金鯱賞は宝塚記念や有馬記念の前哨戦に位置付けられていた時期もあったが、大阪杯がGⅠに昇格した2017年にその前哨戦として3月に移設され、同年の優勝馬ヤマカツエースが本番で僅差の3着と結果を残した。2018年にはスワーヴリチャードが金鯱賞からの連勝で大阪杯を制しており、年明け最初の古馬中距離GⅠに向けて重要な一戦となっている。ここでは現在の時期に行われた過去5年の結果から、好走馬の共通点を探っていく。
過去5年の単勝人気別成績を調べると、1番人気は3着内率100%と上々の成績を残している。ただ、2021年は10頭立ての10番人気だったギベオンが勝利を収めたほか、1番人気馬が優勝した3回も2着には7番人気以下の伏兵が入っている。2018年以降の4回は9頭から13頭と少なめの頭数で行われたことも考慮すれば、波乱度の高いレースと考えるべきだろう。〔表1〕
単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 3-1-1-0 | 60.0% | 80.0% | 100% |
2番人気 | 1-0-1-3 | 20.0% | 20.0% | 40.0% |
3番人気 | 0-0-0-5 | 0% | 0% | 0% |
4番人気 | 0-0-0-5 | 0% | 0% | 0% |
5番人気 | 0-1-0-4 | 0% | 20.0% | 20.0% |
6番人気〜9番人気 | 0-3-2-15 | 0% | 15.0% | 25.0% |
10番人気以下 | 1-0-1-13 | 6.7% | 6.7% | 13.3% |
過去5年の3着以内馬15頭中10頭は前走から中9週以上の間隔を取っており、そのうち8頭は前走でGⅠ(海外G1を含む)に出走していた。GⅠから臨んだ馬が単勝2番人気以内に支持された場合〔4・1・1・1〕(3着内率85.7%)と好走率はさらに上がる。該当馬がいれば馬券の軸として信頼できそうだ。〔表2〕
前走との間隔 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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中8週以下 | 1-1-3-24 | 3.4% | 6.9% | 17.2% |
中9週以上 | 4-4-2-21 | 12.9% | 25.8% | 32.3% |
なお、中8週以下だった馬は1勝にとどまっているものの、白富士Sから臨んだ馬に限ると3着内率が80.0%にアップする。これには前項で触れたギベオンや、2017年に単勝13番人気ながら3着に入ったスズカデヴィアスも含まれており、白富士S組は配当妙味という点からも注目しておいて損はないだろう。〔表3〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
白富士S | 1-0-3-1 | 20.0% | 20.0% | 80.0% |
その他のレース | 0-1-0-23 | 0% | 4.2% | 4.2% |
過去5年の3着以内馬15頭中13頭は、芝1800メートルから芝2200メートルで行われたオープンクラスのレースを勝っていた。中距離での実績は不可欠といえそうだ。殊に優勝馬5頭はいずれも芝1800メートルまたは芝2000メートルのJRA重賞を勝っていたことから、勝ち切るにはより高いレベルの中距離実績を要することがうかがえる。〔表4〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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あり | 5-3-5-28 | 12.2% | 19.5% | 31.7% |
なし | 0-2-0-17 | 0% | 10.5% | 10.5% |
〔表4〕で述べたように、1着候補の条件としてJRAの中距離重賞の勝ち馬であることが挙げられる。また、過去5年の優勝馬には“JRA・GⅠで4着以内に入った経験を持つ6歳以下の馬”という共通点がある。大阪杯をはじめとした中距離のビッグレースを見据えた馬の戦いを制するには、GⅠでの実績も欠かせないようだ。〔表5〕
(高那実 マヤ)
年度 | 優勝馬 | 年齢 | 主な中距離重賞の勝ち鞍 | GⅠでの最高着順 |
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2017年 | ヤマカツエース | 5歳 | 金鯱賞(芝2000m) | 有馬記念4着 |
2018年 | スワーヴリチャード | 4歳 | 共同通信杯(芝1800m) | 日本ダービー2着 |
2019年 | ダノンプレミアム | 4歳 | 弥生賞(芝2000m) | 朝日杯FS1着 |
2020年 | サートゥルナーリア | 4歳 | 皐月賞(芝2000m) | 皐月賞1着ほか |
2021年 | ギベオン | 6歳 | 中日新聞杯(芝2000m) | NHKマイルC2着 |
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