◎拳の位置肘・拳の正しい位置020JRA Dressage Training崩そうとしたりする瞬間に、騎手の身体ごとさらわれにくくなる。「拳を伏せた姿勢」は、脇が開いて拳と騎座が連結しにくくなるだけでなく、馬の口に強く当たりやすくなる。騎手は腕力だけで馬と対抗しなければならず、効果的ではない。拳を柔軟に使うために、騎手は以下の条件を実行できなければならない。柔軟な拳を使用するための騎手の条件①身体各部の独立身体各部の独立とは、騎座が安定して全身に柔軟性があり、身体各部が独立して他の部位に影響されない状態であることをいう。②扶助の連結扶助の連結とは、主に拳と騎座とを連結して、同時に使用できる状態をいう。(拳と騎座と脚の関連性 参照21ページ)③扶助の独立扶助の独立とは、扶助の連結とは逆に、拳と騎座を切り離してそれぞれ独立して使用できる状態をいう。拳を柔軟に使うためには、上記のことが馬上で実践される必要があるが、騎手が要求したことに馬が反応して初めて成り立つことである。いくら騎手が柔軟に拳を使おうとしても、馬がハミに抵抗を示して反抗している間は、拳の強い作用を余儀なくされる。騎手の拳は、常に馬の反応と共に生きていなければならない。必要があれば、拳を動かす。必要がなければ、動かさない。誤解を恐れずに表現すれば、我々が求めている場所に馬がいなければ、馬がいる場所を不快なものにするために拳で抵抗する。その後、求めている場所に馬が来たところで拳の動きをなくし、快適な場所にする。馬は、当然快適を選び、自らそこにいようとする。そうなると、拳で抵抗する必要性がなくなるので、軽いコンタクトのみで馬の頭頸も安定するという結果になる。拳の位置は、馬の調教進度やバランス、収縮度によっても変わってくるが、基本的には手綱を短くして、肘がやや曲がる状態に位置し、肘・拳・馬の口が一直線になるようにする。手綱が長く、肘が上半身よりも後ろに位置してしまう場合は、細かな指示が出せなくなるので正しい姿勢とは言えない。また、騎手の拳の動きが大きくなるばかりか、騎手の軸のズレにまで影響を及ぼすことになりかねない。逆に、手綱を短く持ち過ぎ、肘が伸び切ってしまう体勢になると、拳が騎手の上体の動きに影響されてしまい、馬の口に過度な刺激を与えてしまうことになる。手綱を正しい長さで持つと、拳の操作が最小の動きで済むようになる。馬への方向指示や、ハーフパスなどの横運動などで拳の振り幅が小さくなり、馬にも瞬時に扶助が伝わりやすくなるだけでなく、小さな扶助で馬に指示を出すことができる。拳の柔軟性拳の位置
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