駒甜と大: 楚. >馬03冨ながい、4、るんだよ。nい込ってきますよ、と答えた。菊花裳には、えりものおばあちゃんが応援に米てくれるそうや、と、長さんがうれしそうにいった。えりものおばあちゃん、というのはダイゼンキングの生産者である寺井末作さんの奥さんの良子さんのことである。幌泉郡えりも町歌別に住む「えりものおばあちゃん」は、みずからを幌泉種と称し、苦節三卜六年、地べたのうえを這いまわるような生活をしてきて、やっとダイゼンキングで陽の当たるところに出てきた、というのが口癖であった。今回は、ダイゼンキングのオーナーである大塚弘美さんの招待を受けての菊花賞観戦だそうで、大塚さんは明日の午後やってくる寺井末作さん犬萎のために万全の手配を終えたそうである。ホテルの予約、菊花賞当日の座廂の手配、月曜日に予定している新歌舞伎座の切符の予約と、大塚さんは、まるで実の両親にでもするように、関東馬出張厩舎卜の13号棟には、ダーピーのタ、プルーダーバン、ウメノシンオーが入っていた。プルーダーバンは昨日の夕方、僚馬のウィンディシャダイとともに人厩してきたそうである。ウメノシンオーの古賀一隆調教師が私の姿を見て、おっ、と笑った。どうです、先生、と、私が訊ねた。うん、よくなってきてるよ、今度は乗り情れた増さん(増沢騎手)だし、なんとかいい競馬ができるんじゃないかとおもうんだ。でも、京都新聞杯を肌理細やかな配慮をしたそうである。がねえ、と、私は感動してつぶやいた。イゼンを掲示板にのるところまでもってきたいんや。はんまやで、フジノさん、わしも必死や。のなかのダイゼンキングにいった。おまえのほんとうのお母さんみたいな、えりものおばあちゃんが応援に米るんだよ、おまえも親孝行のつもりで精一杯走ってくれよ……。惚れ込んだきれいな眸を輝かせて鼻ヅラをさしのべてきた。私は、かれの領にキスし、あ、ソフィアに怒られるかな、とおもった。いいや、ソフィアは賢い娘だ。きっと、私のダイゼンヘの気持ちも分かってくれるだろう。(飛節炎で)取り消しただろう、あれ5着馬、ビンゴカンがどう出るかなあ。ゲートの下に潜り込みたがる癖も心配だなあ。出遅れないで好位にとりついてくれれば、なんとかなるとおもうんだが:•…畠山中心昭厩務員の子人れを受けていた。うと、畠山さんは破顔一笑した。うん、やれるだけのことはやったよ、よし、その一枚の絵がひどく悲しい絵のようにおもわれてきた。どうしてそうおもわれたのか、いまもって私には分からない。が、そのとき、私は、常に持ち続けてきたシービー必勝の自伍がぐらつくのを感じた。シービーは乳けるのうしてだかは分からない。ともかく、突然、そうおもえたのである。シーピーの馬体が寂しく見えた、というのではない。あえていえば、そう、絶対的な一本かぶりの人気を背まなければならないシーピーファミリーの姿が、人も馬もすべて孤独に見えて仕方がなかったからだろう。ダイゼンキングの馬房へ行ってみると、長照男厩務且が、やあ、もうそろそろ現れるんやないかと待っとんたんや、と、笑った。神戸新聞杯がスズカコバンのiL抒、京都新聞杯がカツラギエースの六府と、ダイゼンキングが徐々に春のころの絶望的な状態から立ち直りを見せてきたせいか、長さんの表情にもすこぶる明るいものがあった。どうやフジノさん、もう恋人には会うてきたんか?え、恋人って、なんです?ソフィアやがな、あんたがぞっこん惚れ込んどるシャダイソフィアや。ああ、ソフィアですか、と、私はやっと納得していった、いや、まだなんです。ソフィアには悪いけど、菊花巴員の取材が終わってからゆっくり会おうとおもってるんですよ。そらあかんな。阜よ行ってやらんと女心は徴妙やからな。気分を損ねたらいっぺんで振られてしまうで……。そうですね、と、私はまんざら冗談でもないような気持ちになって、それじゃあ、このあとソフィアに会いに行そうですか、えりものおばあちゃんそやさかい、わし、なんとしてもダ聞いたかいダイゼン、と、私は馬房ダイゼンキングは、長さんが一目で底力のある馬ですけれどね。うん、そこのところに期待をかけてビンゴカンタは、洗い場に張られて完調ですね、畠山さん、と、私がいではないか?と、おもったのだ。ど52 l l
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