コラム

10月30日(日)時点での情報を基に作成

現地評論家が見る今年のメルボルンカップ カレンミロティックはメルボルンで輝けるか!?

カレンミロティックは、11月1日(火曜日)にフレミントンで行われる、総額600万オーストラリアドルというオーストラリアで最高の賞金がかかり、なおかつ、オーストラリアで最も有名な競馬のレースに、日本代表として出走するために、克服しなければならない課題を2つ抱えていた。

彼はすでに、最初の課題を乗り越えている。それは、日本からの輸送に伴うリスクである。2014年12月、G1香港ヴァーズに出走するために輸送された時には、彼は大いにいれ込み、その影響で結果は5着に終わっている。オーストラリアへの輸送が最大の懸案事項であったと語ったのは、カレンミロティックのレーシングマネージャーで、オーストラリアにも帯同している須田鷹雄氏である。しかし今回、馬は予測よりもはるかに良い状態で輸送を終えたそうだ。

つまり、1つの課題は消え去ったわけだ。しかし、もう1つの課題は残されている。それは、彼の成績にはムラがある、という点だ。カレンミロティックがベストのパフォーマンスを発揮した時には、すばらしい競馬を見せている。例えば、昨年の天皇賞(春)(芝3200m)で3着となった時や、その同じ権威あるレースでハナ差の2着となった今年のレースである。

  • 2016年 天皇賞(春)

  • ウェリビー競馬場で調整するカレンミロティック

須田氏は、ムラっ気を出すかどうかは、レースがどういう流れになるかによって決まると語る。「彼は道中、先行馬を前に見る2番手、3番手で競馬をするのが好きです」と彼は言う。「そういうポジションを確保することができた時に、彼は本領を発揮するのです」

カレンミロティックと、帯同馬のカレングラスジョーは、フレミントン競馬場から30キロの地点にあるウェリビー競馬場の、検疫厩舎にも調教馬場にも、すぐによく馴れたようだ。彼らは、馬場入りする前に、日本式の長い常歩(2時間以上)を行っている。

日本生まれで、オーストラリアで障害騎手をしている川上鉱介氏と、調教助手の高阪陽祐氏が、カレンミロティックとカレングラスジョー(メルボルンカップ当日にフレミントンで行われる1800m戦に出走予定。オーストラリアのメジャーなレース以外で、どの程度の馬がどのクラスで通用するのか、それを知る指針になると見られている)の2頭に交代で騎乗しながら、常歩と調教を行っている。

ノーザンファームの主任獣医師、津田朋紀氏もまた、カレンミロティックの平田修調教師が日本に一時帰国していた期間は特に、チームにとって重要な役目を担ってきた。

須田氏によると、カレンミロティックは、日本においてひと叩きされたレース(産経賞オールカマー、9着)の効き目が大いにあって、それ以来、状態が上向いていると語る。それは、メルボルンカップに臨むにあたり、ノーザンファームが周到に用意した遠征計画だった。そしてチームは、オーストラリアの馬やオーストラリアの騎手たちとどう戦うべきかをよくわかっている騎手という理由で、カレンミロティックの乗り役に、オーストラリアの若手騎手であるトミー・ベリーを選択した。

馬主の鈴木隆司氏は、日本馬として2頭目となるメルボルンカップ優勝を目指すカレンミロティックの、ここまでの調整過程に大いに満足するはずである。須田氏は、2006年のメルボルンカップを制したデルタブルースは、もう1頭の日本馬ポップロックを破ってメルボルンカップで優勝を果たす以前に、日本でGI 勝ち(菊花賞)の実績があったと指摘する。

「レースの条件がカレンミロティックに適したものになれば、彼はポップロックと同じくらいの力を発揮するでしょう」と、彼は語る。このコメントは、私が聞きたかったものだった。そして、ブックメーカーによっては26倍の単勝オッズを掲げているこの馬が、「国の動きを止める」と言われているレースで上位3着までには入る、という私の考えを、より確たるものとしてくれた。いや、今年のメルボルンカップには、「世界の動きを止める」力があるかもしれない。

人気を集めているのは、ハートネルジャメカの2頭である。フレミントンのG1ターンブルS(芝2000m)で、ハートネルはジャメカに3馬身以上の差をつけて勝っている。その後ジャメカは、G1コーフィールドカップを3馬身差で制している。一方のハートネルは、10月22日にムーニーバレーで行われた、総賞金300万オーストラリアドルのG1コックスプレート(芝2040m)でチャンピオン牝馬のウィンクスに、8馬身遅れをとった2着となっている。なおハートネルは、イギリスで走っていた3歳時に芝3200mのレース(準重賞クイーンズヴァーズ)で勝利を収めている。

この他、海外からの遠征馬で勝つチャンスがあると見られているのが、エイダン・オブライエン厩舎のボンダイビーチだ。彼はアイルランドでG3を2勝している。しかし、昨年のメルボルンカップでは勝ち馬から約6馬身遅れの16着だった。

ジョアン・モレイラが騎乗するハートブレークシティーは、前走、イギリスのハンデ戦では最も賞金の高いイボアヘリテージH(芝2800m)を4馬身差で制しての参戦となっている。

そして、愛セントレジャーの勝ち馬ウィックローブレーブ(ランフランコ・デットーリが騎乗)も、侮れない馬だ。

現段階で挙げるとすれば、私のトップ3は、ハートブレークシティー、カレンミロティック、ハートネルである。

  • 文:Keith Hillie
  • 訳:合田直弘

Keith Hillie(キース・ヒリア)

オーストラリアの競馬メディアにおいて長く第一線で活躍しているジャーナリストは少ないが、その一人が、ヴィクトリア・レーシング・メディアの終身メンバーであるキース・ヒリアである。オーストラリアで最大の発行部数を誇る「The Sun」の、競馬欄の編集を20年にわたって手掛け、合併によって「Herald-Sun」となるまで、その職にあった。メルボルンにおけるテレビの「チャンネル7」で、コメンテーターとして、司会進行役として活躍。また、プライムタイムにおけるラジオショーでも、番組のホストとして、40年にわたって競馬情報を届けている。ヴィクトリアレーシングクラブ、メルボルンレーシングクラブ、ムーニーバレーレーシングクラブの催す各種イベントへの出演も多い。今年もジャパンカップの取材を予定しているが、これが実に彼が取材する34回目のジャパンカップとなる。このほか、取材したドバイワールドカップが19回、香港における国際競走の取材が20回以上、イギリス、北米、南アフリカ、ニュージーランド、モーリシャスでの取材経験もある。キース・ヒリアは10年前に、日本人女性のReiko さんと結婚。東京へはしばしば来ており、日本の競馬も楽しんでいる。

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