JRA Dressage Training
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051◎「肩を前へ」(ショルダーフォア)◎「肩を内へ」(ショルダーイン)◎角度が深い「肩を内へ」運動の応用方脚が前、外方脚は後ろに位置する)③・騎手の上半身は馬の肩と平行にやや内方に向け、馬の内方姿勢を維持したまま直進する。④・内方姿勢を維持し、「肩を内へ」の角度を内方脚と外方手綱で維持する。角度が深い「肩を内へ」「肩を内へ」の角度を深くすることは、一時的に強く要求して馬が理解する際に必要となることがある。しかし、恒常的に実施することは馬にとって大きな負担となる。馬が内方への屈曲を維持したまま進行方向へ進むことを理解した場合には、すぐに元に戻して正しい角度で実施すべきである。これとは別に、騎手の要求以上に角度が深くなってしまうことがある。この原因として、外方の肩が外へ突き出てしまうことが考えられる。これは、内方手綱の操作が強過ぎて、内方への屈曲が強くなった結果であることが多い。この場合、内方手綱の操作を控え、外方手綱と内方脚を中心とした扶助に切り替えることによって解決する。また、深い角度で継続的に実施していると、馬は横へ行くことが主体になり、弾発がなくなった速歩になってしまう恐れがある。その先のハーフパスにおいても、同様に弾発を失ってしまう可能性が高くなる。 初めは浅い角度、すなわち「ショルダーフォア」で、速歩のインパルジョンを失わないように細心の注意を払いながら実施すべきである。「肩を内へ」の考え方つけることができると、調教の幅が広がる。また、屈曲を求めると、馬が項を捻じってどちらかに傾けてしまうこと(Tilt)がある。考えられる主な原因は、騎手の片方の手綱が強く働いて作用してしまうことである。馬によっては、手綱の非常に小さな左右の差でも敏感に反応し、項を捻じってしまう。この場合は、一度馬を真直ぐ前へ出し、推進が両手綱(ハミ)に均等に掛かるようにし直して、再度頸の付け根(き甲)から項までの頸全体を屈曲させるように修正する。この運動は、馬に柔軟性を要求する場合に効果的である。直行進はもちろんのこと、20mの輪乗りで実施するなど、どのようなケースにおいても実施できなければならない。扶助として、内方脚と外方手綱を中心に使用すると述べたが、感覚的には、両手綱と両脚の間に馬がいるようにする。左右どちらかの脚もしくは手綱が強いとか弱いにとらわれることなく、シンプルに左右同じ強さの手綱と脚が存在することも、また正しい感覚と考えられる。また、「肩を内へ」の運動中にも馬のペースに変化を

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