例年札幌・ダート1700メートルで行われるエルムSが今年は函館・ダート1700メートルで開催される。開催場こそ違えども、開催時期に大きな変化はなく、右回りのダート1700メートル戦という条件は同じである。出走馬やそのローテーションによる傾向に大きな変化はないとみて、過去10年のデータからポイントとなりそうな点を分析してみた。予想の参考にしていただきたい。
過去10年で4、5歳馬が計9勝を挙げている。3着内率も高く馬券の軸は4、5歳馬から選びたい。6歳以上の馬も好走例はあるが2着と3着が多い。また、6歳以上で3着以内に入った延べ12頭中8頭は、過去2走以内にダート重賞(地方競馬のダートグレード競走を含む)で連対していた。6歳以上で近走不振の馬は軽視できそうだ。〔表1〕
年齢 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
4歳 | 4-1-2-10 | 23.5% | 29.4% | 41.2% |
5歳 | 5-2-4-20 | 16.1% | 22.6% | 35.5% |
6歳以上 | 1-7-4-71 | 1.2% | 9.6% | 14.5% |
前走で2着以内に入っていた馬と3着以下に敗れていた馬では好走率に大きな差が出ている。特に、近年はこの傾向が顕著で、2020年優勝のタイムフライヤーは前走1着、2019年のモズアトラクションは前走2着、2018年のハイランドピークも前走2着と、3年連続で前走で2着以内に入っていた馬が優勝している。ダート路線のトップホースが出走してくることが少ない重賞なので、過去の実績よりも近走の調子がモノをいうようである。〔表2〕
前走の着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1着 | 5-3-3-17 | 17.9% | 28.6% | 39.3% |
2着 | 2-2-3-9 | 12.5% | 25.0% | 43.8% |
3着以下 | 3-5-4-75 | 3.4% | 9.2% | 13.8% |
前走2着以内馬の好走率が高いのと同様に、前走で単勝2番人気以内に支持されていた馬の好走率も高く、過去3年の優勝馬はいずれも前走で2番人気だった。逆に、前走で6番人気以下だった馬は、過去10年で延べ50頭いて〔0・3・3・44〕という成績。ほとんどが4着以下に敗れており、馬券の軸にはしづらい印象だ。〔表3〕
前走の単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 4-2-3-9 | 22.2% | 33.3% | 50.0% |
2番人気 | 4-0-2-18 | 16.7% | 16.7% | 25.0% |
3番人気以下 | 2-8-5-73 | 2.3% | 11.4% | 17.0% |
前走別成績では函館・ダート1700メートルのオープン特別マリーンSからの臨戦馬が過去10年で5勝を挙げている。その中でもマリーンSで3着以内に入っていた馬は〔5・1・1・8〕という優秀な成績を残している。今年はエルムSも函館・ダート1700メートルで行われるため、マリーンSの重要度はさらに上がりそうだ。その他では平安Sや大沼Sの好走率の高さが目立つ。さらに、今年はプロキオンSが小倉・ダート1700メートルに変更されたため、そこからエルムSに転戦してきた馬がいた場合は注意しておきたい。〔表4〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
マリーンS | 5-1-1-29 | 13.9% | 16.7% | 19.4% |
平安S | 1-2-1-3 | 14.3% | 42.9% | 57.1% |
大沼S | 0-2-1-3 | 0% | 33.3% | 50.0% |
プロキオンS | 0-2-0-5 | 0% | 28.6% | 28.6% |
マーキュリーC | 0-1-3-4 | 0% | 12.5% | 50.0% |
アンタレスS | 0-1-1-7 | 0% | 11.1% | 22.2% |
しらかばS | 0-0-1-8 | 0% | 0% | 11.1% |
その他のJRA重賞 | 0-0-1-14 | 0% | 0% | 6.7% |
その他のオープン特別 | 1-0-0-7 | 12.5% | 12.5% | 12.5% |
3勝クラス | 2-0-0-5 | 28.6% | 28.6% | 28.6% |
2勝クラス | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
その他の地方のレース | 1-1-1-14 | 5.9% | 11.8% | 17.6% |
海外のレース | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の優勝馬延べ10頭のうち9頭は4歳もしくは5歳で、このレースがJRAのダート重賞初制覇だった。2015年以降はこれに該当する馬の優勝が続いているうえ、それら6頭の優勝馬はいずれも同年の年明け以降に勝利経験があったことから、重賞未勝利であっても近走で勝利から遠ざかっている馬は狙いづらい。〔表5〕
(姫園 淀仁)
年 | 優勝馬 | JRAダート重賞実績 | 直近で勝利したレースの時期 | 年齢 |
---|---|---|---|---|
2015年 | ジェベルムーサ | 未勝利 | 2015年6月 | 5歳 |
2016年 | リッカルド | 未勝利 | 2016年7月 | 5歳 |
2017年 | ロンドンタウン | 未勝利 | 2017年2月 | 4歳 |
2018年 | ハイランドピーク | 未勝利 | 2018年6月 | 4歳 |
2019年 | モズアトラクション | 未勝利 | 2019年1月 | 5歳 |
2020年 | タイムフライヤー | 未勝利 | 2020年7月 | 5歳 |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。