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平成5年(1993年) 第38回有馬記念(GI)
トウカイテイオー VS ビワハヤヒデ
人はそれを奇跡と呼んだ |
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平成4年を締めくくる大一番・有馬記念は重苦しい空気のなかで幕を閉じた。会心の逃げ切りを決めたメジロパーマーの“春秋グランプリ”制覇はまこと天晴(あっぱ)れだったが、一方で1番人気トウカイテイオーの不可解な惨敗が、暗い影を落としていたのである。度々の故障で一時不振に陥ったものの、前走のジャパンカップで復活の勝利を遂げ、無敗の二冠馬は再び輝きを取り戻した筈であった。だが……。
失意のレースの後、トウカイテイオーは長い休養に入った。件の有馬記念のスタート時にトモを痛めていたことが分かり、宝塚記念を目処にたて直しが図られたが、途中骨折にも見舞われ、ターフに戻ってきたのは丸1年後の有馬記念であった。その間にGI戦線の勢力図は塗り替えられ、現役最強馬の筆頭候補には連対率10割の菊花賞馬ビワハヤヒデの名があがっていた。さらに前年の有馬記念で2着に食い込んだ“上がり馬”レガシーワールドもジャパンカップで待望のGI勝ちを果たし、ダービー馬ウイニングチケットや春の天皇賞馬ライスシャワー、二冠牝馬ベガらも名乗りをあげていた。そうしたなかトウカイテイオーは4番人気に推されていたが、実際のところは「勝ち負けまでは厳しい」という見方が大勢を占めていた。
1年前の軌跡をなぞるようにメジロパーマーが先導役を務めたレース。レガシーワールド、ビワハヤヒデらは2番手集団を形成して、楽に逃がさじの構え。これらを遠目にトウカイテイオーは馬群のなかで静かに折り合っていた。やがて向正面を過ぎるとビワハヤヒデがゆっくり仕掛けて先頭を奪いにいき、菊花賞と同じく正攻法で勝負を決めにかかった。交わされたメジロパーマーはずるずると後退、レガシーワールドやウイニングチケットも伸びを欠いた。だが、いつの間に先団に取りついたトウカイテイオーが、外からビワハヤヒデに鋭く襲い掛かった。2頭併せの格好で最後の坂を駆け上がり、残り100メートルでトウカイテイオーが渾身の力を振り絞るようにして前に出た。ゴール――。364日の雌伏を経て、帝王が失った誇りと名誉を取り戻した瞬間であった。
平成5年の有馬記念を、多くの人が今も“奇跡”という言葉で形容する。しかし、心のどこかで、こうも思っていたに違いない。「でも、テイオーならやってくれると信じていたさ」。常識で測られることを拒絶し、負けても決して能力の底は覗かせなかった馬。ここぞというところで輝くために生まれてきたような、華のある名馬であった。
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有馬記念(第38回グランプリ)(GI)
中山競馬場 2500メートル(芝・右) 晴・良・14頭 |
| 着順 |
枠番 |
馬番 |
馬名 |
性齢 |
斤量 |
騎手 |
調教師 |
タイム/着差 |
人気 |
| 1 |
3 |
4 |
トウカイテイオー |
牡6 |
56 |
田原 成貴 |
松元 省一 |
2:30.9 |
4 |
| 2 |
8 |
13 |
ビワハヤヒデ |
牡4 |
55 |
岡部 幸雄 |
浜田 光正 |
1/2 |
1 |
| 3 |
7 |
12 |
ナイスネイチャ |
牡6 |
56 |
松永 昌博 |
松永 善晴 |
3 1/2 |
10 |
| 4 |
5 |
8 |
マチカネタンホイザ |
牡5 |
57 |
柴田 善臣 |
伊藤 雄二 |
アタマ |
13 |
| 5 |
6 |
9 |
レガシーワールド |
せん5 |
57 |
河内 洋 |
森 秀行 |
クビ |
2 |
| 6 |
8 |
14 |
メジロパーマー |
牡7 |
56 |
横山 典弘 |
大久保正陽 |
1 1/4 |
9 |
| 7 |
2 |
2 |
セキテイリュウオー |
牡5 |
57 |
田中 勝春 |
藤原 敏文 |
1 |
7 |
| 8 |
4 |
6 |
ライスシャワー |
牡5 |
57 |
的場 均 |
飯塚 好次 |
クビ |
5 |
| 9 |
3 |
3 |
ベガ |
牝4 |
53 |
武 豊 |
松田 博資 |
1 1/4 |
6 |
| 10 |
4 |
5 |
ウィッシュドリーム |
牡5 |
57 |
藤田 伸二 |
坪 憲章 |
クビ |
11 |
| 11 |
7 |
11 |
ウイニングチケット |
牡4 |
55 |
柴田 政人 |
伊藤 雄二 |
2 |
3 |
| 12 |
1 |
1 |
エルカーサリバー |
牝5 |
55 |
蛯名 正義 |
田中 良平 |
3 |
14 |
| 13 |
6 |
10 |
エルウェーウィン |
牡4 |
55 |
南井 克巳 |
坪 憲章 |
10 |
8 |
| 14 |
5 |
7 |
ホワイトストーン |
牡7 |
56 |
田面木博公 |
高松 邦男 |
クビ |
12 |
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