JRA Dressage Training
29/116

027◎半減却の調教方法③後躯からパワーを生みながら、旺盛な推進力を溜める(エンジン)騎手の重心を後方へ移行させて、馬の重心も後方へ移す①脚扶助は必要な分だけ使う(アクセル) 必要以上に使用すると、馬との調和が乱れる②拳と騎座を連結させ、前進気勢を受け止める(クラッチ)④弾発が生まれる運動の基本これらの要求を収縮常歩で行い、できるようになれば収縮速歩、収縮駈歩でも実施する。それぞれの移行においても、「基本的ハミ受け」と頭頸を安定させる。もし、移行の際にハミへ抵抗したり、アップヒルのポジションが崩れたりする場合は、上記の要件のどれかが欠如している。移行において「基本的ハミ受け」が安定し、上記の要件全てが備わっていれば、「完全なるハミ受け」へ移行しているといえる。半減却(半停止・ハーフフォルト)半減却とは、馬の前進気勢を減却し、減らした前進気勢を馬の中に溜め、それを騎手と共に維持して調和している状態にすることである。言い換えると、馬が前進するために使っていたパワーを、騎手の扶助によって馬体の中に溜めることを半減却という。この運動の目的は、非常に多岐に渡り、あらゆる場面で必要になる。馬に半減却が通っている状態は、馬体が収縮して関節をよく曲げ、前進気勢が馬体に満ちていて弾発が生まれている。次に要求される運動に対応するためには、不可欠の体勢といえる。半減却の流れ①脚扶助の推進半減却が必要な場面として、速歩から常歩への移行時、常歩からピアッフェへの移行時、伸長駈歩や伸長速歩に移行する直前、収縮駈歩からピルーエットに入る準備、馬の動きに弾発を与えたいとき、次に起こすアクションの準備をしてもらうときなど、ありとあらゆる場面が考えられる。障害飛越の選手も、障害を飛越する前に半減却を使い、馬の体勢を整える(バランスを起こしたり、収縮させる)扶助操作を何度も行っている。この場合の騎手の扶助を、車の運転を例にとって簡単に表現すると、アクセル(脚扶助)を吹き上げながらクラッチ(拳と騎座)を繋げて、前進するための半クラッチ状態を作り出すことに似ている。また、馬の重心は、18本ある肋骨の前から12もしくは13本目の位置にあると言われている。これは、騎手が乗っている坐骨の真下付近にあることになる。騎手の重心は、臍下丹田にあり、馬の重心とほぼ近い位置にある。この馬と人の重心を後方へ移行させることも意識しながら半減却を実施する。半減却において最も重要なものは、先ず後躯から生3.

元のページ  ../index.html#29

このブックを見る