JRA Dressage Training
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脚拳鞭拍車音声舌鼓021扶助の大別-扶助の種類-扶助の内容-騎手の操作騎手の基本姿勢騎手が使用できる主扶助は、大きく分けると拳(コンタクト)・騎座・脚(推進)の3つである。騎手は、これらの組み合わせによって馬をコントロールすることができる。逆に言えば、使用できるのはこれらしかないため、これらを最大限に利用し、馬の持つ最高のパフォーマンスを引き出さなければならない。では、どのようにすれば、最大限に利用できるのだろうか。騎手は先ず、身体各部が独立して作用できなければならず、その上で、騎座と拳を関連付けて使用したり、別々に使ったりすることが必要になる。例えば、下顎の譲りを求めるために騎座と拳を同時に作用させた後、馬が譲ってきたら、騎座をそのままにして拳のみ作用を弱め、馬の体勢を維持するようにする。それによって、コンタクトが最小限になり、馬が自らその体勢を維持するようになる。騎手が持つ良い馬術感覚とは、これらの扶助の組み合わせが、それぞれの馬に適しているかどうかによって決まる。「馬術は力ではない」と言われる所以はここにあり、子供や女性でも必要最低限の力を有していれば、扶助騎座主扶助副扶助馬を乗りこなすことができる。重心の転移  背筋の緊張 鐙への荷重働きかけ   圧迫、軽打抵抗    ・・待機譲り     働きかけ、抵抗の中止働きかけ   拳の握り、捻転、開く、押す抵抗    ・・拳の静定譲り     働きかけ、抵抗の中止見せる、打つ圧迫、軽打やさしい声、鋭い声一般的に「馬に上手く乗れる」と言われるライダーは、拳・騎座・脚の扶助の組み合わせの使い方に長けていると言える。この技術は、ただ単に長年多くの馬に乗るだけでは習得できない。馬上でこの3つの関連性を常に意識し、それぞれの扶助の加減を変えてトライし、それに対する馬の反応を感じ、それを学ぶ過程を経て習得していくことができる。私が常に意識していることは、全ての扶助の中心は騎座にあると考え、ハミを受けさせるために拳のみではなく、騎座と連動して使うようにしている。先ほどの例のように、脚で推進した後、拳を使って馬からの譲りを待ち、譲りを得られたら、ただちにコンタクトを弱めて馬の譲りを尊重するようにしている。その際、コンタクトを緩めても、馬のリズムを保つために騎座の構えを変えることはなく、結果として拳のみ強弱を付けて馬から譲りを得ようとすることが多い。馬とコミュニケーションをとるためには、馬がハミを受け入れる体勢が必要である。その体勢を作るために、この「拳と騎座と脚の関連性」が重要であり、まさしくこれが馬術感覚の原点であると思われる。(参考資料 競馬学校 馬術)4.拳と騎座と脚の関連性(組み合わせ)

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