Ⅲ運動の基本022JRA Dressage Training 私は、ドイツのクラシカルな調教方法をフベァトゥス・シュミット(Hubertus Schmidt・GER)氏から学んだ。そして、ブレット・パーベリー(Brett・Parbery・AUS)選手からは、オランダの調教方法を学ぶ機会を得た。パーベリー選手は、世界チャンピオンであるエドワード・ガル(Edward・Gal・NED)選手の厩舎でダッチシステムを学び、世界馬術選手権(ケンタッキー/2010)で個人9位の好成績を残した。ドイツもオランダも目的とするゴールは同じである。そのアプローチの仕方が異なる場合があるだけで、大きな違いがあると捉えるべきでない。以下にまとめたものは、パーベリー選手やその他様々な指導者や選手の意見を参考にして、私の個人的見解として作成したものである。歩調とテンポコントロールドイツシステムにおける「歩調」は、ダッチシステムにおける「テンポコントロール」である。これは、常に一定のテンポを求めるドイツシステムに対し、ダッチシステムでは、テンポに変化を付けて変幻自在にコントロールできるように要求する。もちろんドイツシステムにおいてもテンポを変えるトレーニングをするが、ダッチシステムではその頻度が多い。どちらにしても、テンポを変えることが目的ではなく、最終的にはテンポを一定に保つために、テンポを自由に変えられるように調教すると理解すべきである。通常の速歩や駈歩のテンポを変えるだけでなく、「肩を内へ」、ハーフパス、ピルーエット、ピアッフェ、パッサージュにおいてもテンポを変えて、騎手の思うままにテンポコントロールできるようにトレーニングする。これらの方法は非常に有効で、特にテンポを上げることによって馬の反応が良くなる効果が生まれる。緊張の緩和と柔軟性緊張の緩和は調教上絶対必要で、心身共にリラックスした状態から運動を組み立てていく。通常は、頭頸1.ドイツとオランダにおける調教段階(トレーニングスケール)とその応用
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