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シンボリどとうの差しキャリ先輩におんぷ物言遠藤周作記念である。(12月22日・報知新聞所載)ーがトップにたった。らいて九番手につけている。ギャロッ。フ、タケプエ、〔レース経過〕ファンが選んだ十五頭が一団になって出走する。人気随一のマーチスが一瞬ながら先頭を奪った。ハクエイホウが外からマーチスを抜いていく。スタンド前にかかると今度はダッシュリュ流れるように移動していく馬群の中で十三万人の観衆は、自分の選んだ馬を捜す。ライトワールドが三番手につけ、ダービー馬ダイシンボルガードがこれに続く。昨年の覇者リュウズキ、天皇宜のメジロタイヨウ、菊花貨のアカネテンリュウ、そして本命のマーチスがいく。スピードシンボリはやや外にひニットエイト、フイニイ、メイジアスター、アクックプルーの順でスタンド前をかけ抜けていった。バックストレッチにはいると、ライトワールドが競馬場で競馬を見るのは初めてである。いままで友人が歩中になって予想表を見ているのをながめながら、なんであんなものがおもしろいか、とハナ先でせせら笑っていたのである。それを本紙の記者から一度おいでとすすめられて、一度くらいなら、とこの中山競馬場にやってきた。いやひどい混雑である。車の置き場所はないし、人の数は野球楊より多い。どの人も私のさっぱりわからん馬の名をつぶやき、あの馬はこんどは仕上がっていないとか、このレースには弱いとか語り合っている。馬の名前は長たらしくて舌をかみそうだし、それに単だの連複だのむずかしくて、正直私にはちんぷんかんぷんである。それを記者からひとつひとつ初歩のかけ方をおそわって、ちょうど始まった七レースの馬を見せてもらった。どの馬も同じように見える。あれが尤気だ、あれが締まっている、といわれてもいっこうにわからん。とにかくあてずっぽうで券を買う。だがたかをくくりながら、レースを見はじめ、馬が疾走し、左右の人々が騒ぎはじめると、いままで冷えていたこっちの気持ちが興術してきた。こりやおもしろいぞ、という気になってきた。馬が聞近で走る時間は二、三十秒くらいだが、その二、三十秒のスリルが背筋を走ったから券は仝部ダメだったが、八レースを十枚買った。これもダメだが、おもしろさはさっきより深くなった。レースの間に馬券を買っていると、いろいろな人に肩をたたかれた。いずれも思いもかけぬ昔の知人で、私のきているのにびっくりしている。こちらもびっくりして手を握る。昔入院していたときの仲間や、大学のときの友人など、みんな私と十年ぶりの再会だからだ。競馬均にくると旧友たちに出会えることがはじめてわかった。先姻の柴田錬三郎氏もいる。だいぶもうけたと笑っている。「じゃ先輩、有馬記念はどれを買えばいいか教えてください」というと「おめえ、⑤ー⑦を買え」という。こちらは初心者だから迷わずそれを二枚買っておいた。当たらなかったら「柴錬さんをうらむの記」で原稿を書いてやろうと、それほど期待もせずいよいよ九レースを見となってこちらに馬が走ってくるうちに電光の数字が目まぐるしく変わる。アレアレ、たしかに柴錬さんの教えてくれたスピードシンボリが出ている。アカネテンリュウも出ている。こりゃどうしたことだ。欲が出た。ツバを飲みこんだ。⑤ー⑦である。なんといっていいかわからん。「神様、仏様、柴錬様」という気持ちである。初心者はやはり当日、競馬通の先益か知人のツキにおぷさることだ。こうなってはこんごの競馬もぜひとようと考えはじめている。あれほど競馬をバカにしていた自分がどこにいったのか、われながら情けない話だ。柴錬さん、ありがとう/.t さすがにこのときは人々の興恋最高潮で、一団(作家)70有馬つたア •J '11111111111111111!11111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111 111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111 事m―'(第14回グランプリ).

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