験がある馬だった。これに該当する馬は3着内率が33.3%に達している。既に1勝クラスやオープンクラスのレースを勝っている馬は高く評価したい。〔表6〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 4-2-2-16 | 16.7% | 25.0% | 33.3% |
なし | 1-3-3-55 | 1.6% | 6.5% | 11.3% |
一方、JRAの1勝クラス以上のレースにおいて1着となった経験がなかった馬のうち、JRAの重賞で5着以内となった経験がなかった馬は、3着内率4.0%と苦戦している。新馬・未勝利しか勝っておらず、重賞で5着以内となったこともない馬は、評価を下げた方がよさそうだ。〔表7〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 1-2-2-7 | 8.3% | 25.0% | 41.7% |
なし | 0-1-1-48 | 0% | 2.0% | 4.0% |
過去7年の優勝馬7頭は、いずれも前走の出走頭数が10頭以上だった。ちなみに、前走の出走頭数が9頭以下だった馬は2015年以降〔0・1・0・16〕(3着内率5.9%)なので、該当馬は苦戦する可能性が高いとみるべきだろう。また、優勝馬7頭は通算出走数が3戦以上だった点、前走との間隔が中3週から中7週だった点も共通している。〔表1〕や〔表4〕、〔表5〕あたりの傾向も重視したい。〔表8〕
(伊吹 雅也)
年次 | 優勝馬 | 前走の出走頭数 | 通算出走数 | 前走との間隔 |
---|---|---|---|---|
2015年 | シングウィズジョイ | 12頭 | 7戦 | 中3週 |
2016年 | チェッキーノ | 16頭 | 3戦 | 中5週 |
2017年 | モズカッチャン | 13頭 | 4戦 | 中3週 |
2018年 | サトノワルキューレ | 10頭 | 3戦 | 中5週 |
2019年 | ウィクトーリア | 12頭 | 4戦 | 中7週 |
2020年 | ウインマリリン | 11頭 | 3戦 | 中3週 |
2021年 | クールキャット | 16頭 | 4戦 | 中4週 |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。