しまつたある。が切られた。1かして、つは帰らずに、一晩中飲みいには加茂川の河原で寝ることになるだろう、と言っていたのである。シービーは進撃を開始した。馬群の外をぐんぐんと、まるでかれ一頭だけがレースをやっているかのように突き進んでいった。終始馬群の中団に馬をおいた武邦彦騎手は、三コーナーの大外を上がっていく青い帽子を眺め、ああ、やはりもうきたか、と感じていた。これが自分にとっての最後の菊花賞だという感傷は徴匝もなかった。かつて、キタノカチドキという、いっこうにハミを取ろうとしない馬を長い手綱で自在にあやつって、まるで気性のおとなしい牝馬をあやつっているように見せたこの名人は、ミスターシービーがキタノカチドキはどではないにしても、見た眼よりもずっとむずかしい馬だということを見抜いていた。シーピーには、好位作戦なんてありえない。だれだって好位で競馬ができれば、とおもうだろうが、ミスターシービーには好位作戦なんてありえない、と、この名人は看破していた。そうか、もう行ったか、しかし、あれがあの馬の乗り方としてはベストなんだ……。向こう正面を後方五、六番手からスパートしたミスターシーピーは、まるで魔性にとりつかれた馬のように馬群の外をまわり、脱の三コーナーでは早くも三番手に進出した。寝なくても済みそうね、と、友}のひとりがいった。私は、友人たちに、もしシービーが敗れるようなことがあったら、予約してあるホテルになんかにミスターシービーの三冠をかけた第44同菊花賞は、羮り空の下でスタート向こう正面からスタートした馬たちは、アスコットエイトを先頭に押し立てて坂を上り、坂をドり、やがて一周めのスタンド前を通過した。スタンドからは、いつものように大歓声が湧き上がったが、その歓声にはある種のためらいのようなものが人り混じっていた。絶対の大本命馬、三冠の夢をかけたミスターシービーが、21頭の馬群のしんがりを進んでいたのでスタンドがざわめいた。びっしりと張りついた裳間から、突如として陽光がさしはしめ、ミスターシーピーはスタンド前を通過したカープで馬群の大外へとまわった。大丈夫かしら、と、友人がいった。大丈夫、と、私はいった。見ててごらんなさい、もうすぐたいへんなことが起こるから:…。向こう正面にさしかかったとき、古永正人騎手は前を行くアテイスポートの菅原泰夫騎手にささやいた。泰さん、シービーが行きたがってる、もう行こてアテイスポートを外に持ち出し、ミスターシービーのコースを空けた。うか?よし、行け、と泰さんは答えレI スァ `疇各-9 二とス冠馬んタ晨§i。暑ー
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