時代が変わってもアーモンドアイの強さは変わりませんが、安田記念の馬券は取りました。2着のアエロリットから買ったんです。この馬は僕の中で「共学では強いけど女子校では弱い」という理論があって、牡馬には強いけど牝馬限定だとダメなんです。だから「女子校」のヴィクトリアマイルは無印にして、去年の紫苑Sから強いと思っていたノームコア本命で取りました。
アーモンドアイといいアエロリットといい、令和は牝馬の時代という気がします。ディアドラやリスグラシューも海外で勝ちましたし。騎手もそうですね。藤田菜七子騎手のGI制覇は令和の楽しみの一つだと思います。
相変わらず外国人騎手が強い中、武豊騎手がワールドプレミアで菊花賞を勝ったのはすごかったですね。僕はスーパークリークも見ていますが、あれから31年。昭和、平成、そして令和の最初の菊花賞も勝つんですから。馬券は外しましたけど、なんだか嬉しかったなあ。
私は自分の名前の「シュー」が入ったリスグラシューをずっと応援しているので、令和でいちばん印象に残ったGIといえば、もちろん宝塚記念です。牡馬の中に牝馬が1頭だけですし、期待はしつつ大丈夫だろうか、と心配もしていたんですが、2着に差をつけて(3馬身差)勝ってくれて。すごく感動しました。
じつはその日は仕事で、レースは見られなかったんです。空いた時間に携帯電話を見たら、ものすごい数のメッセージが来ていて、何事かと思ってよく見ると3時50分くらいにたくさんの「おめでとう」が届いていました。私がリスグラシューを応援していることは、出演している番組はもちろん、あちこちで話していますからね。
あまりに嬉しくて、そのとき隣にいたスタッフさんに「リスグラシュー、勝ったんですよ!」と興奮して話したんですが、その方は競馬をまったく知らない方だったので、ポカンとされてしまいました(笑)。
ウオッカとダイワスカーレットから始まった「強い牝馬」の流れがいまだに続いていることを、リスグラシューとアーモンドアイによって実感させられました。リスグラシューは宝塚記念で先行した走りにも驚きましたし、あの短い直線(173m)で後方から突き抜けたコックスプレートも大きなインパクトがありましたよね。アーモンドアイも、あのメンバーの天皇賞(秋)であれだけの着差をつけたら、もうナンバーワンと思うしかないです。
そんな流れは、じつは人間社会でも同じだと思っています。どちらが先かはわかりませんが、僕の周りでも優秀な女性がどんどん増えているのは実感しています。
また、今年は海外競馬の馬券発売レースが多く、日本馬も好成績を残しました。そんな中、凱旋門賞での日本馬の不振は印象的です。エルコンドルパサーからディープインパクト、オルフェーヴルと悲願に近づいてきたものが遠ざかったようで、いろいろ考えさせられました。
近いところですとエリザベス女王杯が印象に残っています。ラッキーライラックのことを前日に考えていて、番組でご一緒している元調教師の大久保洋吉さんに、どうですかって聞いてみたんです。そうしたら、調教がすごくいいよって言われて。それを信じて単勝を買ったら、すごく強い勝ち方をしてくれました。そんなこともあって、調教の重要性を学んだ年でもありました。そして何と言ってもリスグラシューのレースが印象に残っています。宝塚記念の楽勝もそうですし、その後、オーストラリアのコックスプレートに出ましたよね。疲れなどは大丈夫だろうかと心配して見ていたら、そこでもすごい走りを見せてくれて、これは強いなあと思いました。強いといえば、天皇賞(秋)のアーモンドアイもですよね。
直線では、これは抜け出せないかな、と思ったのに、そこからあの脚ですから。やっぱり強かったです。
グラスワンダーの1回目の有馬記念の年、僕たち爆笑問題は「うまなりクン」という競馬番組をやっていて、当日は中山競馬場でした。ゴンドラの放送席から下を見ていたら、すごい数のお客さんが気づいて一斉にこちらを見上げたんです。人の頭で真っ黒だった景色がブワーッと白く変わったあの瞬間は、いまも忘れられないです。僕は前日夜の放送でグラスワンダーを本命にしていて、そこで使ったフリップを持っていたので掲げたら、またウワーッと歓声が起きて。あれはすごい体験でした。
ハーツクライの年は国立演芸場で漫才の仕事があって、有馬記念の発走5分前が出番だったんです。絶対にディープが勝つと思っていたのに、漫才が終わって楽屋に戻ってテレビを付けたら、ルメール騎手が喜んでいるでしょう。しばらくわけがわからなかったです。落馬でもしたのかと思ったら、普通に2着に負けていて。レースを見ていない分、あの瞬間の衝撃はすごかったです。
2017年のキタサンブラックは引退レースで有終の美を飾って、こんなこと本当にあるんだ、と感動しました。オーナーの北島三郎さんの歌と笑顔も忘れられません。
そもそもキタサンブラックって、その前の年はサトノダイヤモンドに負けて2着でしたよね。それも、最後の最後にちょっとだけ(クビ差)交わされてしまって。それが1年後に、サトノダイヤモンドはいなかったですが今度は余裕で勝って、しかもそれを最後に引退なんて。映画みたいなストーリーだと思いました。
昨年のブラストワンピースは、池添謙一ジョッキーが記憶に残りました。池添ジョッキーは有馬記念をたくさん勝っているんですよね(歴代最多の4勝)。ジョッキーの方たちって、レース後のインタビューなんかを見ているとクールだったり、いかにも勝負師という感じを受けることが多いんですが、池添さんはすごく明るく話す方というイメージで、印象的でした。
ダイワスカーレットが逃げ切った2008年の有馬記念は、現在まで続く「強い牝馬」の時代を象徴するようなレースだと思います。よくウオッカと比較されますし、ウオッカのほうがファンも多かったかもしれません。でも力を発揮できる舞台が限られていたウオッカと違って、ダイワスカーレットはどこでも走れる強さを持っていました。また僕は、そういう馬が好きなんですよ。
名勝負と呼ばれる2008年の天皇賞(秋)も、勝ったのはウオッカですが、しっかり中身を見れば、あのレースで本当に強かった馬はダイワスカーレットだと思うんです。有馬記念では、最後方から差してきた人気薄のアドマイヤモナークが2着でしたが、あれは強い馬が逃げて他の有力な先行馬を突き放したときの、よくある競馬のパターンの一つです。天皇賞(秋)を見ていちばん強いと信じていた馬が、本当に強い勝ち方をしてくれたという意味で、あの有馬記念は思い出深いレースですね。
私が初めて見た有馬記念は、サトノダイヤモンドの2016年です。翌年から競馬中継番組に携わることになって、まだ勉強中でしたが、わからないなりに予想して馬券を買ったら当たったのですごく嬉しかったですね。
そこから1年間、番組に携わって、有馬記念というレースの意味もわかるようになって見たのがキタサンブラックの2017年でした。引退レースということもあって、息が詰まるような気持ちになったのを覚えています。
オグリキャップやディープインパクト、オルフェーヴルのラストランは、動画で見るだけで感動して、自分もこれをリアルタイムで体験したかったと思っていたんです。それを実際に、自分が競馬番組に携わっているときに見ることができたのが本当に嬉しくて。
1頭の馬が、こんなにもたくさんの人に感動を与えることができるんだということを知ることができたこの有馬記念は、私の中で忘れられないレースになっています。
今年は本当に難しいし、面白いですよね。どの馬が1番人気なのかすら予想できないですから。凱旋門賞組はあれだけ大きく負けた後ですし、サートゥルナーリアも、天皇賞(秋)で2着ならまだしも、6着でしたからね。
そうなると、ワールドプレミアが人気になるのかな。きっとそうだ。今年はラグビーのワールドカップもあって、みんな燃えたし。そういう視点でも売れそう。
あと今年の競馬界のニュースといえば、夏にディープインパクトとキングカメハメハが続けて死んでしまったことですよね。じつはキセキはその両方の血を持っているということで、凱旋門賞で応援していたんです。勝ってほしかったなあ。
ベタですけど、「レイ」デオロと「ワ」グネリアンで「令和」馬券というのはどうでしょう。あ、「ワ」ールドプレミアでもいいのか。どっちでも父がディープインパクトとキングカメハメハの組み合わせですしね。これで3着がキセキなら完璧!これを「令和の奇跡」と呼びましょう!
これはもう、注目馬はリスグラシュー以外にないです。有終の美を、と言いたいですが、それよりもまずは怪我なく、無事に走ってほしいです。応援しはじめたきっかけは本当にたまたまでしたが、そうやって見ている馬がGIを勝って、海外でも勝ってとなると、なんだか運命を感じちゃいます。引退は本当に寂しいですね。
もちろんレースは単勝を買って見ます。でも、心配で見ていられなくなっちゃうかも。じつは私、長距離のレースは見ているとドキドキしちゃうんです。短距離やマイルくらいまでのレースだと大丈夫なんですけどね。まだ続くの?もうこの緊張に耐えられない!早く白黒つけようよ!という気持ちになっちゃうんです。
有馬記念も2500mありますけど、でもリスグラシューが走るのはこれが最後ですからね。応援を通じて私も競馬が楽しくなりましたし、いろいろなことを学びました。そんな感謝の気持ちとともに見守りたいと思います。
今年の競馬の流れを線で見ていけば、個人的に3歳世代のレベルは高くないと思っているんです。日本ダービーは、オークスよりはるかに速いラップなのに勝ち時計は0秒2しか上回っていなくて。それで牝馬が優秀なのかといえば、エリザベス女王杯では3歳馬が古馬にかないませんでした。菊花賞も、タイム的には特筆すべきものではありませんでしたし。
個人的には宝塚記念と有馬記念はレースの質的に連動するところがあると思っているので、やはりリスグラシューに注目しないわけにはいきません。本当に強くなっていると思いますよ。先行して、あっさり抜け出してくるんじゃないですかね。矢作芳人調教師のやってきたことが、この馬で結実している、形になってきているというパワーのようなものも感じます。3歳馬と比べてレベルが高いと考えている古馬勢が人気を落とすようならリスグラシューの相手に買ってみたいですね。凱旋門賞組も、日本でならあんなことはないと思いますしね。
1年の総決算として、できれば単勝馬券を当てたいです。令和最初の有馬記念で単勝を当てるなんて、縁起がいい気がしますしね。
きっと人気にはなるんでしょうけど、もし1番人気じゃなかったりするようなら、私としては、めちゃくちゃおいしいと思って注目している馬が、宝塚記念を勝った6月からずっと、この馬は強いと思い続けてきたリスグラシューです。
意気込みとしては、令和最初の有馬記念を、単勝で当てて、それをそのまま、私の出演させていただいている番組で中継する翌週土曜日のホープフルステークスに賭けて当てたいですね。有馬記念の後はぜひそちらにも注目していただけたら、個人的には嬉しい限りです。単勝以外の馬券を買うならリスグラシューの相手に入れたいと思っているのがキセキです。勝ちきれないことも多いですが、頑張って上位に入ってくれるので好きな馬ですね。