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人[匁はいつもV寂すしる魯゜15号棟へ出かけてみた。ろであるらしい。吉永正人騎手が並んで歩き、シービーの後ろを腕組みをして何か思案中らしい松山康久調教師が歩いていた。んでいくその姿は、何かしら一枚の絵を見ているようであった。ぐさま、いや、やめよう、とおもい直した。シービーファミリーにはシービーファミリーだけでやりたいこともあるに違いない。シービーの砂浴びは、かれの気持ちをリラックスさせるためのものだと聞いている。だとすれば、私のような部外者が立ち入ることは、やはり遠慮したほうがよさそうだ。でも遠目から見ておこうと、私はじっと目をこらした。が黙々と歩んでいる。ほんとうに絵のような眺めだ。だが、奇妙なことに、メジロモンスニーウメノシンオーウメノシンオーるところヘサガさんが姿を現した。どことなく諷々としていて、読書家で、正義漢で、ビールの大好きな人だ。この人が登場すると、部屋の雰囲気がいっぺんに明るくなる。よお、紺野くんよ、と、サガさんが部屋中にとどろきわたるよ‘;大声でいった。ビンゴカンタの鈴木調教師が必勝宣言をしたんだって?紺野さんが苦笑した。ええ、よし、もらった、って言ってましたね。正直な人だから隠せないんですよ。もらった、なんて言ってくれないほうがよかったんだけどなあ。よお、フジノさん、いまごろお着きですか、と、サガさんがいった。ビールでも飲みませんか、とりあえず、何はさておきビールでも……。という、やや寂しい顔ぶれで予想を組み立てねばならなくなった。が、私は、私の予想に新たな馬をつけ加える気はなかった。ちょっびり気になる馬がいないわけではないが、運を天に任せてそのままいくことにした。これらの四頭の馬を取材して、あとは審判のときを待っ、というわけである。とりあえす、何はさておき、ミスターシービーのいる関東馬出張厩舎チのミスターシービーは留守であった。おかしいな、と、あたりを見渡してみると、佐藤忠雄厩務員に曳かれたミスターシーピーが数卜討前方の馬道を歩いていくのが見えた。どうやらシービーは恒例の砂浴びに出かけていくとこんです、われらがカンタ君は?完調ですよ。オパールステークスをつかえなかったのが、かえってよかったかもしれない。調教だけで十分に仕上がる馬ですからね。では、紺野さんは迷わず本命?もちろんです。ここまできたら、カンタと心中するしかないですね。そ‘?すると、あとは馬場状態が悪くならないように、ということだけですね。シービーは重上手だけど、カンタは切れ味で勝負する馬だから、ど‘2めっても良馬場でやらせたいな。時計の速いレースになれば、カンタがピューと伸ぴてくる……。そうですね。でも、物騒な空模様だから、心配だな。私たちがそんなことを語りあってい十一月十一日(金)の朝から厩舎まわりを開始した。私の菊花賞の予想は、◎ミスターシービー0ダイゼンキング▲スズカコバン△ビンゴカンタというところだったが、月刊誌の宿命から神戸新聞杯を終えた時点での予想とならざるをえなかった。メジロモンスニーとスズカコバンの出走が絶望となったいま、私は、◎ミスターシービー0ダイゼンキング△ビンゴカンタ佐藤さんに曳かれたシービーの横を一頭の馬と、三人の人物が無言で歩追いかけようか、とおもったが、すしかし、せめてシービーの馬体だけ遠り空の下を一頭の馬と三人の人物o51 四けいばiaaものがたり

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