ウサギヨウジンボウ号 [13歳 ハノーファー]歩毎踏歩変換ドイツ研修レポート❼私がこちらで訓練を開始するまで、シュミット氏が既にウサギヨウジンボウ(UY)号に歩毎踏歩変換を調教していた。そのため、私はすぐに歩毎踏歩変換の訓練ができる環境を持つことができた。しかし、この訓練は、現在私が最も悩み苦しんでいることである。3月の訓練開始時から徐々に実施してきたことであるが、未だに思い通りにいかないのが現状である。訓練の方法は、右手前の駈歩から右→左→右への歩毎踏歩変換を1回行う。それを2、3度繰り返し、今度は左→右→左→右と3回の歩毎踏歩変換をする。そして次は4回、5回と徐々に増して行くという訓練方法で実施している。以下シュミット氏の注意点は、Ⅰ.収縮駈歩ができているかⅡ.馬を真直ぐにしているか Ⅲ.騎手の拳を左右に動かしていないかⅣ.騎手の上体は静かに真直ぐになっているかⅤ.騎手の脚扶助が遅れていないかの5つの項目である。これを順に説明する。Ⅰ.収縮駈歩ができているかこのことが最も重要なことである。馬が後肢をしっかりと踏み込み、ハミを受けて背を使い、跳躍が高揚して活発であることを感じるまで、歩毎踏歩変換は実施しないようにしている。私が先ずしなければならないことは、これらのことである。UY号はもともと隙があればすぐに怠惰な動きをする馬なので、鞭の力を借りてでもこの収縮駈歩を作り出さなければならない。これさえできれば、以下に述べる問題点は必然と解決すると私は考えているし、実際に乗っていて気持ちの良い収縮駈歩をさせることができた場合は、歩毎踏歩変換を何歩でもすることができたのである。Ⅱ.馬を真直ぐにしているかこれには2つの意味があり、1つ目は言葉通り馬体を真直ぐにするということである。歩毎踏歩変換では1歩毎に姿勢を変えることはしない。もし1歩毎に姿勢を入れ換えたら、振り子のように馬の頸を左右に振ることになってしまう。よって、始めから終わりまで馬体を常に真直ぐに保つことが大切である。2つ目は、斜線上または長蹄跡上(壁から2m程離れる)で実施する際、そのラインを真直ぐに進む。ライン上から外れてしまう理由として、騎手が下を向いて一生懸命になり過ぎているか、両脚の扶助の強さが均等でないことが考えられるであろう。Ⅲ.騎手の拳を左右に動かしていないかこれは騎手の注意点になるが、拳によって馬の真直性を損なわないということであ070JRA Dressage Training
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