海外競馬発売

エクリプスS(G1)

サンダウン競馬場 1990メートル(芝)4歳以上

発売開始時刻
日本時間7月5日(日曜)
ネット投票:午前7時00分
発走予定時刻
日本時間7月5日(日曜)午後11時35分

2020年エクリプスステークスコラム

太字はエクリプスS出走予定馬
7月3日(金曜)時点での情報を基に執筆

ニューマーケットの丘で鍛えられたディアドラに立ちはだかる女王エネイブルら強豪勢

今シーズンの最大の目標を、10月にパリロンシャンで行われる凱旋門賞(G1・フランス)に置いているディアドラ(牝6歳)の陣営は当初、コース経験を積ませる意味で、同場で行われるガネー賞(G1・フランス)を今季のヨーロッパ初戦に想定していた。

だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でパリ地区での競馬開催ができなくなり、ガネー賞はパリロンシャンからシャンティイに移設されたため、ガネー賞出走プランは消滅。昨年も走った(6着)ロイヤルアスコット開催のプリンスオブウェールズS(G1・イギリス)と、サンダウンのエクリプスS(G1・イギリス)の2択となった後、6月上旬に陣営がサンダウンの馬場を下見した上で、ディアドラが十分に能力を発揮できる舞台と判断し、エクリプスSを選択した。

サンダウンもなかなかにトリッキーなコースで、直線の上り坂は相当にタフだ。

古い話になるが、1999年にエルコンドルパサーがヨーロッパに滞在していた時、現地における2戦目がエクリプスSとサンクルー大賞の2択になり、サンダウンを下見した上で、エルコンドルパサー陣営はサンクルー大賞を選択。これが奏功し、そこでヨーロッパでのG1初制覇が達成されたことは皆様もよくご存知のことと思う。

ディアドラは、一瞬の切れというよりも、勝負どころで良い脚を長く粘り強く発揮するのが特性だ。ましてや、昨年5月からニューマーケットの丘で鍛えられてきた現在のディアドラであれば、サンダウンの坂を最後まで諦めずに駆けあがってくれるものと筆者も考える。この選択が吉と出ることを期待したい。

ここでの相手関係は、昨年8月に彼女が勝利したナッソーS(G1・イギリス)よりは、遥かに強い。だが、相当に骨っぽい相手がそろった昨年10月のチャンピオンS(G1・イギリス)で、得手とは言えぬ重馬場になったにも関わらず彼女は3着に好戦しており、これを物差しにすれば、ここでも争覇圏に加わる存在と見ることができよう。

  • ディアドラ

  • エネイブル

見どころの1つが、同世代の女王エネイブル(牝6歳)との初対決にあることは言うまでもない。

昨年10月の凱旋門賞(G1・フランス)でヴァルトガイストの後塵を拝し、3歳4月以来2年半ぶりの敗戦を喫した同馬。引退という大方の予想が外れ今季も現役に留まったのは、凱旋門賞3回優勝という、誰も達成したことがない偉業を達成したいからで、そこを大目標に据えてローテーションを組んだところ、始動戦は昨季同様にこことなった。負けてはいけない馬であることは、陣営も重々承知をしているはずで、至高の領域にあるフィジカル・メンタル両面の水準を、6歳となった今季も維持できるとの確信が伯楽ゴスデンにはあるのだろう。エネイブルとしてのパフォーマンスをしてくれるのであれば、負ける要素は見つけにくい。ブックメーカー各社も、同馬に2倍程度の単勝オッズを提示し抜けた1番人気としている。

もっとも、この前売りオッズは、筆者にはいささか予想外だった。ガイヤース(牡5歳)が、エネイブルにもう少し接近したオッズになるものと見ていたからだ。

昨年9月のバーデン大賞(G1・ドイツ)で2着以下を14馬身突き放す大パフォーマンスを見せた一方、続く凱旋門賞では10着に大敗し、条件が整わない時の脆さも見せつけた同馬だったが、今年に入ってからの2戦は自分の競馬ができて、いずれも大楽勝を演じている。中でもことさらに鮮烈な印象を残したのが前走のコロネーションC(G1・イギリス)で、スタートからガンガン飛ばして行くという、フランケルを思い出させる刹那もあったレースを見せ、2着アンソニーヴァンダイク(2019年の英ダービー馬)に2馬身1/2差を付けての逃げ切り勝ち。勝ち時計の2分25秒89は、ニューマーケット芝2400メートルのコースレコードだった。前々走のドバイミレニアムS(G3・UAE)を見ると、芝2000メートル戦にも問題なく対応しており、ここも同馬が小細工なしの逃げを打つ展開になりそうだ。ブックメーカーは同馬に、3.5倍前後のオッズを掲げている。

ガイヤースとは対照的に、前走の結果が案外だったのがジャパン(牡4歳)だ。

3歳だった昨季、パリ大賞(G1・フランス)、インターナショナルS(G1・イギリス)という2つのG1を制した他、英ダービー(G1・イギリス)3着、凱旋門賞4着などの成績を残した、現4歳世代屈指の強豪である。同馬の今季初戦となったのが、ロイヤルアスコット2日目(6月17日)に行われたプリンスオブウェールズSで、その実績から単勝オッズ2.5倍の1番人気に推されたが、勝ち馬ロードノースに5馬身1/2も水をあけられる4着に終わり期待を裏切った。ただしこの馬の戦績を見ると、2歳9月のデビュー戦が7着大敗。3歳初戦のダンテS(G2・イギリス)が4着敗退と、後に積み重ねることになる戦績に比較すると、いかにも不甲斐ない結果に終わっている。すなわち、シーズン初戦は動けないタイプであるなら、前走の敗戦で見限るのは危険で、使われての変わり身が期待出来るここは改めて注目する必要があると見ている。

私の推奨馬は、エネイブルジャパンガイヤースディアドラの順番である。

  • 文:合田 直弘
  • ガイヤース

  • ジャパン

合田直弘(ごうだ・なおひろ)

1959年12月27日生まれ。東京都出身。幼少のころより競馬好きの父親の影響を受けて、競馬中継をよく見て育つ。中学時代には馬術部に入部、馬と直接関わるようにもなる。また『優駿』などを読むようになり、海外競馬への造詣も深めるようになった。1982年に慶應義塾大学経済学部卒業後、テレビ東京に入社。スポーツ局で「土曜競馬中継」などを制作していた。その後、1988年にテレビ東京を退社し、有限会社リージェントを設立。国内外の競馬に関する業務に携わるようになる。また当時誰もやっていなかった「海外競馬評論家」という肩書きでメディアにも登場。歯切れが良く、分かりやすい解説と独特の言い回しで人気を博する。現在、グリーンチャンネル「ALL IN LINE!〜世界の競馬〜」、「Go Racing!2020」などレギュラー出演中。

太字はエクリプスS出走予定馬
7月3日(金曜)時点での情報を基に執筆

連覇を狙うエネイブルにとってガイヤースが最大の脅威か

エネイブル、今年もここから始動”。5日にサンダウンで行われるエクリプスS(G1・イギリス)を語る上で、最も重要なキーワードはこれだ。

新型コロナウイルスがパンデミックと認定されるほどの広がりを見せたことを受け、2か月以上のシャットダウンを余儀なくされてしまったために、イギリスにおける今季の競馬シーズンは、例年よりも短縮されたバージョンで行われている。それはつまり、見どころがギュッと凝縮されていることを意味しており、例えば今週末の競馬開催は、土曜日にオークスとダービー、日曜日にエクリプスSが組まれているのをはじめ、かつて見たことがないほど豪華なラインナップとなっている。3歳クラシックのダブル開催が前日に組まれたため、例年なら3歳以上のエクリプスSが、今年は4歳以上という競走条件となった。それでも、6月29日の登録の段階で、競馬の世界ですっかり名の売れたスターホース8頭が出走への構えを見せており、非常に強力な顔ぶれがそろったと言えそうである。

中でも筆頭格は、イギリスのスーパースター・エネイブル(牝6歳)だ。昨年のこのレースの勝ち馬でもある彼女が、ヴァルトガイストに敗れた昨年10月の凱旋門賞(G1・フランス)以来、久しぶりにファンの前に姿を見せてくれるのである。おそらくは、6歳を迎えた彼女が圧倒的な人気を集めることになるであろうし、強いエネイブルを見ることを望んでいるファンが大多数だとは思うが、その期待に応えるには、非常に高いハードルを彼女は越えなくてはならない。すなわち、極めて強大な相手が、既に実戦を使われて十分なチューンアップを終えて出走してくるのだ。

  • エネイブル

  • ガイヤース

中でも、このレース連覇を目指すエネイブルにとって最大の脅威は、ゴドルフィンが送り込む逃げ馬のガイヤース(牡5歳)である。同馬は既に今季2戦しており、まずは2月にドバイのメイダンでG3戦を快勝。2戦目が、いつものエプソムからニューマーケットに移設して6月5日に行われたコロネーションC(G1・イギリス)で、ここでもガイヤースは逃げて大楽勝を演じている。現在のガイヤースはまさに破竹の勢いにあり、女王エネイブルであろうとも、これを止めるのは容易なことではないと私は見ている。

エネイブルを含めて、今年のエクリプスSには3頭の牝馬が出走を予定しており、いずれも上位争いに加わる力量があるこの3頭の“競艶”もまた、今年の大切な見どころの1つである。

橋田満厩舎のディアドラ(牝6歳)が、私も在住するニューマーケットを拠点とするようになって、2シーズン目を迎えている。ここから彼女は、アイルランド、香港、サウジアラビアに遠征して行き、そしてまたニューマーケットに帰ってきている。先週の水曜日、昨年のイギリスにおけるチャンピオンジョッキーで、ディアドラの主戦を務めるオイシン・マーフィーが騎乗して、ディアドラの追い切りが行われ、私も取材することができた。調教後、アイルランド生まれのマーフィーは超ご機嫌で、状態に関しては申し分ないとコメント。また、サンダウンについても、直線にある上り坂がポイントとなるコースだが、ゴール前で粘り強い末脚を繰り出すディアドラに適した競馬場であると、彼は分析してくれた。その力量、調子、コース適性を考慮して、私はディアドラを3番手に推す。

もう1頭、名前を挙げておきたいのが、3頭目の牝馬のマジックワンド(牝5歳)だ。ここ2シーズンの間に彼女は、アメリカ、ドバイ、サウジアラビア、イギリス、アイルランド、オーストラリア、香港で出走するという、極めて多忙な時を過ごした。彼女が、非常に才能ある競走馬で、なおかつ、驚くほど丈夫なサラブレッドであることは言をまたない。その彼女が、久しぶりにまとまった休みをもらい、戦線に戻ったのが6月13日に行われた距離1600メートルのG2・リッジウッドパールS(アイルランド)で、ここを彼女は楽勝している。この馬も、無視しがたいと私は考えている。

私の推奨馬は、ガイヤースエネイブルディアドラマジックワンドの順番である。

  • 文:Emma Berry
  • 訳:合田 直弘
  • ディアドラ

  • マジックワンド

Emma Berry(エマ・ベリー)

ワールドワイドな競馬日刊紙サラブレッド・デイリー・ニュースのヨーロッパ・パートの編集責任者。これまでも、サラブレッド・オーナー&ブリーダー、ペースメーカーホース&ハウンド、レーシングポスト、インサイドレーシング(オーストラリア)など、数多くの競馬および馬術関係出版物に寄稿している。 少数ながら馬も所有し、生産と競馬にも従事。夫は調教師のジョン・ベリーで、現在はニューマーケット在住。

ご注意

当コーナーの情報は、登録情報を基に制作されております。競走データは公式データと照合し、それ以外の表記は主に現地報道を参考に制作しております。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。

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