CMY仮(0074)インした。18年は21勝と数を落としたが、そのあと32、37勝と着実にステップアップし、ことしは8月9日現在、29勝でリーディングの4位にいる。「スタッフのみんながよく頑張って、馬もよく頑張って、馬主さんからもたくさん馬を預けていただいて。それがうまく噛み合っての成績ですし、もっと上をめざしてやっていきたいですね」 キタサンブラックはハードトレーニングで話題になったが、清水調教師は一貫して「調教は疲れないと意味がない」という考えで馬を育ててきた。そして結果をだしている。「馬はアスリートで、調教は練習なんです。普段、練習を怠っていたら結果はでない。キタサンブラックまでやるとへこたれる馬は多いと思うけど、ぼくがこの馬はここまでできるという判断をして、ぎりぎりのところまでやって、あとはしっかりとケアをして、回復させてあげるのが我々の仕事なので 成績があがれば馬房数も増え、預かる馬も増えた。2歳馬も30頭をゆうに超えている。そのうち、キタサンブラック産駒は9頭いる。5日前にはコナブラックが中央初勝利を飾った。デビュー戦は3着だったが、2戦めはゴール前でしっかり伸びて勝利をものにしている。〝本家〟の面目躍如である。「やれやれですね。プレッシャーはもちろんありました。1戦めは相手も強かったし、エンジンのかかりが遅い感じで、ゴール前で伸びた。2戦めは競母のタッチオブパラダイスはフランケルの産駒。最初の産駒タッチオブヨリ(牝、父チャームスピリット)は「新馬のあと連闘で小倉2歳に行きたい」と調教師から報告を受けていたほどだったが、デビュー前に故障してしまった。2歳はそれよりもいい馬で、育成牧場でよくなっていると梁川さんは言う。 もう1頭、ヨリクンハート(牡、母ヒムノティック)は吉岡辰弥厩舎からデビュー予定。母親のヒムノティック(父ウォーフロント)はせりで見て「体型的にもキタサンに合うんじゃないかな」と思ったという牝馬だ。「オーナーは早くだしたいと思いますが、なるべく急いで使わないでくださいと言っています。クラシック路線に乗れるものなら乗りたいので、年内にひとつでもふたつでも勝っておきたいんですが」 と言いながら「ただ、ライバルがねえ」と梁川さんは笑う。ライバルとなるのはディープインパクト産駒なのだ。 1歳馬も3頭いる。タッチオブパラダイスの牝馬とヒムノティックの牡馬。そしてもう1頭はキタサンプリンセスの牝馬。大野商事(北島三郎氏)の馬だ。「いいですよ、その馬は」 梁川さんは声に力をこめた。 キタサンブラックの母シュガーハートにもたのしみな2歳馬がいて、ロードカナロアの牡で武幸四郎厩舎からデビューの予定。1歳はいないが、ことしはドゥラメンテの牡を産み、腹のなかにはレイデオロの仔が宿っている。当歳は清水久詞厩舎に行く予定だ。 キタサンブラックの弟といえば1億4500万円(税抜)で落札されて話題になったエブリワンブラックがいるが、2連勝でオープンクラスにあがってきた。ダート戦線では2頭のGⅠ馬サンライズノヴァ、テーオーケインズと4歳のサンライズホープ(5勝)もいる。 ヤナガワ牧場の事務所から胡蝶蘭が枯れることはなさそうだ。 東京オリンピックの開会式がおこなわれる日の午後、栗東トレセン。コロナの感染拡大がつづくなかでオリンピックが開催されれば、秋になっても競馬場やトレセンの取材規制がつづくんだろうな、などと思いながら、マスク装着で歩くにはひどく暑い。 清水久詞調教師は2日前にコロナワクチンの1回めの接種を済ませたそうで、「腕がちょっと痛い」と笑った。10日後に2回めを予定しているわたしは、いままでの取材よりもちょっと気持ちが楽だった。 キタサンブラックの最後のシーズンとなった17年、清水厩舎はそれまで最多の29勝をあげて最高の20位にランク産駒のJRA初出走、初勝利はともに清水久詞調教師の管理馬コナブラック。初勝利の際には「恩返し」とS.SetoguchiN.Inaba産駒が次々デビュー予定白星を送った育ての親KITASAN BLACK
元のページ ../index.html#56