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すばらしかった、シービー。勝ち絨けるもよし、負け続けるもよし。だが、私は語りつぐ三冦馬を持った。いう。だろう。った、といった。のぞきこんだ。ったのだという。―一千四百2いの競馬を千八行”いの競馬にでもね、ぽくのが三抒に入るんだから、やっばりメンバーが弱かったとおでも、フジノさん、三冠が逹成され先生は秘かに闘志を燃やしているな、と推測した。レースには、いつもペースとい`ユ闘物がついてまわる。ソフィアのばあいには、ハイペースが閥物だが、もし前半がスローペースに落ち、にも十分に勝邸は立つ。好位からうまく直線で先頭に躍り出せれば、我慢強いソフィアは、ちょっとやそっとのこンググレイス、グローバルダイナ、ジョーキジルクム、ダイナカールといったあたりの差し脚を封じ込めれば、ソフィアにだって勝利の嗜みはありうる岩元市三騎手の紹介で、私は、田島良保騎手と田原成賞騎手に会った。関西テレビの杉本清アナウンサーは、田島良保騎手を「西の仕掛人」と紹介した。私がそのことをいうと、田島騎手はちょっと照れて、とてもうれしい佐藤さんは、大好きなお酒を菊花買の一週間前からぷっつりと絶っていたとどうでした、一週間ぶりの美酒、おいしかったですか?うん、うん、と、佐藤さんは顛をほころばせ、うまかったよ、格別の味だ岩元市三騎手にばったりと出会わせた。岩元さん、困りますねえ、宝島でノーマークだった馬に三着に米られて、すっかり信用を落としましたよ、と、あけて上ハH、早いもので、もうエリザベス女王杯の追い切りの日であった。私は、シャダイソフィアの渡辺栄調教師と並んで、ソフィアが馬なりで最終調整を終えるのを眺めていた。ソフィアが向こう正面に待たせていた三歳馬の内にあわせ、気合の卜分に乗った怪やかな足どりでゴール板を駆けぬけると、渡辺栄調教師は、どうだ完璧ですね、と、私はいった。これはほくの欲日かもしれませんが、ソフィアはすっかり打禄がつきましたね、なんか自信にあふれてますよ。渡辺凋教師は、うん、うんとうなずき、ラジオ局のアナウンサーのインタビューに応じた。ええ、状態は完璧だったとおもっています。距離?ええ、それだけが心配といえば心配ですね。私は、にこやかにインタビューに答えている渡辺調教師の表梢をみながら、りあいの人が、ダイゼンで菊花買の馬券取られた、とこぽしたら、おばあちゃん、えらい馬力で怒りよってな。馬が一生懸命走ってるのに、あんたたちは何ですか。あんたたちの馬券の買い方が悪いのを棚にあげて、馬のせいにするのはけしからん、と、そらもう、ものすごい迫力や。みんな参ってしもて、みんなでおばあちゃんにあやまって許してもろた。馬房のなかのダイゼンキングは、左の前脚にバンデージを巻いていた。レース中にぶっつけて負傷したが、幸い軽度の怪我ですんだという。おばあちゃんの孫娘のめぐみちゃんが、おみやげにダイゼンの髪の毛一本でもええから持ってきてくれというんで、わし、ダイゼンの左前脚の蹄鉄を一本あげたんや。おばあちゃんが、一本だけだと怪我でもするんしゃないかな、というんで、四本ともあげようかとおもたけれど、荷物になるし、まあ一本でええやろ、とおもた。そしたら、おばあちゃんのいうとおり、左前脚を怪我して帰ってきよった。四本とも持っていってもらえばよかったよ。出張厩舎卜の13号棟へ行ってみると、もうビンゴカンタの姿はそこに見えなかった。きのうのうちに帰京してしまウメノシンオーの佐藤万助厩務員が、ゲート癖の悪さがまた出てしまった、と嘆いた。ちょっと太かったけれど、気合そのものは悪くなかったから、それなりに期待していたんだが、またまたゲートで失敗してしまった。でも、競馬はこれからもあるからね、必ず巻き返してみせるよ、と、さばさばしたミスターシービーの馬房では、佐藤忠雄厩務員が忙しそうに働いていた。苦情をのべると、まあ、人気枠の七枠に入ってたからよかったじゃない、と妙ななぐさめられ方をした。もうよ。あれで、ステイヤータイプの決め手のある馬、たとえばメジロモンスニーなんかいたら、ちょっときわどかったんじゃないかなあ。て、ほんとうによかったね。してしまうことができれば、ソフィアとでは先碩を明け渡さないだろう。ロい?といったふうな表情で私の顧を魯でいった。59

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