034JRA Dressage Training前躯が内方姿勢をとっていて、後躯は真直ぐ直行進していることを意味する。私は、蹄跡直行進の場合でも、「広義の内方姿勢」をとることにしている。それは、馬を真直ぐするための手段にもなる。例えば、駈歩時の馬の腰は内側へ曲がりやすい傾向にあるため、その矯正として「広義の内方姿勢」をとると、「ショルダーフォア(肩を前へ)」の体勢になって真直性を求めることができる。「ショルダーフォア」とは、前躯を僅かに内へ入れる体勢で、「肩を内へ」を浅くしたものである。右手前の駈歩で直行進していると右の腰が内へ入りやすいが、それを右の内方脚で修正しようとせず、外方(左)の押し手綱で前躯を内側へ入れると腰が外へ振れやすくなることを利用して、馬体を真直ぐに修正する。その後、押し手綱を外方(左)へ戻して屈曲した頭頸を真直ぐにし、馬体全体も真直ぐにする。このように、前躯を中心とした内方姿勢を常に応用して馬の肩の位置を自由にコントロールできることは、馬体の真直性のみならず、柔軟性を求める際にも非常に効果的である。また、狭義でも広義でも、内方姿勢は馬の体勢を丸く保つためのきっかけともなる。馬が透過性を失いかける前に内方姿勢を求めると、すぐに透過性を保った体勢に戻る。このように、通常のトレーニングで準備運動の時点から内方姿勢をとりながら馬を丸くするようにし、その後に収縮した運動を求める際も、同様に内方姿勢をとって丸くする。内方姿勢の効果騎手が常に内方姿勢を意識して乗ることによって、様々な効果が得られる。第一に、透過性を持った体勢を維持しやすいことが挙げられる。これは、初期調教から馬との間に約束事を作っていると更に効果が大きい。透過性を持った体勢を作るにあたり、この内方姿勢をとることを全てのきっかけにしてトレーニングを進める。その結果、演技中に馬の背が緊張したり、頭頸が上がってハミに抵抗が出てきた場合などは、僅かに内方姿勢を求めるだけで透過性がある体勢に戻るようになる。このような基本的な約束事が馬との間に確立されていれば、レベルの高い調教をしていく際に、ハミの作用を強く求めなくても安定した体勢を維持するのが容易になる。第二に、馬場馬術の運動項目は内方姿勢を伴う運動ばかりであるため、多くの場面で内方姿勢が必要になる。ハーフパス、ピルーエット、演技中に何度も通過する隅角なども、内方姿勢をとっていなければスムーズに通過することができない。よって、内方姿勢を確立していれば、様々な運動がより正確に、そして簡単に行える効果がある。直線上でのショルダーフォア馬場馬術は、20m×60mの馬場で行われる。60mの長蹄跡上での馬の姿勢はもちろん、真直ぐでなければならない。頭の先から尾までを表面的に真直ぐにするだけではなく、左右の屈曲が均等にできた上での真直性
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