``がほど。あ8の3おり、その華麗なクラシック・つぎは、縦ニッぃ四十和ン、横一ば七十五ン、深さ九十九示でる、い板は10点満点という意味白だった。ある栗毛の馬体は水々しく、囲気で満ちていた。テンポイントは牧場時代も特に目立ったところはなかったが、二歳春ごろは発育が悪く、どこか悪いところがあるのかなと多少心配な面があった。そのためにって追い運動をするようになり、他の馬は運動場に入ると一目散になって飛んで行くのにテンポイントは、そう無駄な走りはしないで、追い馬に後から突っつかれるとピューとすぐハナに立った。「追われた時だけ、ススツと先へ出る。これは切れる脚があるなと思い、えてみると、テンポイントは大変利巧な馬だったんでしょうね」と吉田重雄場長は述懐する。明け四歳を迎えたテンポイントは早目に東上した。陰矢の如し、というが、昭和五十三年三月五日の早朝、テンポイントが栗東トレーニングセンターの馬房でわずか六歳の生命を断ってから、はや八年の歳月が流れ田牧場は、まだ深い雪の中だが、命日がくると、毎年、熱心なファンが桔梗ヶ丘の馬頭観音碑を訪れる。八年前の三月十日。故郷の地でテンポイントの葬送風が吹き、午後からは吹雪となった。吉田重雄場長は「いつもは北風なのに、珍しく南風。南からやってきたテンポイントを迎えているのでしょうか」と目頭を押さえ、読経の中で焼香した。オーナーの高田久成氏夫妻、い大地に埋葬される"貴公子"と別れを告げた。会葬者一人一人に千羽鶴と生け花が手渡され、ひつぎの中は血のかよったぬくもりで一杯だった。葬送式の途中で約三百討離れた厩舎から母親のワカクモ(当時十六歳)と、テンポイントの全弟「皇若」(明け二歳)がやってきて涙のお別れをした。参列者の中からすすり泣きがもれた。テンポイントが安置されたひの厚さは_•五巧という特大品。埋葬するのも容易なことでなく、植分と長い時間がかかったが、その間、土が盛られる最後まで「しばれる」厳寒の中、震えながらも立ち去る者は皆無だった。地元・早来町の人々はもちろん、東京から、千葉から、あるいは関西地方から“お別れ“に来たファンである。だれの頭も吹雪で真っテンポイントは、昭和四十八年四月十九日に吉田牧場で誕生した。父コントライトは英国の至宝といわれたネヴァーセイダイの子。母は桜花賞馬ワカクモ。いわゆるクラシック・ファミリー出身の良血である。母ワカクモ、祖母クモワカ(血統名・丘嵩)がともに十一勝し、母系の素晴らしさが目立っていた。だが、本来ならワカクモもテンポイントもこの世に存在し得なかった馬である。祖母クモワカは五歳の六月に京都競馬場で「伝染性貧血症」と診断された。いわゆる”伝貧"で、法定伝染病である。このためクモワカは京都府から殺を通って京都の隔離厩舎を抜け出し、逃避行したかは、る吉田一太郎氏(吉田牧場の先代場長)、馬主の山本谷五郎氏の尽力があったからこそ生きながらえたことはにたどりつくまでなんと三年かかった。獣医の誤診と判定され、殺処分命令も取り消された。それから血統登録が受け付けられるには、さらに五年半。事件から十二年後の昭和三十八年にクモワカは血統書の第七巻に丘高の名で登録され、生き返ったのであった。その年にクモワカはワカクモを産んだ。ワカクモは昭和四十一年に桜花賞に勝ち、やがてテンポイントの母となるのである。ファミリーの血の優秀さを次々と証明していった。イント。活字のサイズを表わす数字だが、大きさで言えば、わずかずれにしても名前が新聞のフロントページに大見出しで掲載されるように、という願いを込められて付けられたものである。年八月十七日、函館競馬の新馬戦でデピューした。ス夕—卜から果敢に逃けたテンポイントは千計58秒レコードで、二着に10馬身の大差をつけて快勝した。秋になって二戦目の京都のもみじ賞も9馬身の圧勝、そして三戦目の阪神三歳ステークスでも7馬身の大差勝ちし、一躍クラシック候補の筆頭となった。流星のt テンポイントの生まれ故郷、北海道勇払郡早来の吉クモワカ事件は、裁判にまで発展したが、五年後にテンポイントには、祖母の不死身の強さが脈打ってテンポイントとは、10ポテンポイントは昭和五十次代をになう若武者の雰運動量も控えたことがあった、という。だが、秋にな無事なら、ある程度走ってくれるのではないか。今考今年もまた、テンポイントの命日がやってきた。光式が行われた。この日はマイナス七度、朝から強い南小川佐助調教師、競馬関係者やファン約四百人が雪深処分命令を受けた。その後、クモワカはどういう経路今も謎に包まれている。ただ、クモワカの無実を信じ間違いない。クモワカが京都から姿を消し、吉田牧場も含まれているのか?い* 昭和50年8月17日、函館競馬場でデビューしたテンポイントは2着に10馬身の差をつけて優勝した▼阪神3歳S。「見てくれこの脚、これが関西の期待テンポイントだ./」と杉本アナウンサーは絶叫した
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