のアイドル横尾一彦「ハイセイコーがまた勝ちました。さあ次は日本ダーピーです。私達の英雄に声援を送りましょう」昭和四十八年五月六日、NHK杯のゴールイン直後に、大井競馬場の場内マイクが異例の放送をした。ウファンは一瞬静まり返り、次の瞬間、ドッと明るい歓を達成したのである。ジョッキールームのテレピの前で、かつての主戦・裔橋三郎騎手らはハイセイコーが最初にゴールを駆け抜けたことを確かめてこぷしを握りしめた。公営関係者はこの勝利で、三週間後の日本ダーピーはハイセイコーが間違いなく勝てる、と確信した。そしてダーピー当日もウグイス譲が喜びを告げるはずであった—|0かされた。だれもが「ハイセイコーは敗れる」と思ったものだ。直線坂下でカネイコマが逃げるニューサントを交わして先頭に立った時、ハイセイコーはまだ後方。ストップ・ザ・ハイセイコーが実現する。ゴールまで百に黒い巨体を伸ばして、先行馬に襲いかかった。_跳び八ッりのストライドで瞬時にカネイコマを交わし、先頭でゴールに飛び込んだ。アタマの差だが、実に強い勝ち方であった。「届かない、三着ぐらいかな、と思ったりした。勝ったと思ったのはゴールに入ってからですよ」増沢末夫騎手は薄氷の勝利に苦笑した。私たちファンは、ハイセイコーが連勝記録を伸ばすことを期待しながら、一方でハイセイコーを負かす馬の出現を願っrlりもない。ところがハイセイコーは突然目覚めたようグイス嬢の声は興奮に震えていた。六万人を超す公営声をあげた。大井出身のハイセイコーが無敗の十連勝実際、NHK杯におけるハイセイコーの底力には驚昭和45年3月6日生北海道・新冠・武田牧場生産鈴木勝太郎厩舎馬主・ホースマンクラプ3歳時南関東公宮競馬6戦6勝4~5歳時16戦7勝ハイセイコー父チャイナロック母ハイユウ20 蒻信屋コ
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