1949年に創設された2歳馬によるチャンピオンレースが2014年に阪神競馬場へ移設。優勝馬はもちろん、ここで敗れた馬が後のGⅠで活躍することも多く、必見のGⅠである。今回は阪神・芝1600メートルへコースが変わった2014年以降の7年間のデータを中心に傾向を探ってみた。
“2歳戦は早生まれが有利”という競馬格言があるが、過去7年の朝日杯フューチュリティSでもその通りの結果が出ている。2014年以降は、1月から3月生まれの馬が6勝を挙げているのに対し、4月以降生まれの馬はわずか1勝。連対率や3着内率にも大きな差が出ている。まずは出走馬の誕生月を確認したい。〔表1〕
誕生月 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1月〜3月 | 6-7-5-54 | 8.3% | 18.1% | 25.0% |
4月以降 | 1-0-2-40 | 2.3% | 2.3% | 7.0% |
キャリア5戦以上で馬券に絡んだ馬は過去7年で1頭もいない。過去10年にさかのぼっても、キャリア5戦以上で3着以内に入ったのは2012年1着のロゴタイプと、2011年3着のレオアクティブだけ。近年の朝日杯フューチュリティSでは、キャリア4戦と5戦の間にきれいな分水嶺があるようだ。馬券の対象にはキャリア4戦以内の馬をピックアップし、キャリア5戦以上の馬は評価を下げたい。〔表2〕
通算出走数 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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4戦以内 | 7-7-7-73 | 7.4% | 14.9% | 22.3% |
5戦以上 | 0-0-0-21 | 0% | 0% | 0% |
朝日杯フューチュリティSは、1勝クラスの馬でも抽選次第で出走できることが多いGⅠだが、成績が良いのはやはり2勝以上を挙げている馬である。好走率重視なら2勝以上の馬を狙いたいが、1勝馬は2020年7番人気1着のグレナディアガーズ、2019年14番人気3着のグランレイなど、高配当の立役者になることがある。ちなみに、3着以内に入った5頭の1勝馬は全て、1600メートル以外の距離で勝利を挙げていた。〔表3〕
通算勝利数 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
2勝以上 | 5-6-5-51 | 7.5% | 16.4% | 23.9% |
1勝以下 | 2-1-2-43 | 4.2% | 6.3% | 10.4% |
過去7年の出走馬のうち、重賞優勝の実績があった馬は毎年馬券に絡んでおり、その成績は〔3・4・4・20〕(3着内率35.5%)とそれなりに優秀。キャリアの浅い2歳馬のGⅠとはいえ、重賞勝ちの実績がある馬は有力だ。〔表4〕
年度 | 着順 | 馬名 | 重賞勝ち鞍 |
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2014年 | 3着 | クラリティスカイ | いちょうS |
2015年 | 2着 | エアスピネル | デイリー杯2歳S |
2016年 | 2着 | モンドキャンノ | 京王杯2歳S |
2017年 | 1着 | ダノンプレミアム | サウジアラビアRC |
3着 | タワーオブロンドン | 京王杯2歳S | |
2018年 | 1着 | アドマイヤマーズ | デイリー杯2歳S |
3着 | グランアレグリア | サウジアラビアRC | |
2019年 | 1着 | サリオス | サウジアラビアRC |
2着 | タイセイビジョン | 京王杯2歳S | |
2020年 | 2着 | ステラヴェローチェ | サウジアラビアRC |
3着 | レッドベルオーブ | デイリー杯2歳S |
阪神・芝1600メートルはディープインパクト産駒の成績が良く、2020年に行われた全64レース中、13レースで優勝している(勝率13.4%、連対率23.7%、3着内率38.1%)。朝日杯フューチュリティSもご多分に漏れず、過去7年で9頭が出走して5頭が馬券に絡んでいる。ちなみに、ディープインパクト産駒が1番人気に支持された場合(4頭)の3着内率は100%だ。逆に、ダイワメジャー産駒は出走頭数がディープインパクト産駒と同数(9頭)となっているが、好走率では大きく見劣っている。〔表5〕
種牡馬 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
ディープインパクト | 3-0-2-4 | 33.3% | 33.3% | 55.6% |
キングカメハメハ | 1-1-0-3 | 20.0% | 40.0% | 40.0% |
ダイワメジャー | 1-0-1-7 | 11.1% | 11.1% | 22.2% |
Frankel | 1-0-0-1 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
ハーツクライ | 1-0-0-1 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
ロードカナロア | 0-1-0-4 | 0% | 20.0% | 20.0% |
キンシャサノキセキ | 0-1-0-5 | 0% | 16.7% | 16.7% |
スクリーンヒーロー | 0-1-0-5 | 0% | 16.7% | 16.7% |
阪神・芝1600メートルは内枠の成績がいいコース。特に1枠の成績が良く、2018年から2020年の3年間で、勝率12.2%、3着内率27.3%の数値を残している。過去7年の朝日杯フューチュリティSでも、2014年ダノンプラチナ、2017年ダノンプレミアム、2020年グレナディアガーズと、1枠から3頭の優勝馬が出ている。〔表6〕
枠番 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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1枠 | 29-17-19-173 | 12.2% | 19.3% | 27.3% |
2枠 | 13-19-22-192 | 5.3% | 13.0% | 22.0% |
3枠 | 27-19-19-194 | 10.4% | 17.8% | 25.1% |
4枠 | 16-21-16-217 | 5.9% | 13.7% | 19.6% |
5枠 | 23-19-22-227 | 7.9% | 14.4% | 22.0% |
6枠 | 17-28-24-236 | 5.6% | 14.8% | 22.6% |
7枠 | 27-23-21-285 | 7.6% | 14.0% | 19.9% |
8枠 | 21-25-29-305 | 5.5% | 12.1% | 19.7% |
過去7年の優勝馬は全て前走で1着だった。前走で敗れていた馬はアタマでは狙いづらい。また、7頭の優勝馬は全て10月以降のレースで優勝しており、その中でも前走が条件クラスだった馬は、いずれも11月以降のレースで勝利し、その勢いのままに朝日杯フューチュリティSを優勝している。優勝馬を予想する際は、ここまでのデータに加えて、前走の時期と着順もチェックしておきたい。〔表7〕
(姫園 淀仁)
年度 | 優勝馬 | 前走 | 前走の着順 |
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2014年 | ダノンプラチナ | 11月30日ベゴニア賞 | 1着 |
2015年 | リオンディーズ | 11月22日2歳新馬 | 1着 |
2016年 | サトノアレス | 11月27日ベゴニア賞 | 1着 |
2017年 | ダノンプレミアム | 10月7日サウジアラビアRC | 1着 |
2018年 | アドマイヤマーズ | 11月10日デイリー杯2歳S | 1着 |
2019年 | サリオス | 10月5日サウジアラビアRC | 1着 |
2020年 | グレナディアガーズ | 11月7日2歳未勝利 | 1着 |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。