↓↓↓↓誤った姿勢②が馬に与えるデメリットというような悪循環によって、馬の持つ能力を発揮させられないことになってしまう可能性がある。騎手に起こるデメリット①骨盤の構えが後ろへ倒れることによって上体全体が丸くなり、身体に芯がない状態になる。この体勢は、お腹で馬の反撞を抜きやすく楽に乗れるが、拳と騎座との関連性がなくなって馬に透過性を求める扶助が出せなくなり、馬の体勢を正しく求めることができなくなる。騎手に起こるデメリット②腰が丸くなることによって、膝が開きやすくなり、脚部が前へ位置してしまう。騎座を安定させるための下半身が、効果的に機能しなくなる。脚の位置を直したり、胸を張ろうと思ったり、肩が丸くなるから直そうと思ったりすることはないだろうか。しかし、それら全てを一つずつ直すのではなく、この身体の中心にある骨盤の位置を正しく直すだけで、それらのほとんどが直るものである。いかなる騎手も、身体の中心にあるこの骨盤の構えを意識することが必要である。012JRA Dressage Training馬の動きに遅れるため、自分の体勢を維持しようと手綱を引っぱってしまう馬にブレーキが掛かり、前へ進めなくなる騎手はブレーキを掛けながら、脚を使ってアクセルを踏むことになる馬は前へ行くように指示されながらも、手綱を引っぱられて前へ行けない馬は行き場がなくなって混乱し、脚に反応しない鈍感な馬になっていく「もっとしっかり鞍に座れ!」という指導を誰しもが受けてきたことであろう。その指導を受けて、鞍に座ろうとする意思が強くなり過ぎ、座骨を鞍に押し付けて、馬の反撞によって跳ね上げられないようにしようと試みる。そうすると、上半身は硬くなり、身体が一つの硬い塊になって、馬の動きに柔軟についていくことが益々難しくなる。また、座骨が鞍に突き刺さるように使われるため、馬の背中は圧迫されて自由を失うことになる。鞍に安定して座り、馬の動きと同調するためには、騎座のみで座ろうとするのではなく、下半身を上手く利用して上半身の力みをなくすようにすべきである。言い換えると、騎座は強く座ろうとするのではなく、軽く座るように意識する。どうすれば軽く座れるのかというと、太腿の使い方を体感すれば理解できるであろう。騎座を支える太腿を馬体に密着させ、中枢となる骨盤を馬の背に対して垂直にすると、騎座を安定的にサポートすることができる。騎手が軽く座っていると言えども、その中に芯が通っていなければならず、直ぐに崩れてしまうような弱さを持っている状態であってはならない。上半身の体重を座骨のみに掛けて押し付けるのではなく、馬体を締める力を太腿から膝へと分散させることによ鞍に深く座るために、軽く座る
元のページ ../index.html#14