JRA Dressage Training
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100JRA Dressage Training普段のトレーニングをパターン化することは、馬の状態を日々把握するためのよい目安になる。また、各運動が安定し、各運動項目のクオリティを上げるために日々継続することができる。つまり、トレーニングのパターン化により、運動のクオリティを上げることができる。トレーニングパターン①ウォームアップ(頭頸の伸展等)②収縮速歩③速歩「肩を前へ」・「肩を内へ」④・速歩ハーフパス(隅角から、K地点からR地点までの角度)⑤中間速歩・伸長速歩・⑥収縮駈歩⑦駈歩ハーフパス(隅角から)⑧ワーキングピルーエット(斜線上)⑨ピルーエット(中央線もしくは斜線上で小さく)⑩・ジグザグハーフパス(のちに4歩8歩8歩・3歩6歩6歩のハーフパス)⑪踏歩変換(4歩毎・3歩毎・2歩毎・歩毎)⑫ピアッフェ・パッサージュ運動はこれらの順で進められる。ただし、毎日このメニュー全てを行う訳ではなく、全体的な流れがこのようであれば、日々の馬の状態によっては実施しない運動があってもよい。例えば、基本的な速歩の動きが整わなければ、ベースを上げた速歩で「肩を内へ」を実施し、それがその馬の持つ本来の速歩になるまで要求し続ける。要求が過度になって負担が大きくなった日は、ハーフパスなどを実施する必要はない。また、馬の集中力を保つために運動の各所で常歩を入れ、休憩することを忘れてはならない。競技会への準備私は、競技会へ向けての調整は、4週間を一つのサイクルとして組み立てるようにしている。競技会の4週前は、トレーニングパターンを通常通り行う。特に、収縮速歩のリズムとインパルジョンの質を向上させるためにベースを徹底的に活発なものとし、同時にハミ受けの安定を図る。3週前は、前週に確認したベースの高い速歩と駈歩を確認しながら、トレーニングパターンを実施する。また、競技の経路にある運動を取り入れる。2週前は、トレーニングパターン実施後、経路にある運動を取り入れ、週の後半に競技の経路を踏む。1週前は、経路の修正、必要であれば再度経路を踏む。ただし、馬の状態がピークを超えない程度の運動量にしておかなければオーバーワークになり、馬によっては疲労が溜まって前進気勢が足りなくなるので、注意が必要である。競技会での準備運動競技前の準備運動の内容は、人それぞれである。また、馬によっては、競技直前の準備運動の前に1度乗る(2度乗り)必要もあるだろう。しかし、大切なことはそれまでのトレーニングで積み重ねてきたものを、競技においてすべて発揮することである。私は、そのことを常に念頭に置いているため、競技での準備運動も通常のトレーニングとほとんど同じメニューで本番に臨むようにしている。言い換えれば、通常のトレーニングの内容は、9.通常のトレーニングパターン

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