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特別レース名解説 5回 京都競馬
【第1日】 11月3日(祝・土)
●秋明菊(しゅうめいぎく)賞
 秋明菊は、アネモネ属キンポウゲ科の植物の一種。秋頃、菊に似た花を咲かせることが名の由来とされている。別名「貴船菊」ともいう。京都の貴船地方に多く見られ、古くから観賞用として栽培されている。紫紅や白の花が咲き、清楚な美しさが魅力。花言葉は「忍耐」。

●八坂(やさか)ステークス
 八坂は、京都市東山区祇園町の地名。八坂神社の例祭は祇園祭と呼ばれ、7月一杯行われるが、特に16日の宵山、17日の神輿渡御と山鉾巡行、24日の還幸と花傘巡行が名高い。

●京洛(きょうらく)ステークス
 京洛は、京都市旧市街地のことで、平安京以来の京都に対する雅称。平安時代初期に、嵯峨天皇が当時の中国の王朝である唐の都の名をとって左京を洛陽城、右京を長安城と名付けた。後に右京が衰退したため、左京の洛陽が平安京の代名詞となり、京洛と呼ばれるようになった。

【第2日】 11月4日(日)
●近江(おうみ)特別
 近江は、東山道の一国。現在の滋賀県にあたる。当時の琵琶湖の呼称「淡海」がそのまま呼称となった。国内最古のブランド牛といわれる「近江牛」が有名。

●渡月橋(とげつきょう)ステークス
 渡月橋は、京都市右京区桂川に架かる全長250mの橋。名勝地嵐山の中心で、春と秋の観光シーズンには特に賑わう。橋の歴史は古く、平安時代初期に空海の弟子道昌が現在の位置より200m上流に橋を架けたことに始まる。その後、慶長11年(1606)に角倉了以が保津峡を開削した際に現在の位置に架橋した。名の由来は、亀山上皇が上空に移動していく月を眺めて「くまなき月の渡るに似る」と述べた故事による。

●みやこステークス(GIII)
 本競走は、11月に京都競馬場のダート1,800mで施行されていたトパーズステークスを、平成22年より重賞競走に格上げし、競走名を変更したことによって創設された競走。
 みやこは、その国の中央政府の所在地。日本では長く京都がその地であったため、京都のことを指して言うことが多い。

【第3日】 11月10日(土)
●京都ジャンプステークス(J・GIII)
 本競走は、平成11年に創設された障害重賞競走。芝3,170mの別定戦として争われる。
 本競走の特徴は、第9号障害の高さ80cm、幅15mのバンケット障害で、遠近感に乏しい競走馬のみならず、騎手にとっても技量を問われる難度の高いものである。

●修学院(しゅうがくいん)ステークス
 修学院は、京都市左京区にある地名。比叡山西麓の近郊農業地帯だったが、昭和6年(1931)の京都市編入後に市街地化した。地名は比叡山の僧・勝算が平安時代に建立した修学院に由来する。徳川家綱が後水尾上皇のために設けた修学院離宮は、上御茶屋・中御茶屋・下御茶屋からなる名勝である。

●比叡(ひえい)ステークス
 比叡は、京都市左京区と滋賀県大津市の境にある比叡山の略称。山頂は京都側の四明岳(標高838m)と、県境の大比叡(別名・大岳。標高848m)に分かれる。延暦4年(785)に最澄が入山して根本中堂を建立、延暦寺の勅号を受けて以降寺域750万坪にもおよぶ天台宗の大道場となった。平安時代末期には僧兵を養い暴威を振るったが、戦国時代末期に織田信長の焼き討ちに遭い、十数年にわたって人跡を絶った。その後豊臣氏、徳川氏によって復興され、現在一山寺院50余、末寺3,000寺を誇る天台宗の総本山となっている。

●KBS京都賞ファンタジーステークス(GIII)
 本競走は、平成8年に創設された2歳牝馬限定の重賞競走。芝1,400m、馬齢重量戦で争われ、2歳牝馬の頂点の競走である『阪神ジュベナイルフィリーズ』の前哨戦として定着している。
 KBS京都は、京都放送の呼称で京都市に本社を置く放送局。昭和26年にラジオ放送を、44年にテレビ放送を開始した。本競走は、同社より寄贈賞を受けて施行される。
 ファンタジー(Fantasy)は、「幻想」を意味する英語。また、文学で夢想的な物語全般を指す呼称。

【第4日】 11月11日(日)
●黄菊賞(きぎく)賞
 黄菊は、黄色い花をつけるキクの総称。キクは日本の国花であり、観賞用、切り花用など種類は非常に多い。その中でも黄菊はシンボル的なもので、切手の図案などに用いられている。花言葉は「高貴」「高潔」。

●アンドロメダ(Andromeda)ステークス
 アンドロメダは、ペガスス座の北東にある晩秋の代表的な星座。トレミーの48星座のうちのひとつ。名前は、ギリシア神話に登場するエチオピア王ケフェウスと王妃カシオペイアの娘アンドロメダに由来する。

●エリザベス女王即位60年記念 ジャパン・オータムインターナショナル エリザベス女王杯(GI)
 本競走は、エリザベス女王即位60年を記念して施行される。
 昭和45年に3歳牝馬三冠の最終戦として創設された『ビクトリアカップ』を前身とし、50年にエリザベス女王が来日されたのを記念して、翌年から『エリザベス女王杯』として新たに第1回の競走が施行された。当初の競走条件はビクトリアカップを踏襲し、京都競馬場の芝2,400m、負担重量は定量、3歳牝馬限定の混合競走であった。その後、古馬牝馬の競走体系改善に伴い、平成8年に競走条件が3歳以上の牝馬限定に変更され、「3歳以上の牝馬No.1決定戦」としての意味合いを持つようになるとともに、距離も2,200mへと短縮して施行されるようになった。
 イギリスでは、エリザベス女王即位60年を「ダイヤモンドジュビリー年」とし、大々的な式典等のイベントが開催されている。また「ダイヤモンドジュビリー」は、英国連邦以外で一般的に使用を許可されていないが、英国王室と縁の深い競走という背景から日本での実施が特別に許可され施行される。

●ドンカスター(Doncaster)カップ
 ドンカスターは、イギリスのイングランド北部、サウス・ヨークシャー州北東部の都市。ドーン川下流域に位置し、ロンドンの北方約250kmにある。古くは織物や炭鉱の町として栄えていた。また1595年から競馬が行われていたといわれるドンカスター競馬場は最古のクラシックレースであり、イギリスの三冠競走のひとつである『セントレジャー』(日本の菊花賞に相当)の施行される競馬場として知られている。
 本競走は、ドンカスター競馬場と京都競馬場が姉妹競馬場となったのを記念して、平成元年に創設された。

【第5日】 11月17日(土)
●もちの木賞
 もちの木は、モチノキ科の常緑小高木。宮城県・山形県以南琉球列島までと朝鮮半島南部および中国舟山列島の暖帯に分布し、海岸や山野に多く見られる。4月ごろ、黄緑色の小花を密生し、秋に丸く赤い実を結ぶ。樹皮から鳥もちを作り、材は狂いが少ないので細工物に用いる。花言葉は「時の流れ」。なお、京都競馬場のパドック中央には、もちの木が植えられている。

●衣笠(きぬがさ)特別
 衣笠は、京都市北区の地区名。また、京都市の市街地北西にある山。標高201mで、古くは「絹蓋山」と書いた。南麓を走る「きぬかけの路」沿いには金閣寺、龍安寺などがある。

●花園(はなぞの)ステークス
 花園は、京都市右京区の双ヶ岡(ならびがおか)の東側一帯の地域。平安時代初期に清原夏野が別荘を造り多くの草花を植え、花園と呼ばれるようになったことに由来する。付近には花園上皇の離宮であった臨済宗妙心寺派の大本山妙心寺や、しだれ桜で有名な仁和寺、石庭の龍安寺などがある。

【第6日】 11月18日(日)
●花背(はなせ)特別
 花背は、京都市左京区の北部にある地名。鞍馬より花背峠を越えたところにある杉木立に囲まれた静かな土地。8月15日の「花背松上げ」は、愛宕神社の献花行事であり、約千本もの松明を焚く火の祭典として名高い。

●嵯峨野(さがの)特別
 嵯峨野は、京都市右京区の桂川北東岸一帯の地域。景観が良好で、平安貴族の行楽地として多くの寺社・別荘が建立された。嵯峨天皇の離宮があった大覚寺、平家物語に記されている祇王寺、後醍醐天皇の冥福を祈って足利尊氏が建立した天龍寺、向井去来が住んだ落柿舎など、名所・旧跡が多い。

●ジャパン・オータムインターナショナル マイルチャンピオンシップ(GI)
 本競走は、昭和59年に創設された競走。日本における競走体系は長く長距離路線が重視されていたが、近代競馬においてスタミナとともにスピードも重視されるようになり、短距離路線についても整備が図られた。文字通りマイル適性馬のチャンピオンを決める一戦として、春の『安田記念』と並び秋の大きな目標となっている。

●醍醐(だいご)ステークス
 醍醐は、京都市南東部、伏見区の醍醐寺を中心とする地区。山科盆地の東を占める醍醐山一帯が上醍醐、山麓の門前町が下醍醐と呼ばれている。古くは大和から近江に至る交通の要衝であった。貞観16年(874)に理源大師聖宝が霊泉を発見し、その「醍醐味」を味わったことから寺号としたことが地名の由来で、豊臣秀吉が盛大な花見を行った場所としても有名。付近には醍醐・朱雀両天皇陵、醍醐寺、随心院、勧修寺などがある。

【第7日】 11月24日(土)
●京都2歳ステークス
 本競走は、昭和34年に創設された競走。平成元年まで1,400〜1,600mで施行されていた。その後、2年に1,800mに、14年には2,000mに距離が延長され、2歳馬の距離適性を測る試金石となるレースとなっている。

●高雄(たかお)特別
 高雄は、京都市右京区の地名。清滝川に接し、古くから京都郊外の紅葉の景勝地として有名。栂尾、槇尾とともに三尾と呼ばれ、付近には国宝『源頼朝像』やかわらけ投げで有名な高雄山神護寺がある。

●京阪杯(GIII)
 本競走は、昭和31年に創設された『京都特別』を前身とする重賞競走。当初は3歳以上、2,200mのハンデキャップ戦として施行されていた。36年には現在の競走名に改称され、その後、幾度かの変遷を経て、平成18年より3歳以上、芝1,200mの別定重量で争われている。
 京阪電気鉄道は、大阪市に本社を置く鉄道会社。本競走は、同社より寄贈賞を受けて施行される。

【第8日】 11月25日(日)
●白菊(しらぎく)賞
 白菊は、白いキクの総称。キクはキク科キク属の植物で、種類が非常に多い。野山に自生する野生ギクと、栽培ギクに大別され、栽培ギクには観賞用のものと食用のものがある。

●貴船(きぶね)ステークス
 貴船は、京都市左京区鞍馬にある地名。市街近郊にあり、深山幽谷、貴船川の清流が見られ、祈雨祈晴の神として古くから信仰を集めている貴船神社がある。夏は蝉時雨の中で貴船川の納涼を、秋は紅葉を、冬は深山の雪景を楽しむことができる。

●太秦(うずまさ)ステークス
 太秦は、京都市北西部、右京区東部の地名。国宝第一号で有名な『弥勒菩薩半跏思惟像』が安置されている真言宗御室派の広隆寺は「太秦のお太子さん」として親しまれている。また、松竹・東映などの映画スタジオがあり、オープンセットを一般に公開した「東映太秦映画村」には多くの観光客が訪れている。