注記:1勝クラス・2勝クラス・3勝クラスは、従来の500万円以下・1000万円以下・1600万円以下。
昨年の3着馬ラウダシオンは、今年のNHKマイルCでGⅠ制覇を成し遂げた。この他にも、2018年1着のファンタジストが同年の京王杯2歳Sを、2016年1着のレーヌミノルが翌年の桜花賞を制すなど、この小倉2歳Sで上位に食い込んだ馬が後に格の高いレースを勝った例は少なくない。今秋以降の短距離重賞を展望するうえでも見逃せない一戦と言えそうだ。今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみよう。
過去10年の3着以内馬30頭中28頭は、前走の上がり3ハロンタイム(推定)順位が「3位以内」だった。一方、「4位以下」だった馬は3着内率6.5%と苦戦している。〔表1〕
前走の上がり3ハロンタイム(推定)順位 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3位以内 | 10-9-9-95 | 8.1% | 15.4% | 22.8% |
4位以下 | 0-1-1-29 | 0% | 3.2% | 6.5% |
また、過去10年の3着以内馬30頭中29頭は、前走の4コーナー通過順が「6番手以内」だった。一方、「7番手以下」だった馬は3着内率7.1%と苦戦している。ちなみに、2014年以降の3着以内馬18頭は、いずれも前走の上がり3ハロンタイム(推定)順位が3位以内、かつ前走の4コーナー通過順が6番手以内だった。前走の上がり3ハロンタイム(推定)順位が「4位以下」だった馬や、前走で中団や後方からレースを進めていた馬はそれぞれ評価を下げたい。〔表2〕
前走の4コーナー通過順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
6番手以内 | 10-10-9-111 | 7.1% | 14.3% | 20.7% |
7番手以下 | 0-0-1-13 | 0% | 0% | 7.1% |
過去10年の小倉2歳Sにおける前走との間隔別成績を見ると、「連闘」、「中1週」だった馬は全て2着以下に敗れている。「中2週」だった馬は6頭が連対しているが、3着内率は14.3%にとどまっており、「中3週以上」の好走率が最も高くなっている。臨戦過程を比較する際は、前走から「中3週以上」で臨む馬を高く評価した方がよさそうだ。〔表3〕
前走との間隔 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
連闘 | 0-1-1-13 | 0% | 6.7% | 13.3% |
中1週 | 0-1-1-20 | 0% | 4.5% | 9.1% |
中2週 | 3-3-1-42 | 6.1% | 12.2% | 14.3% |
中3週以上 | 7-5-7-49 | 10.3% | 17.6% | 27.9% |
過去10年の3着以内馬30頭中27頭は、通算出走数が「2戦以内」だった。一方、「3戦以上」だった馬は3着内率7.3%と苦戦している。キャリア3戦以上の馬は過信禁物とみるべきだろう。〔表4〕
通算出走数 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
2戦以内 | 9-9-9-86 | 8.0% | 15.9% | 23.9% |
3戦以上 | 1-1-1-38 | 2.4% | 4.9% | 7.3% |
なお、通算出走数が「3戦以上」だった馬で3着以内に入った3頭は、いずれも前走の着順が1着、かつ2着馬とのタイム差が0秒7以上だった。キャリア「3戦以上」だった馬の中で、前走を勝っていない馬や、勝っていたとしても2着馬に大きなタイム差をつけていなかった馬は、苦戦必至とみておきたい。〔表5〕
前走の着順ならびに2着馬とのタイム差 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1着、かつ2着馬とのタイム差が0秒7以上 | 1-1-1-3 | 16.7% | 33.3% | 50.0% |
1着、かつ2着馬とのタイム差が0秒6以内、もしくは2着以下 | 0-0-0-35 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の3着以内馬30頭中22頭は、前走の枠番が「5枠から8枠」だった。一方、「1枠から4枠」だった馬は3着内率11.8%と苦戦している。直近のレースでの枠番が5枠から8枠だった馬の方が、上位に入る確率は高いようだ。〔表6〕
前走の枠番 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1〜4枠 | 2-4-2-60 | 2.9% | 8.8% | 11.8% |
5〜8枠 | 8-6-8-64 | 9.3% | 16.3% | 25.6% |
なお、前走の枠番が「1枠から4枠」だった馬で3着以内に入った8頭のうち4頭は、前走の着順が1着、かつ2着馬とのタイム差が0秒7以上だった。前走が1枠から4枠で2着以下に敗れていた馬や、勝っていたとしても2着以下の馬に大きなタイム差をつけられなかった馬は、評価を下げるべきかもしれない。〔表7〕
前走の着順ならびに2着馬とのタイム差 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1着、かつ2着馬とのタイム差が0秒7以上 | 1-3-0-5 | 11.1% | 44.4% | 44.4% |
1着、かつ2着馬とのタイム差が0秒6以内、もしくは2着以下 | 1-1-2-55 | 1.7% | 3.4% | 6.8% |
過去10年の優勝馬10頭は、いずれも前走の馬体重が442キログラム以上482キログラム以下だった。極端に馬体重の軽い馬や重い馬は勝ち切れない可能性が高いとみるべきだろう。なお、同じく過去10年の優勝馬10頭は、前走の上がり3ハロンタイム(推定)順位が3位以内だった点、前走の4コーナー通過順が3番手以内だった点、前走との間隔が中2週以上だった点も共通している。〔表1〕、〔表2〕、〔表3〕で挙げたポイントもそれぞれ重視した方がよさそうだ。〔表8〕
(伊吹 雅也)
年次 | 優勝馬 | 前走の馬体重 | 前走の上がり3ハロンタイム(推定)順位 | 前走の4コーナー通過順 | 前走との間隔 |
---|---|---|---|---|---|
2010年 | ブラウンワイルド | 450kg | 1位 | 2番手 | 中2週 |
2011年 | エピセアローム | 458kg | 1位 | 1番手 | 中5週 |
2012年 | マイネルエテルネル | 460kg | 2位 | 1番手 | 中4週 |
2013年 | ホウライアキコ | 446kg | 1位 | 1番手 | 中4週 |
2014年 | オーミアリス | 442kg | 2位 | 3番手 | 中4週 |
2015年 | シュウジ | 482kg | 2位 | 1番手 | 中5週 |
2016年 | レーヌミノル | 458kg | 2位 | 3番手 | 中3週 |
2017年 | アサクサゲンキ | 452kg | 1位 | 1番手 | 中2週 |
2018年 | ファンタジスト | 448kg | 3位 | 2番手 | 中6週 |
2019年 | マイネルグリット | 478kg | 2位 | 3番手 | 中2週 |
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