注記:1勝クラス・2勝クラス・3勝クラスは、従来の500万円以下・1000万円以下・1600万円以下。
グレード制が導入された1984年以降の菊花賞における優勝馬36頭中、4分の3にあたる27頭は、この菊花賞でGⅠ初制覇を果たした馬だった。現在のところ2013年から7年連続でGⅠ未勝利馬が優勝を果たしているが、その2013年以降は計5頭のGⅠウイナーが出走していたものの、3着以内に入った馬は1頭もいない。クラシック最終関門の菊花賞は、皐月賞や日本ダービーとは異なる資質を問われるレースと言えそうだ。今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみよう。
過去10年の3着以内馬30頭中27頭は、前走の着順が「3着以内」だった。一方、「4着以下」だった馬は3着内率3.8%と苦戦している。前走で3着以内に入っていなかった馬は評価を下げたい。〔表1〕
前走の着順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3着以内 | 10-9-8-74 | 9.9% | 18.8% | 26.7% |
4着以下 | 0-1-2-76 | 0% | 1.3% | 3.8% |
過去10年の3着以内馬30頭中24頭は、前走がJRAのレース、かつそのレースでの上がり3ハロンタイム(推定)順位が「3位以内」だった。一方、「4位以下」だった馬は3着内率6.7%と苦戦している。前走の内容を比較する際は、着順だけでなく上がり3ハロンタイム(推定)順位にも注目しておきたいところだ。〔表2〕
前走の上がり3ハロンタイム (推定)順位 |
着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3位以内 | 8-8-8-65 | 9.0% | 18.0% | 27.0% |
4位以下 | 2-2-2-84 | 2.2% | 4.4% | 6.7% |
なお、過去10年で馬場状態が良だった年(2013年と2017年を除く8回)に限ると、前走がJRAのレース、かつそのレースでの上がり3ハロンタイム(推定)順位が「4位以下」だった馬の3着内率は4.2%にとどまっている。今年の菊花賞が良馬場となった場合は、前走の末脚をより重視すべきだろう。〔表3〕
前走の上がり3ハロンタイム (推定)順位 |
着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3位以内 | 6-8-7-51 | 8.3% | 19.4% | 29.2% |
4位以下 | 2-0-1-68 | 2.8% | 2.8% | 4.2% |
過去10年の3着以内馬30頭中26頭は、“同年4月以降のJRAのGⅠ・GⅡ”において4着以内に入った経験のある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率4.4%と苦戦している。今年も、4月以降に行われたGⅠ・GⅡで4着以内のある馬を高く評価したい。〔表4〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 9-10-7-63 | 10.1% | 21.3% | 29.2% |
なし | 1-0-3-87 | 1.1% | 1.1% | 4.4% |
過去10年の連対馬20頭は、いずれも前走が「JRAの重賞」だった。一方、「JRAの重賞以外」だった馬は連対がなく3着内率は8.9%にとどまっている。重賞以外のレースから参戦してきた馬が優勝争いに加わる確率は低いと見ておきたいところだ。〔表5〕
前走 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
JRAの重賞 | 10-10-5-99 | 8.1% | 16.1% | 20.2% |
JRAの重賞以外 | 0-0-5-51 | 0% | 0% | 8.9% |
なお、前走が「JRAの重賞」だった3着以内馬25頭のうち18頭は前走が「神戸新聞杯」だった。それに対し、「セントライト記念」から臨んだ馬は3着内率9.6%と苦戦している。同じ菊花賞トライアルではあるものの、「セントライト記念」から臨む馬はやや評価を下げるべきだろう。〔表6〕
前走 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
神戸新聞杯 | 8-6-4-46 | 12.5% | 21.9% | 28.1% |
セントライト記念 | 1-3-1-47 | 1.9% | 7.7% | 9.6% |
ラジオNIKKEI賞 | 1-0-0-0 | 100% | 100% | 100% |
札幌記念 | 0-1-0-2 | 0% | 33.3% | 33.3% |
その他のレース | 0-0-0-4 | 0% | 0% | 0% |
過去7年の3着以内馬21頭中19頭は、通算出走数が「8戦以内」だった。一方、「9戦以上」だった馬は3着内率4.1%と苦戦している。2012年以前はキャリア「9戦以上」の馬もそれなりに好走していたが、近年の傾向を重視するならば、キャリアが比較的浅い馬を高く評価したい。〔表7〕
通算出走数 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
8戦以内 | 7-5-7-58 | 9.1% | 15.6% | 24.7% |
9戦以上 | 0-2-0-47 | 0% | 4.1% | 4.1% |
過去7年の優勝馬7頭は、いずれも通算出走数が「7戦以内」だった。〔表7〕で挙げた傾向からもわかる通り、キャリアが比較的多い馬は過信禁物と見ておきたいところだ。また、この7頭は前走の馬体重が470キログラム以上だった点も共通している。馬格がない馬は評価を下げるべきだろう。さらに、この7頭はいずれも前走がJRAの重賞で3着以内に入っていた。〔表1〕や〔表5〕などで挙げた傾向も重視したい。〔表8〕
(伊吹 雅也)
年次 | 優勝馬 | 通算出走数 | 前走の馬体重 | 前走 |
---|---|---|---|---|
2013年 | エピファネイア | 7戦 | 480kg | 神戸新聞杯(GⅡ)1着 |
2014年 | トーホウジャッカル | 6戦 | 484kg | 神戸新聞杯(GⅡ)3着 |
2015年 | キタサンブラック | 6戦 | 532kg | セントライト記念(GⅡ)1着 |
2016年 | サトノダイヤモンド | 6戦 | 500kg | 神戸新聞杯(GⅡ)1着 |
2017年 | キセキ | 7戦 | 486kg | 神戸新聞杯(GⅡ)2着 |
2018年 | フィエールマン | 3戦 | 476kg | ラジオNIKKEI賞(GⅢ)2着 |
2019年 | ワールドプレミア | 5戦 | 472kg | 神戸新聞杯(GⅡ)3着 |
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