JRA Dressage Training
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 ①②011正しい姿勢誤った姿勢①この姿勢は、骨盤を正しい位置にしようと意識するあまりに背・腰を反らせ過ぎてしまい、結果として前かがみになって、馬の動きに同調できなくなる。この姿勢では、相当な力で上体を支えていなければ、動く馬の背に乗っていられない。よって、柔軟性が失われ、反撞を身体で吸収することが難しくなってしまう。また、椎間板などを傷める原因にもなるので注意したい。また、上体が前傾するために脚部が後ろに引けてしまい、その位置を維持するために脚を馬体に圧迫し続けて、リラックスした状態で乗ることができない。誤った姿勢②この姿勢は、骨盤が後ろに倒れ、それにより背・腰が丸くなって馬の動きに遅れるため、手綱を引っ張ってバランスを取ろうとする。騎手の基本姿勢座が安定する効果がもたらされる。※日本の馬術では、騎座の明確なイメージを持たないまま「座(坐)骨」という言葉で表現することが多いが、私は「座骨」という一部分ではなく、あえて腰部(骨盤)という表現にして、腰全体をイメージするようにしている。正しい姿勢この姿勢が基本姿勢と言われる姿勢である。この骨盤の構えになると、上半身も下半身も必然的に正しい場所に位置する。また、騎手の腰や背骨への負担も最も軽いものとなる。骨盤を自然な形で、馬の背に対して垂直に位置させる。動く馬の背の上でもこの形を維持しなければならず、そのためには腹筋と背筋を使ってこの姿勢が崩れないように保つ。しかし、筋力は姿勢を維持するための最低限に留めておかなければ、反撞を吸収するための柔軟性を失ってしまう。筋肉を硬くすると柔軟性を失い、上体は固い物体と化し、馬の動きに同調できなくなってしまう。筋肉に力を入れてバランスを保とうとするのではなく、骨を正しい位置に置いてバランスを保つように意識すると、リラックスできるきっかけになる。馬に同調して反撞を吸収するには、先ず、馬の背の中心を探すことである。前後左右どちらかに片寄っていると、正しい骨盤の構えを維持することはできない。馬の反撞をリラックスした状態で吸収するには、多くの時間馬の背に跨り、身体のどの部分に力が必要で、どの部分には必要ないのかを自ら試して探す必要がある。私が意識しているのは、骨盤が馬の背に対して垂直になるように臍の下部を前へ出すようにし、その体勢を維持するために大腿を鞍に密着させて騎座を安定させる方法をとる。これについては、太腿の使い方(14ページ)で詳しく説明する。騎座の位置と姿勢

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