JRA Dressage Training
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Ⅰ人と馬との関係008JRA Dressage Training 我々は馬に乗る際、どのようにすれば快適に乗ることができるのかを考えなければならない。人と馬がお互いに快適で安全に運動するためには、先ず我々が馬の性質を理解する必要がある。馬はどのような動物なのか、何が嫌いで何を好むのか。また、どのようなタイプの馬にも「快適と安全」を人間が提供することによって、馬が人間をリスペクトするようなよい関係を築き上げる必要がある。騎手は馬上にいても馬の気持ちを常に理解して的確な指示(扶助)を出し、それに対する馬の反応を感じながらトレーニングを進めるべきであり、要求が人間からの一方通行にならない関係が必要である。騎手は、馬にとってのリーダーであり、馬を安心させながら的確な扶助の下で運動を進めなければならない。馬が騎手の指示に注意を向け、求められていることを受け入れ、反応しようとする関係が必要になる。そのためには、騎手の明確で適切な扶助がなければならない。馬が理解に苦しむような扶助を送り続ければ、やがて馬はそれに嫌気が差して無視するようになり、馬が思うままに行動をしようとする。それが助長されてしまうと、調和(ハーモニー)の対極にある反抗という危険が待っていることになる。自分の要求が馬に通らない場合、その馬との根本にある関係を見詰め直す必要がある。馬を調教するために必要な騎手の技術馬を調教するためには、騎手はある程度の技術と経験を有していなければならない。単に馬に乗れるという段階ではなく、馬に指示を出せる安定性を備えた騎乗技術が必要である。具体的には、馬の動きに影響されることなく静かに座り、騎座と拳(コンタクト)を関連付けて使う馬術感覚が優れていることである。騎手はこの馬術感覚を養うために、馬上で感覚を集中して馬の反応を感じるとともに、どの程度の扶助を出すと馬がどのように反応するかも鋭敏に感じ取らなければならない。また、全ての扶助の中心となる騎座を安定させるとは、1.2.人と馬との関係

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